ハービー・マン 2003/07/07掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
ハービー・マンが逝った・・・。7月1日、ニューメキシコのサンタフェ近郊の自宅で前立腺癌によって亡くなりました。享年73歳。今世紀に入って、50年代から活躍しているジャズミュージシャンが次々と亡くなってしまいましたが、とりわけハービー・マンはユニークな存在感と
『メンフィス・アンダーグラウンド』や
『プッシュ・プッシュ』(写真)などの、今も目に焼きつくジャケットイメージの鮮烈さで忘れられない存在でした。
50年代にデビューして、当時ではジャズのソリストでは珍しいフルートを開拓し、後世に大きな影響を与えました。ジャズ〜フュージョン系でフルートをプレイする名手はハービー・マン以降、何名か生まれましたが、音楽探求のため世界中を旅して自分のサウンドを確立していったハービー・マンは、やはり一世一代の存在だったと思います。ブラジル音楽を取り入れた一連の作品や、様々なジャンルとクロスオーバーした斬新なアンサンブル、時にイージーリスニング的な作品も上品にこなして、実にレンジの広い奏者でありながら、器用な商業人のイメージは無く、常にクリエイティブな佇まいを感じさせました。彼の残した作品、中でもアトランティック時代のグルーヴィーな作品は、現代の若者にも人気が高く、いろいろな所で今もハービー・マンの曲が流れています。功績と言えば、embryoレーベルを発足させて、たくさんの新人を支援した事があげられるでしょうが、こうして、今もジャズファン以外からもいろんな世代で聴きつづけられている事が、ハービー・マンの存在の大きさを感じさせますね。心よりご冥福をお祈りします。