破竹の勢いで快進撃を続ける15歳のピアニスト、
小林愛実。数々の賞を受賞し、EMIクラシックスと契約を果たし、今年1月に行なわれた第12回ショパン国際ピアノコンクールin ASIAのアジア大会最終日では最難関のコンチェルトC部門に最年少出場者、金賞およびコンチェルト賞を受賞したばかりです。
そして4月3日には、クラシック音楽の殿堂ニューヨークのカーネギー・ホールでソロ・リサイタルを開催。このリサイタルは
小澤征爾が芸術監督を務める日本フェスティヴァルの一環として行なわれたもので、5月8日にはその凱旋公演として、東京オペラシティコンサートホールにてソロ・リサイタルが開かれました。
家族連れを中心にたくさんの人が詰めかけた、東京オペラシティでのリサイタルの様子をレポートします。
コンサートのオープニングを飾るのは、ニュー・アルバムに収録されている
シューマンの『子供の情景 作品15』。
会場内が暗くなり拍手が沸き起こる中、真っ赤なドレスで登場した小林愛実は、ピアノの前に座ると深呼吸をしながら目を閉じ、演奏をはじめました。曲ごとに違う演奏スタイルを見せるこの楽曲に、彼女なりの表現が加わり、会場は幻想的な夢の世界へと引き込まれます。
続いて
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13「悲愴」、休憩を挟んで、後半は、自身がこよなく愛するベートーヴェンの「熱情」が披露されました。一音一音、全身を使って音楽を表現する彼女は、15歳とは思えないその確かなテクニックと表現力で観客を魅了しました。
アンコールには、
ショパンの「マズルカ第41番」、モシュコフスキーの「エチュード」。そしてカーネギーホールでも披露され、「震災で被災された方のために演奏します」と小林のメッセージの後にショパンの「ノクターン第20番」を演奏。大きな歓声と拍手で凱旋公演は幕を閉じました。
(c)中田英之