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「函館夜景の日」に聴きたい“函館”ソング

2025/08/13掲載
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函館の夜景について歌った曲があったら、おしえてください!
「函館夜景の日」に聴きたい“函館”ソング
 夜景が美しい都市として人気が高い、北海道の函館。8月13日が「や(8)・けい(K=トランプのキング=13)」との語呂合わせと函館出身の大学生の投書をきっかけに、函館の美しい夜景をアピールすることを目的として「函館夜景の日」が制定され、1991年から実施されています。

 ほぼ東京タワーと同じ高さの標高334mの函館山から観る函館の夜景は“100万ドルの夜景”とも称されるほどで、ナポリ、香港とともに“世界三大夜景”のひとつとして知られています。ところで、海と海に挟まれた夜景の写真が、地図上では北海道の南西部にある渡島半島(おしまはんとう)の南側の“くびれ”の部分と思っている人が少なからずいるようなのですが、その“くびれ”の根元となる江差から森までは直線距離で約45キロもあります。実際は、函館山の眼下の繁華街や市役所、函館駅や函館港などの函館の中心部の夜景をとらえたもので、渡島半島にも似た函館港と津軽海峡に挟まれた“くびれ”は、約1キロほどしかありません。

 さて、その「函館夜景の日」にちなみ、函館の夜景や函館にまつわる楽曲をいくつか紹介していきましょう。函館という土地をテーマにしているということもあってか、旅情や別れ、恋慕などを歌った“ご当地ソング”が数多くある歌謡・演歌シーンが圧倒的です。函館は、横浜や神戸、長崎などの港を旅する港町ソングや、北の大地を歌った北国ソングのなかのひとつの街として頻繁に登場しますが、ここでは函館のみを歌った楽曲にフォーカスしていきます。

 まずは、“ご当地ソングの女王”の異名を持つ水森かおりの「函館山」。函館山から街にきらめく夜景や漁火を眺めながら、届かぬ想いを秘める女性の気持ちを歌いあげています。同曲はアルバム『歌謡紀行8〜安芸の宮島〜』などで聴くことができます。

 美空ひばりが歌ったのが「函館山から」。全曲の作詞・曲を小椋佳、編曲を若草恵が担当した、美空の芸能生活40周年記念アルバム『旅ひととせ』のうちの一曲として発表されました。“男が惚れた女を忘れるために日本全国を巡る”というコンセプトのアルバムにおいて、男が訪ねた街のひとつとして函館を取り上げ、函館山から立待岬を望み、雪の中に飛び交うかもめを見ながら去来する想いを歌っています。楽曲を手掛けた小椋や、島津亜矢ほか多くの歌手がカヴァーしています。

 日本レコード大賞新人賞を受賞し、2020年には力士の高安と結婚してお茶の間を賑わせた、杜このみ。最近ではバラエティ番組『千鳥の鬼レンチャン』の音程を外さずに歌いきる「サビだけカラオケ」企画で“鬼レンチャン”を達成し、SNSでトレンド入りして話題となりました。2018年に6thシングルとして発表したのが「くちなし雨情 / 函館夜景」で、「函館夜景」では結ばれない恋を忘れようと女一人で函館を訪れ、夜景に想いを馳せる様子を描いています。

 『NHKのど自慢』でグランドチャンピオンとなりデビューを果たした徳永ゆうきが、2016年にシングル「函館慕情」をリリース。ロマンティックな街・函館の華やかな風景を舞台に、想いを寄せる男性への女心を清々しく歌いあげています。また、松前ひろ子は、作詞・星野哲郎、作曲・岡千秋による同名異曲を発表。男への未練が募る女の想いを綴っています。

 そして、これぞ“函館ソング”の代表格といえば、やはり北島三郎の「函館の女」(はこだてのひと / 写真)でしょう。1965年に発表されたこのシングルは、ミリオンセラーの大ヒットを記録。冒頭の“は〜るばるきたぜ 函館へ〜”のフレーズは、明るく清々しい歌唱ですが、会いたくて仕方ない君を忘れられずに函館まで迎えに来たけれど会えなかった男を歌った、実はちょっぴり切ない歌でもあります。北島本人が出演した永谷園「さけ茶づけ」のCMでは、力強く川をさかのぼる鮭を目の前にしながら“は〜るばるきたぜ さけ茶づけ〜”と歌う姿も印象的でした。北島ファミリーとして歌手デビューした大江裕をはじめ、氷川きよし天童よしみ福田こうへい加山雄三など多くの歌手が「函館の女」をカヴァーしています。

 鉄道の車内放送を音楽に取り入れた鉄道系テクノポップで人気のSUPER BELL”Zは、哀愁漂うイントロが印象的な「新函館あんさあ」の冒頭で“もう はるばるじゃない”と北海道新幹線開業をネタにしたある種「函館の女」のアンサーソングを発表。同曲はアルバム『モーターマン 2017』に収録されています。

 AKB48出身の岩佐美咲は、2021年発表の10thシングル「アキラ」にて、かつて函館で一緒に仲睦まじく過ごしていた“アキラ”への未練と、儚くも芯の強い大人の女性を歌っています。同曲はシングルのほか、アルバム『美咲めぐり〜第3章〜』でも耳にすることができます。

 歌謡・演歌シーン以外では、森高千里の「彼女」を挙げておきましょう。厳しい親の家で育った学生の彼が住む函館へ、週末だけでもタクシーを飛ばし飛行機に飛び乗り会いに行く、彼女の遠距離恋愛をテーマにした楽曲ですが、切なさに訴えるのではなく、“お金がかかる恋愛だわ”としているのが森高らしいところでしょうか。同曲は1991年発表のリミックス・ベスト・アルバム『ザ・森高』のために書き下ろした一曲となっています。

 そのほか、父の実家が函館という瀬川瑛子の1970年のシングル「函館の雨はリラ色」や、伍代夏子の改名後初のシングル「戻り川」のカップリングの「函館夢ごよみ」、角川博のシングル「雨の函館」など、多くの著名歌手が“函館ソング”を発表。山内惠介と演歌歌手ユニット“イケメン3”を結成した竹島宏は2003年に「函館哀愁」を、同じく北川大介は2025年に「北の街 函館」をシングル・リリースし、『NHKのど自慢』やカラオケ大会で優勝を重ねてきた“函館の歌姫”こと暁月めぐみは、2018年のデビュー20周年記念シングル「花筏」に収録の「愛しの塩ラーメン」で、“なまら”うまい名物の塩ラーメンと函館への愛を歌っています。
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