続く『PA PA YA !!(feat. F.HERO)』では、SU-METALが南国サマーメタルに乗せて“祭りだ!祭りだ!”と煽ると、MOAMETAL、MOMOMETALも声を合わせる。神バンドの演奏も加速し、序盤にしてテンションはMAXだ。インド民族音楽固有のリズムが跳ねた『Kon! Kon!(feat. Bloodywood)』では、印象的なダンスパフォーマンスと相まって聴衆を酔わせていく。
デスコア要素を取り入れたヘヴィなサウンドが圧倒的な『Song 3 (BABYMETAL x Slaughter to Prevail)』では、「1!2!Thunder!」というシャウトが木魂する。ドイツのバンドElectric Callboyとコラボした『RATATATA (BABYMETAL x Electric Callboy)』では、花道を駆け抜けセンターステージで激しいアクションを披露し、熱狂をさらに高めていく。
紅のレーザービームが飛び交った『ギミチョコ!!』から『from me to u(feat. Poppy)』へと展開されるとレーザーは碧い彩りに変わり、英語と日本語を混在させた歌詞の中に、怒りや不安を乗り越え連帯しようという思いを込める。続く『KARATE』では“涙こぼれても立ち向かってゆこう”とメッセージを贈る。無数のスマートフォンのライトが創り出す幻想的な空間で繰り返されるコール&レスポンス。深い感慨が広大なアリーナ空間を満たしていった。
ラストを飾ったのはTHE ONE(BABYMETALのファン)との約束の曲『Road of Resistance』だった。最強のメタルアンセムに乗せて叫び、ステージと客席が全員で拳を突き上げる。そして、“We are BABYMETAL!”のリフレイン。強烈な余韻を残して、彼女たちは去って行った。
人類への最終警告とも言える『1999 SECRET OBJECT』。この曲はBABYMETALのかつてのツアーにてオープニングBGMに使用されたこともあって、場内のTHE ONEたちにも熱気が帯びる。間髪入れずに19世紀末のロンドンを震撼させた連続殺人鬼をモチーフにした『JACK THE RIPPER』を続ける。ルーク篁参謀とジェイル大橋代官のユニゾンからそれぞれのギターソロへの流れがたまらない。デーモン閣下の至極のロングトーンが横浜の空へと放たれていく。
地球デビュー40周年の矜持を見せつけた『老害ロック』では、冒頭部分グルーヴィーで“人間臭い”リズム遊びから変貌する最新型のヘヴィメタルサウンドで信者(聖飢魔IIのファン)を酔わせる。続く『アダムの林檎』でも、ライデン湯澤殿下のドラムスとゼノン石川和尚のベースが繰り出す抜群のリズムに乗せて、詰め掛けた大観衆をひとつにしていく。随所でカリスマ性の高いMCをはさみ、いつの間にか全員の心を虜にしていく閣下。まさに悪魔の面目躍如だ。BABYMETALを挑発する『BABYMETAL IS DEAD』(『HEAVY METAL IS DEAD』の替え歌)に対しても、大きな歓声が起こる。
新譜大教典(ニューアルバム)「Season II」のリードトラック『Kiss U Dead Or Alive』も素晴らしかった。偶数拍アクセントのギターリフが洋楽的で印象的なミドルテンポのハードロックに乗せて、生死を越えた究極の純愛が胸を打つ。戦いに挑み続け前進することを誓う『Next Is The Best!』も圧巻だった。火炎が噴射される中、この2日間が初披露という勢いに乗る王道メタルサウンドがKアリーナ横浜に響き渡った。ハイライトは黒魔術的な世界観を導入した『蠟人形の館』だった。もはやHR/HMの枠を越えた大ヒット曲に、信者もTHE ONEも垣根を越えて大熱狂だ。
炎を吹き上げたLED演出と過熱していく演奏で大観衆のハートに火を点けた『FIRE AFTER FIRE』では、閣下がセンターステージで珠玉の高音を響かせる。ルーク参謀とジェイル代官も寄り添い、悪魔の凄みをこれでもかと見せつける。そして、この後だった。聖飢魔IIとBABYMETALの歴史の奥に隠されていた、10万年以上前から始まる壮大な“ヘヴィメタル魂”の系譜が、映像で初めて明かされたのだ。そう、この2組は少なくともいがみ合う相手ではないのだ。