ジョセフ・カマル(1939〜2018)は、アフリカの外ではほとんど知られていませんが、1967年以来、母国ケニアの音楽シーンに多大な影響を与えてきた人物。初期のヒット曲「Celina」と「Thina wa Kamaru」は、妹とともに録音したリズミカルなダンス曲であり、これがカマルをケニアでもっとも有名なベンガとゴスペルの音楽家の一人へと押し上げる礎となりました。1980年代後半には、当時外国人アーティストしか出演しなかったカーニボア・レストランにて初のケニア人アーティストとして演奏しています。
KMRUは、祖父のアーカイブを掘り起こし、古いカセットを何十本もデジタル化し、Bandcampページを立ち上げ、現在までにおよそ50作品をアップロードしています。これが発端となり、レーベル「Disciples」とのやりとりを経て、愛情のこもった本作『Heavy Combination』が完成。音源は、ベルリンのDubplates & Masteringにて丁寧にリマスタリングされているほか、スリーブはカマル家のアーカイブ資料を使用。Karolina Kolodziejがデザインを担当し、ライナーノーツには、ケニアの学者Maina wa Mutonya、音楽ジャーナリストMegan Iacobini de Fazio、そしてKMRU自身によるエッセイが収められています。レーベルとカマル家は、この作品のリリースを通じて、このケニア音楽界の象徴的人物に対する認知とリスナー層の拡大を願っており、国内流通仕様盤CDにはライナーノーツの日本語訳も封入されます。