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UKのレコード・レーベル“4AD”とは?

2007/02/02掲載
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UKインディ・シーンの“良心”とも言うべきレーベル、4AD。バウハウスやコクトー・ツインズらゴシック色の強い英国バンドと、ピクシーズやスローイング・ミュージズなど米国グランジ/オルタナティヴの先駆者が共存しながら、レーベル・カラーが守られている稀有なレーベルです。再結成ピクシーズ・ドキュメンタリー映画『ラウド・クワイエット・ラウド』日本公開を機に、この名門レーベルについてCDJournal.com的考察をまとめてみました。
UKのレコード・レーベル“4AD”とは?
 4ADの親レーベルは、UKパンク・ムーヴメントとともに産声をあげ、ニューウェイヴとともに育ち、現在でもコンスタントにアーティストを発掘している“ベガーズ・バンケット”。リスナーと変わらぬニッチな視点を持ちながら、きっちりとビジネスとしても成功している世界的にも数少ないインディ・レーベルです。

 4ADはベガーズ・オーナーが所有していたレコード店のスタッフ、アイヴォ・ワッツ=ラッセルが設立したベガーズ傘下第一弾レーベルで、彼の趣味が強く打ち出された所属アーティスト……バウハウスニック・ケイヴバースデイ・パーティコクトー・ツインズデッド・カン・ダンスといった、音楽的にもヴィジュアル的にもゴシックな、耽美でポエティックなイメージが強いアーティストが所属し、同じインディ・レーベルであるラフ・トレードやファクトリーらと並んでその名を轟かせました。(写真左は4AD第一弾のリリースだったバウハウス『暗闇の天使』)

 4ADに大きな転換期が訪れたのは87年。ニューウェイヴが徐々に衰退していく中でM/A/R/R/S(4AD所属のインディ・ポップ/オルタナティヴ・ダンス・ユニットA R Kaneとエレクトロ・ユニットColourboxによる限定ユニット)の「Pump up the Volume」(写真右)がUKチャート1位を獲得。インディ・レーベルによるセールス的成功という意味でも大きいものですが、後に巻き起こるレイヴ・ムーヴメントの到来を高らかに予言し、世界中のダンス/エレクトリカル・ミュージックに革命を呼び起こしたという意味でまさに歴史を変えたスマッシュ・ヒットとなりました。
 さらに、同時期にレーベル初となるUSバンド、スローイング・ミュージズと契約したことを機にピクシーズラッシュベリー(スローイング・ミュージズのメンバー在籍)といったUSオルタナティヴ・バンドの中でも特に繊細さと狂気の美しさが備わったギター・サウンドが特徴のバンドと契約し、文字通りUK/USでそれぞれ起こる大きなムーヴメントの先鞭となりました。ちなみに4ADというレーベル名は“1980FORWARD”という言葉をどんどん置き換えて省略し198 4AD→4ADと表記したことが由来だそうですよ。(写真はピクシーズ『サーファーローザ』)

 バウハウス、M/A/R/R/S、そしてピクシーズ。4ADを象徴する彼らはそれぞれがまったくカラーの違う個性的なアーティスト。4ADのアーティストに唯一共通していることは、最先端のシーンから生まれ成長したインディ・アーティストであり、成功を手にした後もその姿勢を変えずに活動を続けていることでしょうか。
 ベガーズ・バンケットは新たに“ベガーズ・ジャパン”を設立し、昨年7月のトム・ヨーク『ジ・イレイザー』を第一弾に日本盤リリースをスタート。プロディジーでおなじみの“XL Recordings”、“Too Pure”(PJハーヴェイステレオラブほか在籍)、そして4ADのタイトルを今後日本盤としてリリースします。さらに、今年の夏にはレア音源を収録予定のピクシーズ最強ベスト盤が登場する予定だとか。詳細はベガーズ・ジャパン公式サイトで発表されるとのこと。もちろんCDJournal.comでも追ってご紹介いたしますので、お楽しみに!
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