グレゴリー・ハインズ 2003/08/14掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
タップダンサーの
グレゴリー・ハインズが8月9日にがんのために亡くなりました。タップダンサーとして一時代を築いたグレゴリー・ハインズ氏ですが、映画俳優としての大活躍は周知の通り。2001年の米国テレビドラマ『キング・オブ・タップ』では自らプロデュース業をするなど、50歳を超えても精力的に活躍していただけに、とても残念です。
グレゴリー・ハインズはニューヨーク出身。両親は共にダンサーで、幼少の頃からタップダンスを習い、その後父と兄と3人で“ハインズ・ハインズ・アンド・ダッド”を結成。やがてブロードウェイの舞台に立ち、トニー賞のミュージカル主演賞を受賞。映画デビューは81年の『ウルフェン』(マイケル・ウォドレー監督)。
やはり多くのファンにとってグレゴリー・ハインズと言えば
フランシス・F.コッポラ監督の
『コットン・クラブ』(写真はサウンドトラック)が印象的ですよね!
リチャード・ギア主演ですが、タップダンサーに扮したグレゴリー・ハインズの鮮やかなタップは映画的記憶として完全にギアを圧していました。(『シカゴ』のリチャード・ギアのタップは見事でしたが。) そして翌年、ミハイル・バシリニコフと共演した『ホワイトナイツ/白夜』でも絶品のダンスシーンを魅せに見せ、大スターになります。映画俳優として、もはやダンス無しでも十分に生きるユニークな個性を身につけたハインズの最高に楽しい名演が86年の『シカゴ・コネクション/夢見て走れ』(
ピーター・ハイアムズ監督)です。この映画はテレビでも頻繁に放映されていたので、ご覧になった方も多いと思いますが、本作は『カプリコン・1』と並ぶピーター・ハイアムズ監督の代表作であるだけでなく、グレゴリー・ハインズの最高の当たり役でもありました。共演したビリー・クリスタルとの息のあったコンビが絶妙で、世に言う“バディー・ムービー”の記念碑的名作として認知され、日本の『あぶない刑事』も本作の影響をモロに受けた作品です。
こうして彼のフィルモグラフィーを見ると、黒人俳優でシリアス〜コミカルまで演じる幅広さはハリウッドでもとても貴重な存在だったとあらためて感じました。心よりご冥福をお祈りします。