ピアニストの
小菅優が、2023年から続けてきた公演のソナタ・シリーズ最終回となるVol.5「黄昏」を、2026年7月28日(火)東京・初台 東京オペラシティ コンサートホールにて開催します。この公演では、作曲家たちの晩年を追い、対位法が目覚ましい
モーツァルトのK.576や滅多に演奏されない
ウェーバーのソナタ第4番に加え、小菅が「自分にとっての大きなゴールの一つ。これほど人間の心の奥深くまで探る旅は他にない」と語る
シューベルト畢生の最後のソナタも演奏されます。チケットは12月25日(木)に一般発売されます。
[コメント]ついにソナタ・シリーズのゴール地点に達した。演奏会一つ一つが大きな課題だったが、最終回では更に大きな目標が私を待っている。
晩年に達すると、人は何を考え、感じるのだろう。今の私には想像しかできないが、最終回で取り上げる究極の3つのソナタには次のようなことが思い浮かぶ。どの作品も死神のような怖い存在と同時に、葛藤や苦悩を耐え忍んだ境地を超えた、寛大な優しさを。それぞれの凝縮された内容の中には、「まだ」というか、最後だからこそ訴えようとする、内なる炎が燃えている。
見事な対位法を用い、快活さを装いながらも、どこか寂しいモーツァルトの最後のソナタ。苦悩と恐怖、和解と優しさを、ピアノの持ち味を使って華やかに表すウェーバーの最後のソナタ。そして青春の喜びや懐かしさ、苦境と哀しみの間を彷徨い、人生の全てを語る、儚いシューベルトの最後のソナタ。
抒情。この上ない完成度。そして哀しみを垣間見せながらも常に生きることへの愛を感じさせる深い感情。作曲家たちの最後の静かな訴えを、皆さまに聴いていただきたい。――小菅 優Photo by Takehiro Goto