1960年代から活躍し、“ジャズの帝王”
マイルス・デイヴィスのバンドに参加するほか、フュージョン / クロスオーヴァー界でも名曲「スペイン」を生み出すなど、常にジャズ・シーンをリードしてきた
チック・コリア(Chick Corea)。
そんな彼がまた、シーンに新風を巻き起こす新プロジェクトを結成し、そのバンド名を冠したアルバム
『ザ・ヴィジル』をリリースしました。
“不寝番”といった意味を持つこの“ヴィジル”という言葉を選んだことについて、チックはこう語っています。
「人々はいつも他人を楽しませたいという本能的な衝動を心に抱き、歌ったり、踊ったり、 太鼓を叩いたり、演奏したり、物語を語ったり、絵を描いたりしてきた。(中略)この基本的な衝動を、絶えず着実に監視し維持し続けること、音楽を通じてのコミュニケーションを、いつも純粋で新鮮なものにし、最高の状態に保つこと、そこにこのバンドの存在意義があり、メッセージがある。それがヴィジル(=徹夜の監視)だ。わたしたちはそれを固守し、常に進化させようとするのだ」 このプロジェクトへの並々ならぬ意欲がそんな強い意志を貫くために「年齢や経験に関係なく選んだ」というメンバーは、
ジョン・マクラフリンから“次の
ジャコ・パストリアス”と称され注目を集めているベーシスト、
アドリアン・フェローと、巨匠
ロイ・ヘインズの孫のドラマー、
マーカス・ギルモア、チックの右腕として世界ツアーにも帯同している管楽器奏者、
ティム・ガーランド、アメリカ西海岸を拠点にジャズ・シーンで“ライジング・サン”と称されるギタリスト、チャールス・アルトゥラを起用。その他、70年代に一世を風靡したバンド
“リターン・トゥ・フォーエヴァー”でも活動を共にした盟友ベーシスト、
スタンリー・クラークもゲスト参加。
「わたしは世界中のすべてのリスナーに喜びと希望をもたらしたい」とチックが語る『ザ・ヴィジル』。
9月にはこのバンドを率いて来日公演も決定。“ジャズ界のリードオフマン”チック・コリアの新展開から目が離せません。