綾戸智恵 2013/05/28掲載(Last Update:13/05/29 12:26)
1998年のデビュー以来、音楽シーンの一線で活躍し続け、ジャズ・リスナーの裾野を広げてきたシンガーでピアニストの
綾戸智恵さんが、5月25日(土)、池袋の東京芸術劇場 コンサートホールでデビュー15周年を記念するソロ・コンサートを行なった。
普段は主にクラシックの公演を行なっている会場のステージには、ピアノが一台。まるでクラシックのピアノリサイタルが始まりそうな雰囲気のなか、綾戸さんが客席に目を向けながら「どうもどうも」といった感じで小走りに出てくると空気が一気に明るくなる。ピアノに向かい、ポロポロと弾きながらまずは曲の紹介。この曲は
ジョン・ウェインにそっくりだった父が好きで、などと思い出話をしてから「Shenandoah」を歌った。綾戸さんは、一曲歌い終わるごとに、次の曲について語ってから演奏し始めるのだが、この語りが本当に素晴らしい。この曲がどういう曲なのか、何故私がこの曲を歌うのかといった、いたって真面目な内容を、独特の話術で爆笑トークにしてしまう。お客さんはたとえその曲を知らなかったとしても、曲に親しみを覚えただろうし、大いに楽しめただろう。今後もコンサートが控えているので、爆笑トークの内容は書かないが、1曲ごとに話で笑って、ブルースからの影響をたっぷり受けている綾戸節の歌を堪能してというこの緩急のリズムが、彼女のコンサートの最大の魅力なのかもしれない。
本編の最後、デビュー15周年を記念した最新アルバムのタイトルにもなっている
ボブ・ディランのカヴァー「Forever Young」を歌う前に、綾戸さんは自分の音楽は「音符から生まれたのではなく、暮らしから出てきたもの」だと語った。いつもコンサートに足を運んでくれるお兄さんが、15年の間におっさんになっている、そんなお客さんとの時間の積み重ねが私の音楽なんです。まあ、そんな話でしんみりさせた直後にボブ・ディランの真似をするのだが……。
曲を始める前にトークがあると書いたが、この日一箇所だけトークを挟まなかった。長いアンコールの終盤、
舟木一夫さんが70歳近い現在も「高校三年生」を歌っているという話をしてから、そんなふうに私もこの歌を歌っていきたいと代表曲の「Tennessee Walts」を披露すると、エンディングで目頭を押さえ、呼吸を整えてコンサート最後の曲へ。歌い終わると「おおきに!」と笑顔で客席に手を振り、出てきたときと同様小走りにステージを去っていった。
綾戸智恵さん、デビュー15周年おめでとうございます。まだまだ、舟木一夫さんなみに歌い続けてください。
(写真:池田エイシュン)
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綾戸智恵 デビュー15周年記念スペシャル・コンサートURL[
chie-ayado.jimdo.com/15周年記念スペシャルコンサート]
・6月29日(土)
神奈川県民ホール大ホール
開場 16:30 / 開演 17:00
※お問い合わせ: KMミュージック 045-201-9999
・7月27日(土)
東京 渋谷 Bunkamura オーチャードホール
開場 17:00 / 開演 17:30
※お問い合わせ: サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
・7月28日(日)
東京 渋谷 Bunkamura オーチャードホール
開場 13:30 / 開演 14:00
※お問い合わせ: サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
[チケット]
6,500円(税込 / 全席指定)