8月4日は、「は(8)・し(4)」の語呂合わせから「橋の日」に制定。各地域にかかる橋を通じて、ふるさとを愛する心を培い、河川の浄化を図ることを目的として、橋の日実行委員会が記念日としました。その「橋の日」にちなんで、“橋”をタイトルに冠している“橋ソング”をいくつか紹介していきましょう。
地名や名所などをテーマにする“ご当地ソング”が少なくない演歌シーンでは、この“橋”ソングがよく登場します。
北島三郎「橋」を皮切りに、ドラマ『命の現場から6』主題歌に起用された
山川豊「アメリカ橋」、
小金沢昇司「願・一条戻り橋」、
由紀さおり「両国橋」、
堀内孝雄「面影橋」、
さくらまや「かもめ橋から」など、枚挙にいとまがありません。
森昌子は『NHK紅白歌合戦』において、1977年に「なみだの桟橋」を、1979年に「ためいき橋」をそれぞれ歌唱し、
おニャン子クラブからの初の演歌界進出となった
城之内早苗は、ソロ・デビュー・シングル「あじさい橋」で演歌で初となるチャート初登場1位を達成しています。女優の
河合美智子は、NHK連続テレビ小説『ふたりっ子』の役名、オーロラ輝子名義で歌唱した劇中歌「夫婦みち」でブレイクしましたが、そのデビュー・シングルは「まごころの橋/夫婦みち」と「まごころの橋」とのカップリングでした。
もちろん、演歌だけでなく、
浅田美代子「虹の架け橋」、
山口百恵「愛染橋」、
さだまさし「木根川橋」、
狩人「アメリカ橋」(湖東美歌のカヴァーで、山川豊とは別曲)、ムード歌謡グループの中井昭・
高橋勝とコロラティーノのデビュー曲「思案橋ブルース」、ドラマ『火曜サスペンス劇場』主題歌となった
岩崎宏美「橋」など、歌謡シーンでも“橋”ソングは頻繁に登場。ロック・シーンでは、1992年に
HOUND DOGが22ndシングルとして「BRIDGE〜あの橋をわたるとき〜」を発表。
加勢大周出演の「アサヒスーパードライ」CMソングとして話題を集め、HOUND DOG最大のヒットとなっています。同年の
佐野元春の36thシングル「約束の橋」も佐野最大のヒット曲に。こちらは1989年に当初アルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』の先行シングルの28thシングルとしてリリースされましたが、
牧瀬里穂、
稲垣吾郎共演ドラマ『二十歳の約束』の主題歌に起用されたことで再レコーディング。チャート4位のビッグヒットとなりました。
1993年には、
森高千里が17thシングルとして「渡良瀬橋」を発表。渡良瀬橋で見た夕日や二人で歩いた夕日がきれいな街を見ながら別れた人を想い出す切ない楽曲は、リリース直後から反響を呼び、その後、歌碑が建てられたほか、最寄り駅の東武伊勢崎線の足利市駅やJR東日本の両毛線の足利駅のメロディに採用されたりと、人気の“橋”ソングとして広く知られるところとなりました。1999年には
観月ありさ主演ドラマ『天使のお仕事』の主題歌として観月が「朝陽のあたる橋」を発表しています。
2000年以降も“橋”ソングは次々と発表されていきますが、特に2004年は“国民的ソング”ともいえる名曲が誕生。NHK『アテネオリンピック中継』公式テーマ・ソングに起用された
ゆずの21stシングル「栄光の架橋」は、各スポーツ会場や表彰、名場面を振り返る際のBGMなどとして広く使われ、ゆずの代表曲のひとつとして長く愛される楽曲となりました。同年には
高橋克典主演ドラマ『サラリーマン金太郎4』主題歌起用の
THE ALFEE「希望の橋」や、NHK夜の連続ドラマ主題歌となった
倉木麻衣「明日へ架ける橋」もリリースされています。
そのほか、「アクエリアス フリースタイル」CMソングとなった
レミオロメン「明日に架かる橋」、
三浦春馬主演ドラマ『ブラッディ・マンデイ』主題歌起用の
flumpool「Over the rain 〜ひかりの橋〜」、アニメ『名探偵コナン』シリーズの主題歌として使われた倉木麻衣「渡月橋 〜君 想ふ〜」、2024年に
乃木坂46の37thシングルとなった「歩道橋」など、時代を問わずにさまざまな“橋”をテーマにした楽曲が歌い継がれています。
最後に、海外アーティストの“橋”ソングを2曲挙げておきましょう。おそらく“橋”を冠する楽曲として多くの人が思い浮かべると思われるのが、
サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」(Bridge over Troubled Water)。1970年に発表されたこの曲は、全米6週連続1位かつ年間チャート1位、全英3週連続1位を記録すると、翌年のグラミー賞では最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞を含む5部門を獲得する快挙を達成し、自身最大のビッグヒットとなりました。当然、多くのカヴァーが生まれ、
エルヴィス・プレスリーや
ジャクソン5、
アレサ・フランクリンをはじめ、世界の多くのアーティストがいまなおこぞって歌う傑作として親しまれています。
もう1曲は、同じくサイモン&ガーファンクルの「59番街橋の歌(フィーリン・グルーヴィー)」(The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy))。ニューヨークのイースト川にかかるクイーンズボロ橋の別名を冠したこの曲は、1966年のアルバム『パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム』収録曲として発表。翌年にシングル「動物園にて」(At the Zoo)のB面にカップリングされた曲ながら、人気曲として知られています。日本でも
ザ・ゴールデン・カップス、
ベッツィ&クリス、
ピチカート・ファイヴをはじめ、カヴァーするアーティストが絶えません。
(写真は2009年リリースの森高千里のシングル「
雨 / 渡良瀬橋」)