ベルナルド・ベルトルッチ 2013/03/01掲載(Last Update:13/03/19 12:42)
『暗殺の森』(1970年)、『ラストタンゴ・イン・パリ』(1972年)などで映画史上に残る衝撃と陶酔を観るものにもたらし、壮麗なる歴史大作『ラストエンペラー』(1987年)ではアカデミー賞9部門を制した巨匠、
ベルナルド・ベルトルッチ 監督。『ドリーマーズ』(2003年)以来、長らく創作活動から途絶えていた彼による、10年ぶりの最新作『孤独な天使たち』(原題:IO E TE)が、4月よりシネスイッチ銀座ほかにて公開されます(全国順次公開)。
――ロレンツォは、少し風変わりで独りが好きな14歳。彼は両親に嘘をついて、学校のスキー旅行に行かずに、自分の住むアパートの地下室で暮らそうと計画する。まるまる1週間、好きな音楽と本だけで過ごそうと思っていたのだ。しかしそこに思いがけずオリヴィアが現れたことで、すべてが一変する――。
少し年上で、世の中の経験も豊富なオリヴィアとの出会いによって訪れた、少年時代との別れのときを瑞々しく描いた『孤独な天使たち』。予告編で流れるのは、本編の挿入歌として使用されている、
デヴィッド・ボウイ 「スペイス・オディティ」のイタリア語ヴァージョン、「ロンリー・ボーイ、ロンリー・ガール」(2010年リリースの『スペイス・オディティ / 40周年記念エディション』収録)。この曲を偶然ラジオで聴いたベルトルッチ監督は「デヴィッド・ボウイが英語のアクセントを封じ込めながら、イタリア語で歌っていた。彼は英語では“管制官よりトム少佐へ、こちらトム少佐より管制官へ”と歌うが、イタリア語では“孤独な少年よ、教えてくれ、どこに行こうとしているのか、あまりに痛みが大きすぎるから…”となる。ボウイのSFの歌がロマンチックなイタリア語の歌に変化している。このイタリア語ヴァージョンの曲は、『孤独な天使たち』の特定のシーンのために書かれたように思えた」と語っています(「ロンリー・ボーイ、ロンリー・ガール」の歌詞は、ベルトルッチ監督も敬愛するイタリア作詞界の重鎮、モゴールが手掛けたもの!)。
音楽にも特別なこだわりを見せるベルトルッチ監督は、本編のエンディングにボウイが英語で歌う「スペイス・オディティ」を使用しており、この“宇宙に向かっていく”ことを歌ったオリジナル版と、“孤独な少年よ、どこへ”と歌ったイタリア語版の歌詞が少年の心情の変化と見事に呼応しています。
ボウイほか、
ザ・キュアー 、
ミューズ 、
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ などの楽曲もストーリーを盛り上げる『孤独な天使たち』。ぜひ劇場でご覧ください。
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