時間の流れがゆっくり感じられる秋の夜。じっくり音楽に浸るのにも、ちょっとした気分転換に耳を傾けるのもぴったりの季節です。そこで今回は邦楽の中で演奏時間が“長い曲”と“短い曲”という両極の楽曲をピックアップ。長大なサウンドスケープに身をゆだねるのもよし、一瞬で過ぎ去る刹那を楽しむのもよし、秋の夜長に味わいたい、特殊な音楽体験を紹介します。
まずは、10分以上の長尺邦楽を紹介。
X JAPAN や
桑田佳祐 、
GLAY など……時間をかけて展開していくからこそ生まれるドラマや没入感を堪能してみてください。
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X JAPAN「ART OF LIFE」(29分00秒) 1993年8月25日にリリースしたアルバム『
ART OF LIFE 』にたった1曲収録されたこの楽曲は、X JAPANが世界に誇る大作であり、邦楽ロックの中でも圧倒的な長さとスケールを誇ります。歌詞は全て英語で、5分以上続くピアノ・ソロがあるなど、思わず一度聴いてみたくなる一曲です。
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ゆらゆら帝国 「ミーのカー 」(25分35秒) サイケデリック・ロック・バンド“ゆらゆら帝国”が1999年6月16日にリリースした2ndアルバムに収録された本楽曲は、シンプルなリフが繰り返され、じわじわと世界観に引き込まれたあと、小さな変化が積み重なっていき、ひたすら“同じようで少しずつ違う”音の波に浸ることができます。
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桑田佳祐「声に出して歌いたい日本文学〈Medley〉」(18分45秒) 本楽曲は、タイトルの通り“声に出して歌いたい日本文学”の著書そのものに桑田がメロディをつけてメドレー形式で歌われているもの。
太宰治 、
芥川龍之介 、
夏目漱石 などの作品が次々と登場し、文学ファンにはぜひとも聴いてほしいナンバーです。
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長渕剛 「Captain of the Ship」(13分9秒) 14枚目アルバム『
Captain of the Ship 』の表題曲「Captain of the Ship」は、長渕剛のメッセージ性と音楽性を極限まで引き延ばした壮大な航海のような一曲。終盤では大合唱が加わり、高揚感に包まれていきます。
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GLAY「SAY YOUR DREAM 」(13分00秒) デビュー15周年記念ソングの本楽曲は、夢を持つことの尊さや仲間との絆が力強く歌われており、GLAYの歩んできた歴史や仲間やファンへの感謝がストレートに表現されています。ドラマチックな構成と熱いメッセージが最後まで聴き手を惹き込みます。
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次に、壮大なスケールで物語を描く長尺ソングとは真逆のわずか数分で一気に駆け抜ける短い曲を紹介します。短いからこそギュッと詰まった魅力を持つ楽曲に注目です。
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andymori 「革命」(1分38秒) 2011年6月8日リリースの3rdアルバム『
革命 』に収録の本楽曲は、衝動的で切れ味のあるバンドサウンドの中にシンプルながらも強烈なメッセージがストレートに描かれており、一瞬で駆け抜ける爽快感が特徴的です。
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THE KEBABS 「オーロラソース」(1分48秒) 多様な好みやスタンスを認めつつも“大胆にオーロラソースを頼む”というユーモアあふれる歌詞が特徴的な本楽曲も2分未満という短さ。2020年2月26日リリースのライヴ盤『
THE KEBABS 』ではライヴver.が聴くことができます。
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UNISON SQUARE GARDEN 「Simple Simple Anecdote」(2分14秒) この曲は、無力さや儚さを感じる日常の中でただ流れていく時間に葛藤しているような感情が描かれた歌詞が、シンプルな演奏に乗って聴く者に強い印象を与えます。8thアルバム『
Patrick Vegee 』に収録。
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あいみょん 「憧れてきたんだ」(2分25秒) 1stアルバム『
青春のエキサイトメント 』に収録された本楽曲は、あいみょん自身が憧れてきたアーティストやエンターテイナーたちへの思いを綴ったナンバー。特に様々な事情で活動を休止したり、姿を消してしまった実力者たちに対する敬意と自分に与えた影響を表現しています。
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星野源 「プリン」(2分26秒) シングル「
Family Song 」のカップリングに収録された本楽曲は、全て裏声で歌われており、一見ラヴ・ソングのように聞こえますが、実は“プリンを食べたくて我慢している人の歌”として制作されたユーモラスな一面を持っています。その意図を分かったうえでもう一度聴くと面白いかもしれません。
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今回は長ーい曲から短ーい曲まで、邦楽のいろんな顔を見てきました。音楽は時間の長さに関わらず私たちの心を動かす力を持っています。秋の夜長にちょっと立ち止まって音楽の世界に浸ってみてください。新たなお気に入りの一曲に出会えますように。
(写真は1993年8月25日リリースのX JAPAN『ART OF LIFE』)