2003/05/14掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
ジミ・ヘンドリックス、ミッチ・ミッチェルと共に“ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス”として一時代を築いたベーシストのノエル・レディングが、11日に死去したとの悲報が届いた(57歳・死因は現時点で不明)。
ノエルは、いくつかのバンド活動を経た後に、エリック・バードン(
アニマルズ)のバンドのギタリスト・オーディションに参加。あいにくそのギタリストのポジションが別な人物に決まってしまっており、代わりに紹介されたのがジミ・ヘンドリックスのバンドのベーシスト募集の話。金がもらえるのならギターでもベースでも弾く、との決意を抱いていたノエルはもちろんその話を受け、一方のジミも自分のスタイルを完成させてしまっているベーシストよりもスタイルが未完成なベーシストとの仕事のほうがやりやすいとの思いからノエルをベーシストに決定。さらに言えば、ジミにも負けないくらいに巨大なノエルのアフロヘアーが気に入り採用したとのエピソードも。ともあれ“ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス”の一員となったノエルは、エクスペリエンスのベーシストとして
『Are You Experienced?』(写真・右に写っているのがノエル)、
『Axis:Bold as Love』、
『Electric Ladyland』の3枚の歴史的傑作に参加。『Axis:Bold as Love』では作曲も手掛け、その曲「She's So Fine」ではリード・ヴォーカルも担当。ジミよりもザ・フーの作風に近いポップな楽曲は、マニアックなジミ・ファンの間では意外に評価も高かったりするので、興味のある人は追悼を兼ねて聴いてみられたし。
ジミとの音楽的志向のズレから『Electric Ladyland』の制作時には存在感も薄くなっており、68年9月頃からは別プロジェクト
“ファット・マットレス”を始動。翌69年6月29日のステージを最後に、彼はエクスペリエンスを脱退。その後は、ロード(Road)、ノエル・レディング・バンドなどを結成し持ち前の名脇役ぶりを発揮。日本では93年に彼の書いた本『REAL EXPERIENCE』が翻訳されている(ジミというよりも当時のロック・ビジネスのドロドロに比重が置かれ、お金に関する怨み節も頻出)。2001年にもエクスペリエンス時代の曲を演奏したライヴが『Live @ Bunkr, Prague』のタイトルでリリースされたりもしていたのだが・・・・・・。ジミの
公式HPでは、もちろん彼への哀悼の意を表明している。またひとり、ロック史に残る名プレイヤーが天に・・・・・・。ご冥福を祈ります。