5月7日は語呂合わせで“ゴナ”……ということで、“gonna”(「〜するつもり」「〜する予定」の意味を表わす“going to”の短縮形)がタイトルに入っている楽曲のなかから、人気曲をいくつかピックアップしてみました。
スティーヴィー・ワンダーの「疑惑」は、原題は「アイ・エイント・ゴナ・スタンド・フォー・イット」(I Ain't Gonna Stand for It)といいます。「マスター・ブラスター」「ハッピー・バースデイ」などが収められた1980年リリースのアルバム『
ホッター・ザン・ジュライ』に収録され、同アルバムは全米3位、全英2位のビッグヒットとなりました。
翌年に“ディスコ・ファンクの女王”こと
チャカ・カーンが発表した「恋のハプニング」の原題は「ホワッチャ・ゴナ・ドゥ・フォー・ミー」(What Cha' Gonna Do for Me)。全米R&Bチャート1位を獲得し、同タイトルの
アルバムはゴールドディスクを獲得しました。
1983年に
セルジオ・メンデスが発表したのが「愛をもう一度」で、原題は「ネヴァー・ゴナ・レット・ユー・ゴー」(Never Gonna Let You Go)。
バリー・マンと
シンシア・ウェイルの夫妻が手掛けたこの曲は、当初
アース・ウィンド&ファイアに提供予定でしたが、見送られ、
ディオンヌ・ワーウィックや
スティーヴ・ウッドなどがレコーディング。そのなかで、セルジオ・メンデスのヴァージョンが全米4位とヒットしました。歌唱はジョー・ピズーロとリーザ・ミラーが担当しています。
1987年には連発で“gonna”ソングがヒット。イギリスの歌手
リック・アストリーのデビュー曲「ギヴ・ユー・アップ」(Never Gonna Give You Up)は、5週連続全英1位、翌年に全米1位となるなど、世界的ヒット。日本をはじめ多くのアーティストのカヴァーが生まれたほか、本人が出演した「三ツ矢サイダー」のCMソングにも起用。
志村けんがコントのなかで同曲のサビを口ずさむなど、さまざまなシーンで話題となりました。
スターシップの「愛はとまらない」の原題は「ナッシング・ゴナ・ストップ・アス・ナウ」(Nothing's Gonna Stop Us Now)。ロマンティック・コメディ映画『
マネキン』のテーマ・ソングに用いられ、米英ともに1位を記録し、カナダや日本などでも首位を獲得しました。ポップで流麗なメロディが印象的なミディアム・チューンで、アルバム『
ノー・プロテクション』にも収録されています。
ハワイのシンガーの
グレン・メデイロスのデビュー曲「変わらぬ想い」の原題は「ナッシング・ゴナ・チェンジ・マイ・ラヴ・フォー・ユー」(Nothing's Gonna Change My Love For You)。当初は1984年に
ジョージ・ベンソンがアルバム『
20/20』で発表していましたが、メデイロスがカヴァー。ウェディング・ソングとしても有用なラヴ・ソングで、イギリスをはじめ、フランス、オランダなどの欧州やカナダなどで1位に。日本では杉山清貴などのカヴァーでも知られています。
90年代に入っても“gonna”ヒットソングが登場。1990年には
C+Cミュージック・ファクトリーが「エヴリバディ・ダンス・ナウ!」を発表。原題は「ゴナ・メイク・ユー・スウェット(エヴリバディ・ダンス・ナウ)」(Gonna Make You Sweat(Everybody Dance Now))で、
マーサ・ウォッシュやフリーダム・ウィリアムスらによる迫力あるファットなヴォーカルが強烈な印象を残し、いまでもTV番組のBGMやCMなどにも数多く使われています。
1992年には米・ガールズ・グループの
アン・ヴォーグが「マイ・ラヴィン」をリリース。原題は「My Lovin' (You're Never Gonna Get It)」で、アルバム『
ファンキー・ディーヴァス』のシングル・カット第1弾となりました。「マイ・ラヴィン」は全米2位、全英4位とヒット。以来、90年代のガールズ・グループ・シーンを牽引し、
TLCや
SWV、
デスティニーズ・チャイルドなどにも影響を与えました。
日本では「ウィルキンソン」のCMをはじめ、ゲームやTV番組BGMなどさまざまな場面で登場する“レニクラ”こと
レニー・クラヴィッツの「自由への疾走」は、原題が「アー・ユー・ゴナ・ゴー・マイ・ウェイ」(Are You Gonna Go My Way)。1993年に同タイトルの
アルバム(写真)に収録され、グラミー賞の最優秀ロック・ソング賞と最優秀ロック・ヴォーカル・パフォーマンス賞にもノミネートされました。
1997年にはドイツ発のプロジェクト、
スウィートボックスが「エヴリシングズ・ゴナ・ビー・オールライト」(Everything's Gonna Be Alright)をリリース。ハイコ・シュミットとロベルト・“ゲオ”・ローセンに、ヴォーカルをフィーチャーする形で始動した同プロジェクトは、
ティナ・ハリス時代に
バッハ「G線上のアリア」をサンプリングした同曲が世界的ヒット。その後も
ジェイドをはじめ、歴代のヴォーカリストが歌っています。
2000年代は2曲をピックアップ。まずは、2002年にロシアの女性デュオ、
t.A.T.u.が発表した「ノット・ゴナ・ゲット・アス」(Not Gonna Get Us)。ロシア語では「ナス・ニェ・ダゴニャト」というこの曲は、最初の英語アルバム『
t.A.T.u.』からシングル・カット。イギリス、イタリア、オーストリア、フィンランドなどで上位にチャートインし、日本ではアルバム・リリースから2ヵ月で100万枚セールスを突破。当時の掲示板「2ちゃんねる」では、同曲を元ネタに空耳曲「ナス嫌だゴニャ」が作られ、人気を集めました。
翌年にはオーストラリアのロック・バンドの
ジェットが「アー・ユー・ゴナ・ビー・マイ・ガール」(Are You Gonna Be My Girl)を発表。アルバム『
ゲット・ボーン』の先行シングルとなったこの曲は、軽快なギターリフやシャウトが痛快。国内外で映画やTV番組、CM、ゲームなどに使われ、2006年のエア・ギター世界選手権では
大地洋輔(
ダイノジ)が同曲をプレイして優勝を果たしたのも話題となりました。
最後に、日本からも“gonna”ソングを3曲挙げておきましょう。1995年に
trfがリリースした「
CRAZY GONNA CRAZY」はドラマ『我慢できない!』の主題歌に起用され、trfが最も売り上げたシングルとなっています。
MISIAが1998年に発表したデビュー曲「
つつみ込むように…」。MISIAの代表曲となっている同シングルにカップリングされていたのが「Never gonna cry!」で、ライヴでも人気の高い曲として知られています。2000年に
倉木麻衣の4thシングルとしてリリースされたのが「
NEVER GONNA GIVE YOU UP」。デビュー・アルバム『
delicious way』などにも収録され、チャート2位を記録しています。