太平洋戦争、すでに日本の戦局が悪化していた昭和19年9月15日からはじまった「ペリリュー島の戦い」と、終戦を知らず2年間潜伏し最後まで生き残った34人の兵士たちを描いたアニメーション映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』が、終戦「80周年」の節目である2025年12月5日より公開に。これに先駆けて、壮絶な戦いと兵士の想いが交差する本予告映像&本ヴィジュアルが公開。さらに、
上白石萌音が物語を優しく包み込む主題歌を担当することが発表されました。
原作は白泉社ヤングアニマル誌で連載され、かわいらしいタッチでありながら戦争が日常であるという狂気を圧倒的なリアリティで描き、第46回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した武田一義による同名漫画。クリエーター各界から絶賛コメントが寄せられた戦争漫画の新たなる金字塔が、ついに劇場アニメーションとして映画化されます。
心優しい漫画家志望の主人公・田丸均(たまる ひとし)には
板垣李光人、頼れる相棒・吉敷佳助(よしき けいすけ)には
中村倫也がキャスティング。確かな演技力で話題作への出演が絶えない2人が、過酷な戦場を生き抜こうとする若き兵士を熱演します。南国の美しい島で相次ぐ戦闘、飢えや渇き、伝染病――。家族を想い、故郷を想いながら、若き兵士が次々と命を落としてゆく中、必至で生き抜こうとする田丸と吉敷。自決も許されない持久戦、1万人中最後まで生き残ったのは僅か34人だった地獄のような戦場、ペリリュー島で若者たちは何を想い、生きたのか。観る者の感情を揺さぶる、壮絶な世界で紡がれた戦火の友情物語が、終戦80年の冬に甦ります。
解禁された本予告は、田丸と吉敷の戦火の絆と、楽園のような島での苛烈な戦いが90秒に凝縮されたもの。「君は…生きてこの島から帰れると思っているのかい?」――優しい絵柄と、かわいらしい三頭身のキャラクターから発される残酷な台詞で映像の幕を開ける太平洋戦争末期、田丸は故郷から遠く離れた島、ペリリュー島で仲間の最期を「勇姿」として手紙に書き記し、家族に届ける「功績係」に任命されます。
映像はペリリュー島の美しい自然を描きながら、「楽園が、地獄に変わる」の一言と、落下する爆弾のカットを境に突如としてその様相が一変。鮮やかな緑の色彩は血と硝煙にまみれた物々しい色調へとシフトし、まるで1944年のパラオ・ペリリュー島の激戦の中に踏み込んだかのような銃撃戦の音が鳴り響きます。互いを憎み合う兵士たちの声、防ぎようのないほど降り注ぐ弾丸。かわいらしいタッチのキャラクターが、生と死の境界で必死にもがき、倒れていく姿は、観る者の心臓を鷲掴みにするような衝撃です。そんな極限の戦場において、強い友情が芽生えた田丸と吉敷は、「共に生きて帰る」ことを信条に、互いに手を取り合います。
映像の後半には2人がシャボン玉をしたり、仲間と談笑する場面など、仲間たちの絆も暖かく映し出されますが、交戦した米兵に倒れ際にこぼした「ママ…」という最期の言葉に、「ママってお母さん…?」と田丸が驚愕するシーンや、田丸の両親が戦場へ赴く息子を心配そうな顔で見送る追憶のシーンは、戦場にいる誰もが故郷と愛する人の元へ帰りたかったという、普遍的な願いを示唆しています。
そして、クライマックスを飾るのは、女優だけでなく歌手としても活躍する上白石萌音が担当する主題歌「奇跡のようなこと」。吉敷の「死ぬわけにはいかねーな!」という強い決意の声の後に、彼女の透明で優しい歌声が響き渡ります。上白石の歌声や歌詞が持つ、包み込むような優しさは、物語の核心である「生きることへの尊さ」と「生き残る約束が結んだ友情」とに共鳴。本主題歌は、作品の世界観を広げ、観客が物語をより個人的な感情として捉え、深く共感するための重要な橋渡しであり、映画本編を観終わった後、「奇跡のようなこと」を聴くことで、さらに感動の涙を誘います。
作曲を務めたのはKazuyo Suzuki。穏やかながらも芯の強さを感じさせるようなメロディラインは聴く人の心に訴えかけます。作詞は「小さなか恋のうた」で知られる
MONGOL800の
キヨサクが担当。愛が故の命があるということを、そしてその中でのふとした日常の風景を切り取ったダイレクトかつ優しい詞は、現代にいる私たちにも生きていることの尊さを伝えてくれます。
併せて到着した本ヴィジュアルは、ティザー・ヴィジュアルの穏やかな雰囲気から一変、戦争の過酷さを色濃く示しています。背中合わせに笑いあっていた田丸と吉敷は、戦火の中で険しい表情を浮かべ、肩を支え合います。足元には仲間の遺体がいくつも転がり、周りを見渡せば美しい夕焼けの中的の洗車や戦闘機が映り、ティザー・ヴィジュアルでは登場しなかった、重要な役割を果たす田丸と吉敷の仲間の姿も見ることができます。
美しい楽園とも言えるペリリュー島が一変した地獄のような戦いの中で結ばれた彼らの「約束」の行方とは……。答えを本編で確かめたい気持ちに駆られる本予告映像と本ヴィジュアルに映画への期待が高まります。
また、上白石萌音が務める主題歌「奇跡のようなこと」に寄せて、上白石と主演の板垣李光人からのコメントも到着しています。
[コメント]戦後80年の最後に、主題歌と共にこの作品をみなさまにお届けできることをとても嬉しく思います。
Kazuyo Suzukiさん(作曲)とMONGOL800のキヨサクさん(作詞)による楽曲を聞くだけで島の風や波、そして今に繋がるバトンのようなものも感じられ、映画のその後にも思いを馳せながら大切に歌いました。
お話をいただいてから原作を一気に読みました。キャラクター達がとても身近に感じられて、単なる歴史ではなく、私たちと同じ一人一人の人間の物語が描かれていました。映画で初めてこの作品に出会う方も田丸くんと吉敷くんのことが大好きになると思います。この二人に板垣李光人さん、中村倫也さんの声や、息や、魂が注ぎ込まれると思うと、とても楽しみです。
原作で田丸くんが「よく見て、考える」という言葉を何度も自分に言い聞かせるように使うのですが、私はその言葉が大好きです。田丸くんのように、世の中や、歴史や未来をよく見て考える、そのきっかけや一助に、この作品がなることを願っています。
繋ぐ、という意味合いが強い作品だと思っているので、映画をご覧になられた方と、一緒にこれからを繋いでいけたら嬉しいです。――上白石萌音なんて優しいんだろうと。
この楽曲を初めて聴いたとき、色々なものが胸に沁み入りました。
田丸や吉敷、あの島で戦った全ての人々とその帰りを待つ人々、みんなの想いやペリリュー島の情景。
詩とメロディーでそれらを丁寧に紡いでくださったことに感謝したいです。
そしてなによりその世界を届けてくださる上白石萌音さんの、優しく喉元から心がじんわりと暖かくなるような歌声。
田丸としても、救われたような気持ちになりました。
この楽曲が劇場に響き渡るのを感じること、自分自身もとても楽しみにしています。
素晴らしい主題歌を本当にありがとうございます。――主演 板垣李光人©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー −楽園のゲルニカ−」製作委員会