リサーチ

ペアレンタル・アドバイザリー(Parental Advisory)って何?

2006/05/12掲載
はてなブックマークに追加
輸入CDに貼られている“Parental Advisory”と書かれたステッカー。HIPHOPやラウド系の音源でよく見かけますが、そもそもコレ、一体誰が貼っているのでしょうか?その実態について、また放送規制についてCDJournal.com的考察をまとめてみました。
ペアレンタル・アドバイザリー(Parental Advisory)って何?
 最近ではiTMSでもアイコンとして表示される“Parental Advisory”と書かれた黒いステッカー(写真)。ヒップホップ系の音源で見かければむしろ“サグ”な雰囲気をかもしだし、「親(保護者)に警告」というよりも、オススメ!にしか見受けられない、もはや親は注意してくれなくなってしまった“大きなお友達”も多いことでしょう。

 このステッカー、1985年にペアレンツ・ミュージック・リソース・センターという市民団体の圧力により導入された検閲制度で、レコーディング・インダストリー・アソシエーション・オブ・アメリカ(RIAA) という音楽業界内の団体が、アメリカ国内で販売される“不適切な歌詞”が使われていると判断された音楽CDに警告として貼られるもの。

 ステッカーが貼られてしまった音楽CDは、大型スーパー・チェーンであるウォルマートのCD売り場をはじめとした特定のCDショップでは販売されなくなるとのこと。ウォルマートでは銃や弾丸も買える(映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』)のに警告ステッカー付きのエミネムの新作は買うことが出来ない……? という不思議な現実はさておき、暴力的な言葉(いわゆるF-WORD)や性的描写、あるいは薬物などを扱ったとされる曲を、保護者が「子供に与えて良いかどうか」の判断をするべき、と忠告しているのです。(※iTMSではアップル社独自のガイドラインを設け、適用しているようです)

 一方、日本国内ではどうなっているのでしょうか?音楽CDには、“Parental Advisory”に準じるような警告ステッカーや、映画の閲覧制限のような明確な規制措置が存在しません。現状では“レコ倫”またはレコード会社やテレビやラジオといった放送局による、“現場での判断”による自主規制が行われています。これらはあくまでも自主的なもので、規制対象になるような表現がある際は、はっきりと歌っていても歌詞として歌詞カードに掲載しなかったり、放送の自粛やCDの回収/発売中止などの措置が取られるようです。 
 放送禁止の楽曲が多く、かつてはアルバムの入手が困難だった音源といえば岡林信康『わたしを断罪せよ』や、頭脳警察『頭脳警察1』などが知られています。また意外なところではおニャン子クラブの「セーラー服を脱がさないで」(『ミニ・ベスト』他収録)は放送自粛などの措置が取られる場合が多いとか。2002年にはZEEBRAK-DUB SHINEの古巣キングギドラの再結成時のシングル「UNSTOPPABLE」の回収騒ぎが話題となりました。この時、問題とされた楽曲のように、日本では一度問題となってしまうと“お蔵入り”してしまう場合もあるようです。

 現在、アメリカでは“EXPLICIT”と呼ばれる本来の楽曲から、規制対象となる言葉を排除した“ラジオ・エディット”や“クリーン・ヴァージョン”をアーティスト自らが公共での放送用に制作することで、規制を免れます。音楽自体の優劣、表現や言葉に真にアーティストが込めた想いや意味を無視して、自由な表現を妨げる場合もありうる検閲という行為は両手を挙げて歓迎できるものではありません。しかしその一方で、ルールが不透明な自主規制によって“お蔵入り”する場合もある日本の仕組みと比べてみれば、“EXPLICIT”ヴァージョンで、アーティストが規制の枠にとらわれることなく自由に表現できることを皮肉にも“保護”しているという側面もあるのかもしれませんね。
※ 記事は掲載日時点での情報をもとに書かれています。掲載後に生じた動向、および判明した事柄等は反映しておりません。ご了承ください。
全メディア/タイプ 最新リサーチ
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 二人だけれど、一人でやってるみたいな感じ――結成40周年を迎えたGONTITIが7年ぶりのアルバムを発表[インタビュー] マックス・リヒター、重要作をほぼ網羅&自身も演奏に参加する15年ぶりの来日公演開催
[インタビュー] “会える”実感を大切に――ActEvolve・加藤CEOが語るVRが導く新しい音楽ライヴ[インタビュー] ベイ・エリア・ヒップホップへの偏愛――ILL-TEE「STAY TRUE / BOTTLE AFTER BOTTLE」
[特集] セットリストはおなじみの名曲ばかり! 新作完成を記念したトレヴァー・ホーン最新ライヴ・レポート[インタビュー] 20年に愛と感謝を込めて――守屋純子オーケストラの定期公演「20 Years of Gratitude」
[インタビュー] 周りとは違うやり方で、どれだけ存在感を示していけるか 18scottとSUNNOVAの見つめる先とは[インタビュー] ストイックさとグルーヴ感を併せ持つテクノDJ、Sakiko Osawaが初のフル・アルバムをリリース
[インタビュー] アーティストとしての成長が呼んだ“物言わぬ感性の一致” 早見沙織『JUNCTION』[インタビュー] 現代ヒップホップにおける“プロデュース”について考える――Ryohu『Ten Twenty』
[インタビュー] 丸みのある、自然体の音楽 Opus Inn『Time Rolls On』[インタビュー] 消費者だったら消費者らしく盛り上がれ “侵食する”ARKHAM
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
新譜情報
データ提供サービス
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015