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9月24日誕生! 〜遊び心とセンスにあふれたポップ・マエストロ KAN

KAN(SSW / 1962)   2025/09/24掲載
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「愛は勝つ」以外のKANの人気曲がしりたいです!
 日本歌謡史に残る大ヒット曲「愛は勝つ」で知られるシンガー・ソングライターのKANは、9月24日がバースデー。

 1962年に木村和(きむら・かん)として福岡県で生を受けたKANは、1987年にシングル「テレビの中に」およびアルバム『テレビの中に』でデビュー。3年後の1990年に発表した5thアルバム『野球選手が夢だった。』に収録された「愛は勝つ」が、翌年のバラエティ番組『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』の挿入歌やエンディング・テーマに使われると、ビリー・ジョエル「アップタウン・ガール」「愛する君に」あたりを想起させる作風のこの曲が大ヒット。瞬く間に全国に名を馳せ、同年末には日本レコード大賞を受賞し、『NHK紅白歌合戦』ではモーツァルト風のコスプレで同曲を歌い、話題を集めました。「愛は勝つ」はその後も多くのアーティストにカヴァーされ、90年代を代表するヒット曲として、いまなおさまざまなシーンで歌い継がれ、親しまれています。

 あまりにも「愛は勝つ」のビッグヒットの印象が強いKANですが、以降も「イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ」「プロポーズ」「言えずのI LOVE YOU」「死ぬまで君を離さない」「まゆみ」などがヒット。そのほかにも、1991年発表の6thアルバム『ゆっくり風呂につかりたい』に収録された「永遠」や翌1992年リリースの初のベスト・アルバムに新曲として収録された「めずらしい人生」、フランス・パリでの活動から帰国した後、約4年半ぶりに発表した2006年のシングル「カレーライス」、2010年のアルバム『カンチガイもハナハダしい私の人生』に収録された「バイバイバイ」、生前最後のアルバムとなった2020年発表の17thアルバム『23歳』収録の「エキストラ」など、ポップ・センスに富んだ名曲を数多く遺しています。

 また、スターダスト☆レビュー森高千里らとの“Pacific Heaven Club Band”、桜井和寿Mr.Children)との“パイロットとスチュワーデス”、スターダスト☆レビュー、スキマスイッチ秦基博との“ホスキモ”、山崎まさよしとの“YAMA-KAN”などのバンドやユニットを結成し、ソロ以外でも幅広く活動しました。

 ライヴでは寸劇やコントなどもさまざまな要素を取り入れた、エンタメ性の高いショーでファンを大いに沸かせました。ステージや楽曲においては、子供の頃の純粋な感情を大切にしながら、時に背伸びをした感じにすましてみたり、時に気の利いた笑いで楽しませるなどの遊び心を満たした、親しみを感じるポップ・サウンドやパフォーマンスを提供。ファンはもちろん、アーティストへも大きな影響を与えており、2023年11月にKANが死去した直後に、1992年にケンタッキー・フライドチキンのクリスマスCMソングに起用された「KANのChristmas Song」をaikoトータス松本、スキマスイッチ、根本要、秦基博、馬場俊英槇原敬之が歌い繋ぎ、“KAN with His Friends”による「KANのChristmas Song 2023」として発表するほか、2024年には、生前にKANと親交があったミュージシャンたちが集い、ライヴ・イベント〈KANタービレ 〜今夜は帰さナイトフィーバー〜〉を開催。イベントタイトルからも笑いが好きなKANを意識したこともうかがえます。

 KANが旅立ってから約2年の月日が経とうとしていますが、バースデーにあらためてKANの名曲を味わってみるのはいかがでしょうか。入門編としては『めずらしい人生』『The Best Singles FIRST DECADE』『IDEAS the very best of KAN』『Songs Out of Bounds』といったベスト・アルバムや、ドナルド・フェイゲンのアルバム『ナイトフライ』を明らかに意識したと思しきジャケット・ヴィジュアルが印象的な『la RiNASCENTE』(写真)や『la RiSCOPERTA』といったセルフカヴァー・アルバムあたりから手を伸ばしてみるといいかもしれません。
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