カエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)と
マリア・ベターニア(Maria Bethânia)。60年代から活躍する、ブラジル音楽シーンを代表する兄妹が、昨年ブラジルで開催したスタジアム・ツアーの模様を収録するライヴ・アルバム『カエターノ&ベターニア・アオ・ヴィーヴォ』を5月26日に配信で発表しました。
同ツアーは50万枚以上ものチケットを売り上げた、2024年最大規模のブラジル・ツアーです。ミナスジュライス州のミネイロン・スタジアムで6万人を超えるファンを前に収録された本作には、MPB、ポップ、サンバ、ロマンティックな音楽を融合させた、カエターノとベターニアの活気あふれるパフォーマンスと独特のケミストリーが披露されており、彼らの多彩なキャリアとブラジル音楽の豊かな伝統を讃えています。のべ60年以上にわたる音楽界での経験を引っさげたこのツアーは、直近の共演から46年という空白期間に終止符を打つ重要な復帰となっています。アルバムにはカエターノがツアー中に書き下ろした新曲「Um Baiana」を含む33曲、約2時間にわたる音源が収録されています。
フォーカス・トラックであるMPBの賛歌「Alegria Alegria」は、1967年のフェスティヴァル・ジ・ムジカ・ポプラール・ブラジレイラでカエターノ・ヴェローゾが初演した曲で、
ジルベルト・ジルの曲と並び、トロピカリア・ムーヴメント(ブラジルで60年代後半に起きた、音楽を中心とした芸術運動)の礎として広く見なされています。伝統的なブラジルのリズムと海外のポップやロックの要素を融合させ、音楽と文化の境界線を打破した「Alegria, Alegria」の大胆な歌詞と画期的なサウンドは、ブラジル音楽のターニング・ポイントとなりました。芸術と政治の新しい時代の誕生を象徴する一曲です。