去る11月6日(土)さいたまスーパーアリーナにて、EMIミュージック・ジャパンの設立50周年を記念したライヴ・イベント、<EMI ROCKS>が開催! 所属する豪華アーティストが集い、さまざまなサプライズとともに、オーディエンスへ“日本にもっともっとROCKを。”という言葉を刻みつけた記念すべき一夜のレポートをお届けします!
【オフィシャル・ライヴ・レポート】より 11月6日、EMIミュージック・ジャパンの設立50周年を記念したライヴ・イベント、<EMI ROCKS>がさいたまスーパーアリーナで開催された。同社にとって初となる大型主催イベントは、レーベルとしてのイデオロギーが強い求心力となるように、2万人のロック・リスナーが集う記念碑的な1日となった。合い言葉は、“日本にもっともっとROCKを。”ロックとともに50年もの時間を歩み続け、そしてこれからも共鳴していこうとするEMIにしか提供できない音楽空間が、そこに広がっていた……。
午前10時30分の開場とともに場内に流れていたのは、
ビートルズを筆頭とするEMIの歴史=ロックの歴史に燦然と刻まれる洋楽の名曲群。ステージ両サイドのヴィジョンには、アーティスト名と作品のジャケットが映し出された。オーディエンスが徐々に会場を埋めていくなか、オープニング・アクトの股下89がステージに登場。同じく設立50周年を記念して開催されたオーディション“REVOLUTION ROCK”でグランプリを受賞した、女性4人組のロック・バンドである。"大器の片鱗"をうかがわせる実に堂々としたライヴだった。
そこからオープニング映像を経て、トップバッターを飾ったのは清 竜人。どこまでも繊細な歌声が、バンド編成で紡がれたサウンドと力強く呼応した。
現在全国ライヴハウス・ツアー中の熱い勢いをそのままアリーナに持ち込み、独特のオルタナティヴ・サウンドを響かせた
MASS OF THE FERMENTING DREGS。やはり現在ツアー中の
Base Ball Bearは、ギター・ロックをベースにさまざまなジャンルのメソッドを昇華した、コンテンポラリーなポップ・ミュージックでオーディエンスを魅了した。
今年EMIに移籍してきた
雅-MIYAVI-は、ドラムのBOBOを引き連れたミニマムな2人編で登場。超絶テクを誇るギターのスラップ奏法とタイトなビートでエポック・メイキングなロック・サウンドを咆哮させ、大きなインパクトを残した。
続いて登場した“人力ブレイクビーツ・ユニット”
HIFANAは、MPC(サンプラー)やターンテーブル、DVJなどを駆使した専売特許のパフォーマンスで、オーディエンスの聴覚と視覚を大いに刺激。
Fire Ball with
Home Grownは、“音楽に国境はない”という屈強なポジティヴィティで、レゲエというジャンルを越えて会場を“ロック”した。
その後、転換時の場内に流れたのは、会場限定の告知ビデオ。内容は、
ACIDMAN、
the telephones、西川進、
フジファブリック、ホリエアツシ(
ストレイテナー)、
RADWIMPS、
吉井和哉が集ったプロジェクト“寺子屋”の始動を告げるものだった。彼らは、今年6月末日にクローズしたEMIのレコーディング・スタジオ“studio TERRA”のためにこのプロジェクトを立ち上げ、感謝と惜別の意を込めた楽曲「EMI」(えみ)を制作(作詞:野田洋次郎・吉井和哉、作曲:野田洋次郎/11月10日〜主要配信サイトにてリリース)。その報せにオーディエンスは驚愕と歓喜の声を上げた。
サプライズはさらに続く。スペシャル・シークレット・ゲストとして、EMIとは実に25年の付き合いになるという
布袋寅泰の登場だ。白いスーツを身にまとった布袋は、
BOΦWY時代の名曲「BAD FEELING」から、ソロ始動以降の代表曲「バンビーナ」、「POISON」など5曲を披露。“王者”の風格を見せつけた。
イベント後半戦の幕開けを告げるように轟音を響かせたのは、
9mm Parabellum Bullet。過剰なまでにハードかつキャッチーなサウンドスケープで会場揺らしたロック・シーンの寵児は、もはや貫禄さえ漂っていた。
ここでまた転換時にもうひとつのサプライズが待っていた。それは、イベント開始後に急遽決まったという。ステージに姿を現したのはRADWIMPSの野田洋次郎と桑原彰! 場内が騒然となるなか、名曲「有心論」を唄い鳴らした。
ストレイテナーは、静謐さが同居したエモーショナルな音像を生み出しながら、壮麗なロック・ソングを聴かせてくれた。ACIDMANは、各楽曲の数分間で宇宙や生命の真理を追い求めるように、破壊と創造を繰り返すロック・ワールドを展開。
オーディエンスからの圧倒的な大歓声に迎えられた
東京事変は、その豊潤なプレイヤヴィリティと音楽世界を凝縮した全8曲で、一編のストーリーを描くようなステージング。方々で感嘆のため息がもれていた。

そして、トリを飾ったのは、吉井和哉。EMIを代表するロック・スターは、なんと「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」からライヴをスタート。そこからラストの「ビルマニア」まで極めて高い求心力をたたえながら、"ロックとは何か?"という問いに対する、ひとつの解答を示すアクトを見せてくれた。こうして、幕を閉じた<EMI ROCKS>。エンディング映像の最後、ヴィジョンに刻まれた文字は、これだった。「--See You Next Year--」。
そして、EMIミュージック・ジャパンのロックは、絶え間なく転がり続ける。
※なお、本イベントのライヴ音源が、出演12アーティスト1曲ずつ、全12曲収録された『EMI ROCKSオフィシャル記念ライヴCD』を当日のうちに製作、販売するという画期的な試みも実現。開演前に引換券(3,000円)を購入した数多くのオーディエンスが、終演後に引き取りの列を成していた。
(Text:三宅正一)