ニーナ・シモン 2003/04/22掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
ニーナ・シモンが21日、フランス南部の自宅で亡くなりました。享年70歳。50年代から今日まで残して来た功績を思うと、驚きよりも、あらためて彼女の存在の聖なる輝きに満たされる思いがしますね。
ニーナ・シモンは1968年の決定的名盤
『NINA AND PIANO』(写真)に象徴されるように、ジャズヴォーカリストと言うよりも、ブルース、フォークと言ったトラットな持ち味、つまりは黒人霊歌の範疇に属する、真のディープ・ソウル・シンガーだったのだと思います。ジャズとは音楽のジャンルでは無く、リズムの形態でも無く、黒人の生き方、考え方そのものなのかもしれない・・・。ニーナをジャズシンガーと考える時、そんな事を考えてしまいます。ジャズとは、カントリーやブルースと同じように、ルーツミュージックであって、ルーツ・ミュージックとはソウルミュージックなわけであり、ジャズがインテリ層に支配される時代にあって、ついぞ忘れられる事実なのであります。そんな時、彼女の歌声を聴くと、ふっと肩の荷が降りる気がするのでありました。
とは言え、ジュリアード音楽院で、西洋音楽の教育も受けているニーナ・シモンの音楽的な魅力は、単にソウルシスターとしての魅力だけに収まらない、懐の深さがあって、まさに一世一代の存在だったと感じます。
今日は『NINA AND PIANO』を聴こうではありませんか! そしてニーナの魂を称えましょう! 心よりご冥福をお祈りします。