〈SUMMER SONIC BANGKOK 2025〉が、8月23日と24日にIMPACTムアントーンターニー・チャレンジャーホール1〜3(タイ・バンコク)にて開催されました。
観客動員数は1日目が15,000人、2日目が12,000人の合計27,000人。
Snow Manは、初の海外大型フェス出演となります。
Creepy Nutsは、タイでは初ライヴ披露となります。
出演アーティスト数は、総勢33組(日本アーティスト9組)。DAY1が17組(日本アーティスト6組) / DAY2が16組(日本アーティスト3組)。
[ライヴ・レポート] ――この夏、タイの祝祭となったサマーソニック バンコク――
真夏のバンコク。熱を帯びた空気をさらに震わせるように、IMPACT CHALLENGER HALLに集まった数万人の観客。その目が見つめる先には、国境も言葉も越えて繋がる「音楽の力」があった。2025年8月23日と24日の2日間、今年2回目の開催となるサマーソニック・バンコクは、都市を丸ごと祝祭へと変え、日本、そしてアジア発のグローバルフェスとして確固たる存在感を刻んだ。
バンコクの街全体がサマーソニック一色に染まった週末。会場となったIMPACT CHALLENGER HALLの外壁には巨大なLEDビジョンが輝き、遠くから訪れる観客をも熱狂の渦へと誘っていた。青空の下、開場前から人々が押し寄せ、ホール周辺にはすでに祝祭の空気が漂っていた。
会場に入ってまず目を引くのは、巨大な「ARTIST MERCHANDISE」のブース。様々なオフィシャル&アーティスト・グッズの多くが「SOLD OUT」となり、熱気と期待感の高さを物語っていた。内部にはインターナショナルのメーカーや、現地のスポンサーブースが色鮮やかに並び、チェアとテーブルが一面に広がるフードゾーンは、音楽の合間に観客がリラックスして過ごす憩いの場となっていた。仲間と乾杯する姿、家族連れで食事を楽しむ姿があちこちに見られ、まるで街のフェスティバルのような開放感が広がっていた。特にVVIPやVIPエリアには整然と並んだテーブルと椅子が用意され、特別な体験を求める観客に向けたホスピタリティが徹底されていた。会場内の至る所には、タイらしいポップでカラフルなトゥクトゥク等のアート展示や「SUMMER SONIC BANGKOK 2025」の巨大ロゴオブジェが配置され、訪れる人々のフォトスポットとして人気を集めていた。日本語で「サマーソニック」と記されたタワー型の装飾は特に目を引き、異国の地で開催される“日本発フェス”の存在感を強調していた。開演前からすでにホールの空気は熱を帯びており、物販袋を手にした観客が笑顔で行き交い、ステージへと向かう姿に胸の高鳴りが伝わってくる。巨大な会場を丸ごと使ったこの空間は、まさに「音楽と祝祭のテーマパーク」。この週末、バンコクのIMPACT CHALLENGER HALLは、ただのコンサート会場ではなく、街そのものがフェスに変貌する“祝祭の中心地” となった。
DAY 1、メインフロアとなるMAHANAKHON STAGEにトップバッターのHITGSが登場すると、フロアに新鮮な熱気が一気に満ちていった。フレッシュでダイナミックなサウンドにのせた疾走感あるパフォーマンスは、観客を一瞬でフェスモードへと引き込む。彼女たちの若さとエネルギーに満ちたパーフォマンスは、これから始まる長いサマソニ・バンコクの一日の幕開けにふさわしい熱量を放った。
続いて登場したのは幻想的なアーティストのKIKUO。浮遊感あふれるトラックに乗せた独自の音世界は、会場を異世界へと導く。ビジュアルと同期した幻想的な演出は観客を夢と現実の境界に立たせ、フロアに熱気を一気に放出させた。観客はLEDを眺めサウンドに耳を傾けながらも、その神秘的な世界に陶酔し、時間が止まったかのような没入感に浸っていた。
そこから空気を一変させたのがBUS because of you i shine。12人組の大編成ならではの圧倒的な存在感で、ステージに登場した瞬間から会場の視線を独占した。多彩なヴォーカルが重なり合い、群舞のようなダンスが繰り広げられると、ステージはまるで色とりどりの万華鏡のように輝きを放つ。序盤ながらも観客は総立ちで声援を送り、祝祭感は一気に加速していった。
そしてメイド服姿で登場したBAND-MAIDから放たれるのは、鋭く突き刺さるようなギターとドラムが織りなす本格的なハードロック。キュートな外見とハードなサウンドのギャップが観客を驚かせ、やがてその圧倒的な声と演奏力で完全に現地のファンをも魅了していった。花道も駆使したギターやベースソロのたびに歓声が湧き上がり、ドラミングと鼓動を合わすかのように観客の熱狂をさらに盛り上げていったのが印象的だった。
続く日本代表のCreepy Nutsは、この日記念すべき誕生日を迎えたDJ松永による世界一のターンテーブルさばきと、R-指定の鋭い言葉が火花のように飛び散り、会場を一瞬にして掌握。緻密に組み上げられたビートと即興的なフロウが絡み合い、言語の壁を飛び越えてフロア全体を熱狂の渦へと巻き込んだ。観客は笑い、叫び、踊り、まるで一つの巨大なクラブに変貌したような一体感に包まれた。
そして一方の注目ステージであったTHONBURI STAGEに登場したのは、日本が誇るビートボクサー兼プロデューサーのSO-SO。マイク一本から生み出される驚異的なビートボックスのサウンドに、観客は目を見張る。ドラム、ベースライン、メロディが瞬時に重なり合い、現地のフロアを完全に掌握した。観客が「信じられない」という表情で耳を傾け、気づけば全員がリズムに身を委ねていた姿は、この夜の鮮烈なハイライトのひとつとなった。
その後、韓国インディーズの重鎮NELLが登場。叙情的な旋律と伸びやかな歌声がホールに響き渡り、観客を静かな感動へと引き込んでいく。派手さを排したシンプルな演奏だからこそ、楽曲の美しさが際立ち、観客は目を閉じてその音世界に浸った。
そして同ステージのラストを飾ったNOAが、洗練されたR&Bとポップの融合、そして日本語に加えて流暢な英語と韓国語を織り交ぜた歌唱で、国際的な舞台での存在感を強烈に示した。特にアップテンポな楽曲で見せたしなやかなダンスと表情豊かな歌声は、アジアの次世代ポップスターとしてのポテンシャルを証明。音楽が国境を越えて心を結びつけることを強く実感させた。
そしてMAHANAKHON STAGEでは、JVKEが自分色にサマソニ・バンコクの場内を染め上げ、観客の心に優しい余韻を刻んだ。温かなピアノの旋律と伸びやかな歌声は、これまでの熱狂を一度やさしく包み込み、会場を穏やかな光で満たしていく。曲が進むにつれ、観客は思わずスマートフォンのライトを掲げ、ホールは金色の海のように輝いた。その美しい一体感は、激しい熱狂の連続の中に静かな感動をもたらし、フェスの物語に大きなコントラストを添える瞬間となった。
その静けさを破るように登場したのが、日本を代表するアーティストであり人気絶頂のSnow Manだった。午後7時40分定刻、ついに彼らがバンコクの舞台に立つと、会場の空気が一変する。完璧に揃ったダンスと力強い歌声とステージングに凝縮され、観客を圧倒した。タイ語も巧みに織り交ぜながら初めて海外の大型フェスに挑むその姿は、彼らの一挙手一投足に熱狂が重なり、涙を流すファンの姿も多く見られた。Snow Manにとっても、この瞬間は“世界のフェスに降臨”を意味する歴史的な一歩だった。
そしてアトランタ出身のスーパースター21 Savageがステージに姿を現すと、会場はざわめきと熱狂に包まれた。鋭いラップが鳴り響き、代表曲が繰り出されるたびに観客は拳を突き上げる。無駄を削ぎ落としたミニマルな演出が逆に彼の存在感を際立たせ、ヒップホップの持つ生々しいエネルギーを観客に突きつけた。短い時間ながらも、そのインパクトは絶大だった。
そして満を持してメインステージのヘッドライナーとなるBLACK EYED PEASが登場。「I Gotta Feeling」のイントロが響いた瞬間、観客の熱は頂点に達し、ホール全体が巨大なクラブと化した。メンバーはステージを縦横無尽に駆け回り、観客とコール&レスポンスを繰り返し、熱狂をさらに引き上げていく。重低音が床を震わせ、オーディエンスが一斉にジャンプする光景は圧巻だった。さらに「Pump It」では観客のシンガロングが巻き起こり、会場の空気はさらに高まる。愛を願う名曲の際には常に合唱が起こり、国籍も世代も超えた観客の声が、まるで祈りのように響き渡った。音楽が社会や世界を繋ぐ原点に立ち返る瞬間であり、バンコクの夜は愛と平和を求めるメッセージで包み込まれた。こうしてDAY 1は、爆発的なエネルギーと祝祭の歓喜に彩られながら幕を閉じた。
DAY 2、二日目MAHANAKHON STAGEのトップバッターを飾ったのは、タイの若きスターLamyai Haithongkham。ルークトゥンとモーラムの伝統を土台にしながらも現代的なアレンジで磨き上げられた彼女の歌声は、冒頭から会場を鮮やかに染めた。煌びやかな衣装と多くのステージダンサーを従えた力強いパフォーマンスに、サマソニ・バンコクの観客は一気に引き込まれ、地元の音楽文化が持つ熱量が世界のフェス舞台で輝きを放つ瞬間となった。
続いて登場したのはKickFlip。韓国から現れた7人組の新星は、その名が示すように果敢な挑戦を象徴する存在だ。疾走感あるダンスと鮮烈な歌声、息の合ったパフォーマンスはフロアを一気に揺らし、序盤から観客を巻き込んでいく。彼らが未来へ踏み出す姿をそのまま音楽に変えたかのようなステージに、観客は期待と興奮を重ねた。
もう一つのTHONBURI STAGEも負けてはいない。力強いロックサウンドと華やかなステージングでTimmy Xu & Promeが観客を惹き込み、国際フェスらしい空気を作り上げた。同じく日本からは 疾走感と感性あふれるギター、そして心地良い抜け感がある正確なドラムサウンドに加えて、エモーショナルなボーカルで話題のLET ME KNOWが観客の心を揺さぶった。アジアでも高い人気を誇る彼らから、ノスタルジック・モダンの新しい波が広がっていくことを感じさせる力強いステージとなった。
午後に入ると日本を代表するアーティストとなったBE:FIRSTが、遂にメインステージに登場。完璧に揃ったダンスと研ぎ澄まされた歌唱、そして舞台を支配するスター性で観客を魅了した。ワールドツアーで既に世界を巡り、グローバルな存在感を確立している彼らのステージは、バンコクにおいても揺るぎない自信に満ちていた。英語と日本語を自在に操る楽曲は客席にまっすぐ届き、現地の観客の声援と一体化して幸福感あふれる空気を生み出していた。
続いて登場したのはタイを代表する人気シンガーJeff Satur。情感豊かな歌声とメロディは観客の心に深く響き、スマートフォンのライトが一斉に掲げられた光景は幻想的だった。タイ語の歌詞に涙を浮かべる観客、言葉を超えて共鳴する観客、そのすべてがひとつになり、静かな感動を共有する時間が流れた。
そしてさらに大きな舞台を彩ったのは、韓国のロックバンドThe Rose。叙情的なメロディと力強いサウンドが観客を包み込み、楽曲が進むごとにフロアは大合唱に変わっていった。彼らの音楽は国境を越え、アジアから世界へと広がる可能性を示す証のように鳴り響いた。
夜に差しかかると、メタルとアイドルを融合させた唯一無二の存在、BABYMETALが登場。昨年のサマソニ・バンコクではBODYSLAMのステージのスペシャルゲストとして出演を果たし、その鮮烈な存在感を強く印象づけた彼女たち。今年は満を持して待ち望まれていたメインアクトとして帰還し、会場の期待を一身に背負っての登場となった。轟音のリフと激しいドラムに合わせて繰り広げられるシンクロダンスは圧倒的で、観客は瞬時にヘッドバンギングの渦に巻き込まれる。花道を駆け抜けながら全身で放つエネルギーは、メタルの力強さと熱狂をひとつにまとめ上げ、フェスならではの異次元の光景を作り出した。国境を越えて集まったファンが声を張り上げる光景は、サマソニバンコクの歴史的な瞬間として深く刻まれた。
続いて現れたのは、EXOのメンバーCHANYEOL。華やかな存在感に加え、観客との距離を縮める親しみやすいMCでフロアを和ませたかと思えば、ラップからバラードまで自在に披露し、その多彩な才能を存分に見せつけた。韓国ポップの厚みと完成度を凝縮したステージに、観客の歓声は途切れることがなかった。
そして夜を華やかに彩ったのは、今やポップ界を代表するCamila Cabello。ステージに現れた瞬間からフロアの熱気は急上昇し、「Havana」「Senorita」といった世界的ヒットを連発。軽快なステップと観客を巻き込む表現力はラテンの情熱そのもので、フロアは巨大なダンスフロアへと変わった。迫力あるステージセット自体が女性ならではのパワーを体現しつつも、ステージを自ら降りて、オーディエンスひとりひとりとハイタッチをして共に心を通わせるような彼女の姿は、バンコクの夜に鮮烈な彩りを添えた。
そして最後に舞台に立ったのは、この日のヘッドライナーAlicia Keys。体も心も揺れるような名曲を数々披露したアリシアだが、ピアノに向かい「If I Ain’t Got You」を奏で始めると、会場全体が静まり返り、ソウルフルな歌声が観客の心を深く打った。そして「Empire State of Mind」が鳴り響くと、大都市バンコクの夜にNYとの光景が重なり合うかのような壮大な一体感が生まれた。サプライズ・ゲストとしてタイを代表する女性ラッパーのMILLIも登場して会場を盛り上げつつ、フィナーレの「No One」では会場中の声が重なり合い、温かくも涙を誘うような大合唱が広がった。
彼女は今年の夏、東京大阪のサマーソニックでもヘッドライナーを務め、歴史に残るような感動を同じく日本に届けてくれた。その記憶と今回のバンコクでの体験が重なり、サマーソニックというフェスが都市を越えて人々を結びつける象徴であることを強く示した。観客を優しく包み込み、一生涯忘れがたい余韻を残す彼女の声と音楽は、サマソニ・バンコクのクライマックスを飾るにふさわしい輝きを放っていた。SUMMER SONIC BANGKOK 2025