キリル・ペトレンコ指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が新作としてCD3枚とBlu-rayからなる『アルノルト・シェーンベルク・エディション』を9月25日に発表しました。収録されているのは、「浄められた夜」(1943年改訂の弦楽合奏版)、室内交響曲第1番、
パトリツィア・コパチンスカヤをソリストに迎えたヴァイオリン協奏曲、「管弦楽のための変奏曲」、オラトリオ『ヤコブの梯子』です。2019年から
シェーンベルクの生誕150年にあたる2024年にかけて録音されました。
「十二音技法」の創始など、とかく難解なイメージがつきまとうシェーンベルクの音楽ですが、ベルリン・フィルメディア部門代表のフィリップ・ボーネン(vn)とオラフ・マニンガー(vc)は、解説書の序文で「私たちはこのエディションで、シェーンベルクの作品が決して純粋に頭で考えた構築物ではなく、ましてや挑発のための革新ではないことを示したいと思います。むしろ、私たちの選曲には、アントン・ウェーベルンが師について書いた言葉がふさわしいでしょう。つまり、“シェーンベルクの感情は灼熱の炎のよう”であり、彼の音楽は“表現への切実な欲求のみに根ざしている”のだと」と記しています。
1919年1月、ベルリン・フィルは、「浄められた夜」でシェーンベルクの作品を初めてプログラムに取り入れました。その後、1923年6月に『グレの歌』がベルリン初演、1928年1月には「管弦楽のための変奏曲」が
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮により世界初演されています。今日でも、彼の作品は定期的に演奏されており、ベルリン・フィルとシェーンベルクの深い結びつきを示していると言えます。
米国アーティスト、ピーター・ハリーによる斬新なデザインのハードカバー装丁のセットには、3枚のCDに加え、全作品のコンサート映像を収録したBlu-ray、そしてボーナス素材として、『ヤコブの梯子』のDolby Atmosスタジオ品質の音源を収録。さらに、シェーンベルクの専門家である音楽学者ハーヴェイ・サックスとマルティン・カルテネッカーによるエッセイを収録した解説書も付属しています。