ニューヨークを拠点に活動する、レイチェル・ブラウンとネイト・エイモスによるデュオ、ウォーター・フロム・ユア・アイズ（Water From Your Eyes / 以降WFYE）がニュー・アルバム『It's A Beautiful Place』をCD・LP・デジタル / ストリーミング配信で8月22日（金）世界同時リリース。あわせて、先行配信曲「Life Signs」をメンバーのレイチェルが監督したミュージック・ビデオとともに公開しています。

　2023年の〈Matador Records〉からのデビュー作『Everyone’s Crushed』が批評家から高い評価を受け、The New York Times、The Guardian、Pitchfork、NME、Vogue、Wired、Rolling Stoneなどの年間ベストに選出、一躍ニューヨーク・オルタナティヴ・シーンの中心的存在となったWFYE。最新作は前作までと同様、ネイトの自宅ベッドルームで制作されましたが、より本格的なライヴ・バンドのダイナミクスを念頭に置いて、作曲とレコーディングを行ないました。

　「バンドと一緒に演奏していると、そのバンドを念頭に置いて作曲したくなる。WFYEのメンバーが地下室よりも大きな場所で演奏している姿を想像して曲を作ったのは、このアルバムが初めて」と言うネイト。今回先行リリースされた「Life Signs」は、ニューメタルのバックビートと、リズムカルだが平坦なヴォーカルで始まり、まるで1997年のMTVの流れ（ブラン・ヴァン3000とケイクの合間に収まるような、ノスタルジックで雑多な90年代後半のポップ / オルタナティヴ・カルチャー）を彷彿とさせる楽曲となっています。

　アルバムで描かれるのは、時代や音楽スタイルを俯瞰で捉えた衛星画像のように、Y2K以降のポップ・ソングを新たな視点で再構築する、壮大で意識的な旅路。曲間に差し挟まれる短いインストゥルメンタルは、巨大で骨太な楽曲群を繋ぐポータルのように機能しており、「最終的には、時間と恐竜と宇宙についての作品になった」とネイトは説明。

　収録されるのは冒頭のインストゥルメンタル「One Small Step」やジョン・フルシアンテばりの至福に満ちたストラトキャスターのギター旋風から、レイチェルの脆くも詩的なモノローグへと続く「Nights In Armor」、6分間にも及ぶ、4つ打ちの壮大曲「Playing Classics」、そしてレコードではA面を締めくくる「You Don’t Believe in God?」など。

　メンバーは2人とも教会に通って育ったそうで、レイチェルはカトリック、ネイトは聖公会出身。「子どもの頃は神父になりたかった」「でも神と直接対話するには『違う身体（＝男性）』に生まれる必要があると知ってから、信仰は崩れていった。今でも、何かしらの神様みたいな存在は信じているけれど」と語るレイチェルに対し、ネイトは「このアルバムは、宗教を完全に拒絶していた者が、また神に少しずつ畏怖を感じていることについて触れている」と語っています。




Photo by Adam Powell