アルバムやシングルのジャケット写真は、作品の世界観を視覚的に伝える大切な要素。その中で“猫”が登場するデザインは、可愛らしさや親しみやすさに加えて、アートとしての奥行きを感じさせるものもあり、音楽のイメージを豊かに広げてくれます。
今回は、印象的な“猫ジャケット”をまとう楽曲を紹介します。
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あいみょん『猫にジェラシー』 本作は、あいみょんが2024年9月11日にリリースした5thアルバム。ジャケット写真はモザイクアートで制作された“あいみょんの顔”の中にペットモデルの“晴男(はれお)”が登場。気まぐれで愛らしい猫の姿は、アルバムに込められた恋や日常ともどこか重なります。また、あいみょんの作詞曲には「猫」が登場することが多く、自身の楽曲「猫にジェラシー」「
ハルノヒ」から、
DISH//に楽曲提供した「猫」まで、話題の猫ソングが多数存在します。
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ADAM at『Silent Hill』 静岡県浜松市出身のキーボード奏者、ADAM atの1stミニ・アルバム『Silent Hill』のジャケットにはDJをする猫のイラストが描かれており、この作品を機に『
CLOCK TOWER』『
スウィートホーム』などでも猫のイラストをモチーフにしたジャケットアートワークを使用しています。
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きのこ帝国『猫とアレルギー』 2015年11月11日に発売されたきのこ帝国のメジャー1stアルバム。ジャケット写真は、ピンク色の背景に4匹の愛らしい猫が、メンバーのものと思われる腕に掴まれ映し出されています。様々な表情の猫に癒されながら、バンドの新たな側面を見せている楽曲たちをぜひ聴いていただきたいところです。
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ケツメイシ「月と太陽」 2013年5月22日にリリースされた本楽曲は、ドラマ『
ダブルス〜二人の刑事』のエンディング・テーマに起用された、人間愛を歌った切なくも美しいナンバー。ジャケットには“月と太陽”を表すようなオッドアイの白猫が真っ直ぐ正面を見つめています。
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ケラケラ「スターラブレイション」 ドラマ主題歌としても話題を集めた本楽曲のジャケットには、星空を背景にメガネをかけた猫のイラストが。シンプルな線画ながら、どこか楽しげで親しみやすい印象。「スターラブレイション」は「スター=キラキラ」、「ラブ=恋愛」、「バイブレイション=ドキドキ」を組み合わせたケラケラ流造語となっています。
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サザンオールスターズ『タイニイ・バブルス』 サザンオールスターズの3rdオリジナル・アルバム『タイニイ・バブルス』の表ジャケットには黒白の猫が使われており、裏ジャケットにメンバー全員分の写真が猫になっているものが載せられています。本作には、
原由子ヴォーカル曲、
松田弘ヴォーカル曲も収録されています。
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スピッツ『名前をつけてやる』 スピッツの2ndアルバム『名前をつけてやる』は、60年代の良質ポップス、70年代の黄金期ロックなどを飲み込んだ心地良いメロディとひらめきときらめきに満ちた歌詞が魅力の1枚。ペタッと貼り付けられたような、絶妙な角度の猫がジャケットに登場していますが、アルバムには「ウサギのバイク」という楽曲が収録されています。
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中川翔子『9lives』 本作は、“しょこたん”こと中川翔子が2014年4月2日にリリースした4thアルバム。アルバム・タイトルは猫にまつわることわざ「猫に九生あり」から付けられたもので、ジャケットには愛猫の“マミタス”が登場しています。タイトル曲「9lives」のミュージック・ビデオは“世界一ネコが登場するMV”としてファンから募った猫の写真や動画を使用し、中川翔子の猫愛が伺える作品となっています。
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星野源『YELLOW DANCER』 2015年12月2日に発売された星野源の4thアルバム。ジャケットは、吉田ユニが手掛けており、バナナ、本、皿、フォーク、猫など、さまざまな国のアイテムや食べ物、生物が組み合わさり、舞妓の後姿を連想させ、アルバムの世界観をよりポップに表現したものとなっています。なお本作は、第6回ミュージック・ジャケット大賞を受賞しています。
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ポルノグラフィティ『ロマンチスト・エゴイスト』 デビュー曲「
アポロ」などが収録されたポルノグラフィティの1stアルバム『ロマンチスト・エゴイスト』のジャケット写真は、ロシアンブルーの猫が遠くを見つめる姿が印象的。その佇まいは、「ロマンチスト」と「エゴイスト」の二面性を象徴しているようにも見えます。
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矢野顕子『音楽堂』 ピアノ弾き語りシリーズ4作目となる本作は、縦横無尽なピアノ・プレイとヴォーカルによって再現されたカヴァー曲と未発表曲を収録。ジャケットの猫の写真は、動物写真家の岩合光昭によるもので、ジャンプした瞬間を捉えた、まるで自由に空を飛んでいるかのような躍動感あふれる姿は、アルバム全体の軽やかで遊び心のある音楽性を象徴しています。
猫がジャケットに登場することで音楽の世界観にちょっとした遊び心や温かみを添えています。それぞれの猫の表情や仕草が、楽曲の雰囲気やアーティストの個性と絶妙に重なり、思わず目を留めたくなる魅力があります。そして、音楽を聴く楽しさにジャケットの物語が加わることで、作品がより身近で温かく癒しの存在になることも。猫と音楽、両方の楽しさを味わえる作品にぜひ注目してみてください。
(写真は2010年2月10日リリースの矢野顕子『音楽堂』)