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サエキけんぞう『ロックの闘い 1965-1985』出版記念イベントが開催

サエキけんぞう   2013/12/03 15:54掲載
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サエキけんぞう『ロックの闘い 1965-1985』出版記念イベントが開催
 電子書籍『ミュージック・ライフ+』に連載され好評を博したテキストを全面改稿&書き下ろしを追加した、サエキけんぞう『ロックの闘い』の出版記念イベントが11月29日(金)、「diskunion新宿 BIBLIOPHILIC&bookunion」にて、音楽評論家の大鷹俊一を迎えて行なわれました。

 『ロックの闘い』は、1965年のボブ・ディランから1985年のプリンスまで毎年1枚、計21枚に及ぶピックアップしたアルバムを素材にロックを語るというもの。今回は実際にアーティスト関連の音源を聴きながらの進行に。

 「この本を書いたことの根底には、“能動的にもう一度ロックを聴いてみないか?”という問いかけをしたいということがありました。選んだ21枚のアルバムをひも解けばひも解くほど、浮かびあがってくるストーリーがあるんです。リズムやアレンジ、レコーディングはなぜそういう変化を遂げたのかといったことから、この音楽がどういう経緯で生まれてきたのかといったようなこと。それを知って語っていくことで、ロックはより楽しく深い聴き方ができると思うんです」(サエキ)。

 この日は、ある意味で本書の核になるアーティスト、ジミ・ヘンドリックスをフィーチャー。ジミヘンの音楽性の変化や、それに伴うバンド・メンバーの変遷、ジミを取り巻く環境の変化、そしてその音楽が進もうとした方向……と、話題は尽きることなく、その変化に即した音源を聴きながらイベントは進行、本書をベースに、様々な逸話や音源を交えたディープなトークが繰り広げられました。

ロックの闘い 1965-1985


<『ロックの闘い 1965-1985』イベントより>

 サエキ 「これは本書の裏テーマになるのですが、“ロックは白人と黒人の融合によって作られている”ということがあります。黒人のブルースやR&Bに、白人のカントリーが混じってロックンロールが生まれ、そしてエルヴィス・プレスリーが黒い動きで白人のティーンエイジャーを掴んでいく……という歴史がある。ところがロックを語ると、これがだんだん白人寄りの話になってしまう。黒人のロックバンドってあまりないんです。ロック・シーンに於ける黒人のアーティストはあまり恵まれていない」

 大鷹 「プレイヤー指向の黒人ミュージシャンは特に、白人社会が作ったショー・ビジネスの世界ではそうなってしまう傾向があるかもしれないですね。それは人種差別や、それを解放する公民権運動といったものがあった1960年代という時代性から考えていかなければならない」

 サエキ 「そういった黒人と白人の融合が難しかった時代にそれを突き破ったのが音楽だった。それまでアメリカでリトル・リチャード、ウィルソン・ピケットなどの大物黒人アーティストのバックでギターを弾く売れっ子だったジミヘンが、なぜロックに行ったのかというところが、ジミヘンの物語でもありますし、それこそが“ロックの闘い”の始まりなんです。ですから、なぜイギリスに行ったのか、そしてヒットを飛ばしてしまったのかということの検証が大切になってくる」

 大鷹 「確かにジミは黒人社会に中での新世代だったし、彼にとってもビートルズやボブ・ディランの存在というのは大きいものがあったと思うんです。自身の中の黒人というバックグラウンド、ブルースのルーツという確固たるものはあった上で、新しい感覚を持って、新たな刺激を受けてのクリエイティヴィティをどう出していくかということ、そういう発想に立つところが彼の天才性ですよね」

 サエキ 「それがロックだと思うし、そのジミの選択があったからこそ今までロックが続いてるのでは、というくらい重要な動きだったと思います。それを感じさせるジミの言葉として“リトル・リチャードはフィードバックが嫌いだ”というのがあります。アンプにギターを近づけて騒音を発するギミックの奏法ですが、そういったことはR&Bの世界にはないもの、それを黒人の上手いギタリストが、こっちの方向だと思ったというところからロックが始まったんじゃないかと。

 大鷹 「そういった発想を持っていて、日々新たな音楽やアーティストがどんどん出てくる、刺激が次々現れることで、ジミの中で俺も俺もという気持ちは大きくなったと思います」

※2013年11月25日(月)発売
ロックの闘い 1965-1985
サエキけんぞう 著
(四六判 / 264頁 / 定価1,890円)
ISBN:978-4-401-63893-2
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