ミュージカル界屈指の歌姫として活躍し続け、今年8月に17年ぶりのミュージカル・アルバム『
MUSICAL MOMENTS 2』をリリースして話題を呼んだ
新妻聖子が、9月5日(金)東京国際フォーラム(ホールC)にて〈新妻聖子コンサート2025 〜Shine Your Light〜〉を開催。8月11日よりスタートしたアルバム発売記念コンサート・ツアーを無事完走しました。
新妻のコンサートでは定番の「Man of La Mancha」をはじめとした数々のミュージカル名曲に加え、
プリンセス プリンセスの楽曲も披露した当日の模様を伝えるレポートが公開されています。
[ライヴ・レポート] 9月5日(金)東京国際フォーラム(ホールC)で開催された「新妻聖子コンサート2025 〜Shine Your Light〜」。8月6日にリリースされたニュー・アルバム『MUSICAL MOMENTS 2』発売記念コンサートとして、大阪(8月11日、NHK大阪ホール)、名古屋(8月31日、Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール)に続いて行われたツアー最終日、東京公演の模様をレポートする。
2003年、『レ・ミゼラブル』(エポニーヌ役)で初舞台を踏んで以来、数々の舞台でヒロインを務め、ミュージカル界屈指の歌姫として第一線で活躍を続ける新妻にとって、ミュージカルをテーマに制作されたアルバムとしては、意外にも17年ぶり2枚目となった『MUSICAL MOMENTS 2』。自身がこれまでに演じてきた舞台の楽曲を中心に、多彩なミュージカル・ナンバーを収録。コンサートはこのアルバム収録曲を中心に構成された。
オープニングは『ラ・マンチャの男』より、「Man of La Mancha」。新妻聖子コンサートの幕開けを飾る定番の曲として、ファンにはおなじみ。伸びやかでリズミカルな歌声でのっけから客席を魅了した。『MUSICAL MOMENTS 2』Deluxe Edition付属のBlu-ray「Seiko Niizuma 20th Anniversary Concert Tour」でも1曲目に収録されている。
続いては、『MUSICAL MOMENTS 2』より、「トゥモロー」、「Beauty and the Beast」の2曲。アルバムではデュエット相手に城田優を迎えた「Beauty and the Beast」だが、コンサートではファンにもお馴染みのバンド・メンバー(ドラム)、マイク・マリントン氏が美声を披露。客席からも大きな歓声が飛んだ。
ヨーロッパの絵画を思わせる重厚な世界観の歌詞で、美しいソプラノを響かせ改めて音域の広さを見せつけたオリジナル曲「Pieta」をはさみ、本人が「家族の愛や命の尊さを描いた曲をお送りするコーナー」と銘打ったブロックへ。まずは、さだまさし「関白宣言」を、生まれて来る赤ちゃん目線の替え歌にしたピコ太郎作の「完PAPA宣言」。間奏に自身の長男の産声を使用した独自のアレンジで披露された。また朝ドラで注目「アンパンマンのマーチ」は歌詞を大切にして壮大に歌い上げ、このブロックでは客席からすすり泣く声も聞こえるなど、会場全体があたたかな空気に包まれた。トークも含め、ミュージカル・ファン以外でも楽しめる工夫が随所に仕掛けられていた。
ステージ前半最後は、ミュージカル『ボディーガード』より、「I Will Always Love You」。2024年に主演を務めた作品より、誰もが知るホイットニー・ヒューストンの名バラードを、森雪之丞の日本語詞で紹介した。
休憩を挟んで、第二部のスタートは「僕こそ音楽」(『モーツァルト!』より)。『MUSICAL MOMENTS 2』では1曲目に収録されているが、アルバムと同様に、ピアノだけのシンプルな伴奏でライブ感たっぷりに聴かせた。男性が歌うことが多い人気のミュージカル曲だが、新妻は『21C:マドモアゼル モーツァルト』でモーツァルト役を演じた経験が活かされているとのこと。
続いても、『MUSICAL MOMENTS 2』からの2曲。「Feeling Good」(『ドーランの叫び、観客の匂い』より)は古いミュージカル曲だが、ニーナ・シモンの歌唱によってジャズとして有名になった曲。近年ではマイケル・ブーブレのカバーがドジャース大谷翔平選手を始め、プロ野球選手が登場曲に使用して注目された。新妻のソウルフルな歌唱も絶品で、会場を大きく盛り上げた。「Fly, Fly Away」は、実在した天才詐欺師をレオナルド・ディカプリオが演じて話題となった映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のミュージカル版より。新妻が演じたのは詐欺師の恋人役で、彼を逃がすときに歌った曲だという解説付きで、セリフのような歌唱から始まりどんどん客席が歌の世界に引き込まれていく様は、まるで舞台を観ているかのよう。
一転して、これも新妻聖子のコンサートでは定番のアイドル・コーナー。今回は夏曲として、プリンセス プリンセスの2曲をメドレーで歌唱(「世界で一番熱い夏」〜「DIAMONDS」)。サビでは「AH」の部分を観客とのコール&レスポンスで歌い上げ、客席は総立ちとなりロックコンサートさながらの大盛り上がりとなった。
コンサートは終盤に向かい、先ずは代表作『ミス・サイゴン』の世界へといざなうメドレー(「序曲」〜「ウェディング」〜「命をあげよう」)。戦火を思わせる真っ赤なライトに照らされた新妻の姿はキムそのもの。「命をあげよう」はアルバムでは17年ぶりの再録となり、その間に2児の母親となった心境も反映され、今回のステージでもより深みを増した歌声を届けた。
ベトナムに続いては、沖縄の名曲「花」(喜納昌吉)。本編最後はオペラ『トゥーランドット』より、アリア「Nessun Dorma(誰も寝てはならぬ)」で締めくくった。
アンコール1曲目は、『GOLD〜カミーユとロダン〜』より、荘厳なバラード「Gold」。前曲「Nessun Dorma」と共に近年のコンサート定番曲で、前述の20周年コンサートBlu-rayにも収録されている。ツアー最終日らしく、すべての力をふり絞ったかのような絶唱で、会場からの拍手が鳴りやまなかった。
最後はこれも定番の「ダンシング・クイーン」(『マンマ・ミーア』より)。新妻聖子コンサートは最後は楽しく盛り上がって終わりたい、ということで、再び場内は総立ちに。このツアーではさらにもう1曲「I Wanna Dance with Somebody」(「ボディーガード」より)をメドレーで続けて、大盛況のフィナーレとなった。
ミュージカル好きはもちろんのこと、ミュージカルに詳しくない人でも、工夫を凝らした選曲と楽しく流麗なトークで、老若男女、誰もが心から楽しめるエンターテイメント・ショー。新妻聖子がテレビでも活躍する理由にも納得できる圧巻のステージだった。




Live Photo:加藤千絵(CAPS)