サカナクション、
the telephones、
OGRE YOU ASSHOLEによる恒例のライヴ・イベント<version21.1>が今年も開催! <version21.1-fourth->銘打たれた今回、
THE BAWDIES、
9mm Parabellum Bullet、
andymoriらも参加し、2月11日(土)に行なわれた初日、横浜アリーナ公演の模様をお届けします。
version21.1-fourth-
2012. 2. 11 横浜アリーナ
〜 オフィシャル・レポート 〜 the telephones、OGRE YOU ASSHOLE、 サカナクションの3バンドが中心となって2009年から毎年開催してきたライヴ・イベント<version21.1>も今年で4回目。3公演に渡って行なわれる今回の<version21.1-fourth->のトップを飾る横浜公演では、上記3バンドに加え、
THE BAWDIES、9mm Parabellum Bullet、andymoriの計6組が横浜アリーナに集結。1万3,000人のオーディエンスが会場を埋め尽くし、さながら真冬のロック・フェスのような多幸感に満ちた1日となった。
開演に先立って、石毛 輝(the telephones)/ 出戸 学(OGRE YOU ASSHOLE)/ 山口一郎(サカナクション)の3人が開会宣言。「<version21.1>、 最初はスタジオコーストで、チケットも売り切れなかったんだけど、今日は1万人ってすごいね。 今日はイベントだけど、勝負だよ!」という山口一郎のコールに、早くも熱い歓声が沸き上がる。
トップバッターはthe telephones。 「昼間っから踊ろうぜ! Are you DISCO!?」という石毛の絶叫から「Urban Disco」「sick rocks」を畳み掛け、横浜アリーナをいきなり巨大なダンス・フロアに変えてみせる。「みんなの退屈な日常を、ぶっ壊すぜー!」と炸裂させた、the telephonesのロック・サイドの結晶のような爆裂ナンバー「D.E.N.W.A」。ハイパーなシンセと衝動的なギターが軋みを上げる「SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!」。人間ミラーボール状態の銀Tシャツを輝かせながら「4年で横浜アリーナでしょ? オリンピック、ワールドカップと同じくらい、いやもっとすごいってことだあっ!」と叫ぶノブこと岡本伸明(syn)も、「やっぱり最後は愛だよね!」とラストの「Love&DISCO」 で会場丸ごとダンス&シンガロングへと導いてみせた石毛の姿も、感動的なくらいに熱いエネルギーに満ちていた。
続いてはandymori。 どこまでもシンプルに、ラフに、しかしロックとポップの核心だけを掴んで弾むようなメロディとドライヴ感あふれるビートに乗っけて疾走する3人の音が、オーディエンスの頭と身体をひりひりと震わせていく。“革命を起こすんだ”という高らかな宣誓の言葉を時代に突きつける「革命」。バンドの喜びを通して“今”を生きる充実感を歌い上げていく「ユートピア」。「ぜひテレフォンズにカヴァーしてもらおうかと……」と小山田壮平(vo、g)が悪戯っぽく 語っていたダンサブルな「クラブナイト」。小山田のファルセットが横浜アリーナを包み込んだ名曲「1984」。「ベンガルトラとウィスキー」「Peace」でフロアをがっつり揺さぶった後、「音楽を愛してやまないすべての人に贈ります」というメッセージとともに「愛してやまない音楽を」を披露、音楽の魔法そのもののようなひとときを美しく締め括った。
3組目はTHE BAWDIES。 いきなり「A NEW DAY IS COMIN'」のダイナミックなロックンロールで会場丸ごと揺らすほどの熱狂空間を生み出し、「実は今年初ライヴなんですね。遅れましてですが……明けましておめでとうございます! え、遅すぎますか?」というMCから「IT'S TOO LATE」を畳み掛けるROY(vo、b)、JIM(g)、TAXMAN(g)、MARCY(ds)。「ダイエットだ何だと言ってますが、これはいくら喰っても大丈夫です! ただただ元気が出ますよ!」と「HOT DOG」を披露し、「どのみち、近道なんてないんですよ。だったら真っ直ぐ進むしかないんですよ!」と「KEEP ON ROCKIN'」ででっかいコール&レスポンスの波を生み出していく……。脇目も振らずにロックンロールの彼方へと邁進し、その未来を堂々と担う存在となっ た彼らのマインドそのもののような、力強いロックンロール・アクトだった。
前田博章のDJプレイを挟んで、後半は9mm Parabellum Bulletからスタート。「Living Dying Message」「Cold Edge」「The Revolutionary」とエッジ感のカタマリのような轟音を連射し、会場の情熱をさらに熱くたぎらせていく。「俺たちの<Movement YOKOHAMA>へ来てくれてどうもありがと……それは去年の話でした!」と、昨年6月にここ横浜アリー ナで開催したワンマン公演をネタしつつ、ありとあらゆる音のジャンルを咀嚼し血肉化した自由でダイナミックなロックを響かせる4人。「震災から11ヵ月経ったけど、政府とかバタバタしてる今こそ世の中をよくするチャンス。いろんなことを言うやつを黙殺するパワーを身につけていきましょう」(菅原卓郎) という真摯なメッセージと、「新しい光」や「Black Market Blues」の鮮烈なサウンドが一体になって吹き荒れる、壮絶なロックの空間を生み出していた。
ラス前に登場したのはOGRE YOU ASSHOLE。「こんばんは、OGRE YOU ASSHOLEです」という出戸 学の挨拶MCのみを挟んで、最新作『homely』 から「ロープ」「フェンスのある家」「ふたつの段階」、『アルファベータ vs. ラ ムダ』から「バックシート」を経て再び「ロープ(Long ver.)」 へ至るミステリアスな展開の45分のステージの中で、サイケデリックな陶酔感とは別種の揺らぎと覚醒感を鳴らし、音楽に潜む神秘と畏怖を壮大なスケールで描いてみせたオウガ。特に、出戸のハイトーン・ヴォイスと深遠なギター・サウンドが乱反射するように響いた「バックシート」から、痺れるような音世界で15分以上にわたって横浜アリーナを包み込んでみせた「ロープ(Long ver.)」 への流れは、他のどのギター・ロック・バンドとも異なるマジカルな進化を遂げてきたオウガの真骨頂とも言うべきシーンだった。
この日のフィナーレを飾ったのはサカナクションだった。「<version21.1>、用意はいいかー!」という絶叫から「モノクロトウキョー」「セントレイ」を畳み掛け、がっつり踊らせ揺らしていく。ロックとエレクトロを両手に携えてシーンの最前線を開拓し続けてきた彼らは、ほぼノンストップ・ミックス的な展開でもっ て、この日のステージを歓喜の頂点へと導いてみせた。終わりゆくこの時間を全力で楽しもうとするかのように、最後の「アルクアラウンド」「アイデンティティ」にひときわ大きなシンガロングで応えるオーディエンス。「ありがとうございました!」という山口一郎のコールで全てのアクトが終了……かと思いきや、アンコールの拍手を受けて5人が再びオン・ステージ。「みんなマインドが違うけど、苦しみながら音楽を作ってる6バンドが集まって、センスのいい1万人ものお客さんがこうやって集まってくれると……救われます!」という山口の真摯な言葉と、この日の最後の曲「ナイトフィッシングイズグッド」が、最高に感動的なフィナーレの場面を描き出していた。(文:高橋智樹、撮影:橋本 塁(andymori / THE BAWDIES / 9mm Parabellum Buller)、古渓一道(the telephones / OGRE YOU ASSHOLE / サカナクション / DJ前田博章))