個性を表わすのに大きな役割を果たしているのが、アーティストの名前。近年はネット・シーンの影響もあってか、さまざまに創意工夫した名前のアーティストが見受けられ、なかなか初めてでは読むことが難しいアーティストも多いのではないでしょうか。
ひとえに読むのが難しいといっても、地名のような難読漢字や英語をはじめ日本語以外の言語を採用しているアーティストは数限りなくいるので、今回はそれ以外の凝ったネーミングのアーティストをいくつか紹介していきます。
まずは、2021年にメジャー・デビューを果たした“
4s4ki”(アサキ)。『けものフレンズ』などの舞台音楽制作や他アーティストへの楽曲提供も行なう才能あふれる新鋭シンガー・ソングライターです。“A”を“4”に寄せた表記にしています。同じように数字を用いるタイプとしては、大阪発の4人組バンドの“
8otto”(オットー)や、ボカロPの活動を皮切りに、
中川翔子や
MEG、
柴咲コウらのプロデュースや楽曲提供を行なうミュージシャン / プロデューサーの“
DECO*27”(デコ・ニーナ)、2021年の日本武道館公演で解散となったアイドル・グループの“
CY8ER”(サイバー)などがいます。世界的トップDJ / プロデューサーとして知られる“R3hab”(リハブ)やグラミー賞にもノミネートされた米ラッパーの“
6LACK”(ブラック)など、海外でもこのタイプは少なくないようです。
続いて、ロック・バンド“
Tempalay”のシンセサイザーを担当するシンガー・ソングライター / トラックメイカーの“
AAAMYYY”(エイミー)のようなアルファベットを並べたタイプ。
UNISON SQUARE GARDENの
斎藤宏介とベーシスト
須藤優とのユニット“
XIIX”(テントゥエンティ)は、バンド名会議の日付の“10月20日”をローマ数字風に表現したもの。海外では
ドレイクらが設立したレーベル「OVOサウンド」に所属して注目されているカナダのR&Bデュオ“dvsn”(ディヴィジョン)や、2010年に全米1位を獲得した
ファーイースト・ムーヴメント「ライク・ア・G6」に客演したザ・キャタラクスのメンバーで、その後EDMシーンで活躍している“KSHMR”(カシミア)、マッド・リブやJ・ディラらヒップホップ・シーンの重要人物を多く輩出する米レーベル「ストーンズ・スロウ」の看板アーティスト“
Mndsgn”(マインド・デザイン)など、
DAIGOが使う略語“DAI語”にも似た表記のアーティストも散見されます。
ここまでは初見でも勘を働かせて読める人も多いかもしれませんが、難易度が高くなるのが記号系のネーミング。本名をモチーフに左右対称の記号としてもデザインされた媚薬系ヴォーカルで人気の“
一十三十一”(ヒトミトイ)や、
三浦康嗣を中心としたポップ・ユニットの“
□□□”(クチロロ)などは序の口。米ロック・バンド“
!!!”(一般的に“チックチックチック”と呼ばれている)はフジロックのヘッドライナーも務めるなど来日も多く、知名度もあるとは思いますが、サンフランシスコ発のチルウェイヴ / ウィッチハウス・プロジェクト“
oOoOO”(オー)や、シアトル出身のドゥームメタル・バンド“
SunnO)))”(サン)、仏エレクトロ・ミュージシャンの
FKJ(フレンチ・キウイ・ジュース)にフィーチャーされて話題を集めた米・テキサス州ダラス出身のソウル / R&Bシンガー、ジューン・マリージーによるプロジェクト“ ((( O )))”(ザ・サンドロップ・ガーデン)などは、なかなかスラスラとは読めないはず。2016年〜2019年に活動していたアイドル・グループ“
・・・・・・・・・”は公式の呼び名がなく、“ドッツ”“ドッツトーキョー”“てんちゃんズ”などと呼ばれ、メンバーの名前も全員“・”と、ファン以外はかなりの難易度です。
極めつけは、すんなりとサイト上では表記できない(写真)、ロンドン出身の電子系アーティストの
キエラン・ヘブデンによるソロ・プロジェクト“フォー・テット”の別名義と思われるアーティスト名。グルジアのアルファベットやタミル文字などを用いて、発音ができない記号となっており、bandcamp(https://00000ooooo.bandcamp.com/)にある曲名も解読不能。フォー・テットはこれ以外にも“00110100 0101010”や“△”記号を使った“△▃△▓”などの別名義もあり、かなり“クセ”が強いネーミングをするアーティストといえるでしょう。
かつて、
プリンスが男性(♂)と女性(♀)にラッパ風のデザインを組み合わせた記号をアーティスト名にした際、自身が特に読み方を決めなかったことから“ジ・アーティスト・フォーマリー・ノウン・アズ・プリンス”(=かつてプリンスとして知られたアーティスト)や“ジ・アーティスト”などと呼んだことがありましたが、フォー・テットの別名義はもはや別次元でしょうか。
米津玄師(よねづけんし)や
Official髭男dism(オフィシャルヒゲダンディズム)、
IZ*ONE(アイズワン)、“シックストーンズ”と読んでしまいそうな
SixTONES(ストーンズ)などは、知名度が高いゆえ今でこそ簡単に読めると思いますが、初見ではたやすく読めないはず。ただ、上記のアーティスト名を見ると、読みがやさしい部類に入るような気になるのが不思議です。
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