前作『
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲』でグラミー賞の最優秀クラシカル・インストゥルメンタル・ソロを獲得したピアニスト、
ヴィキングル・オラフソンが、新作『オーパス109』を11月21日(金)に発表します。タイトルにある“オーパス109”とは、
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 作品109のこと。オラフソンはこの曲を軸にアルバムのプログラムを組みました。アルバム発売に先駆け、「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 作品109から 第3楽章(エディット版)」が配信中です。
オラフソンは「ベートーヴェン最後の3つのソナタ(作品109、110、111)には『ゴルトベルク変奏曲』の精神が息づいている」と語り、3曲をまとめて録音する伝統的な方法ではなく、作品109をプログラムの軸に据えることで、その“軌道”を自由にめぐり、新たな視点を探求するアプローチを選びました。
アルバムでは、作品109と作品90、さらに
シューベルトのホ短調ソナタD566を組み合わせることで、オラフソンは両作曲家と
バッハとの対話を浮かび上がらせました。オラフソンは作品109を「バッハへのオマージュ」と捉え、「バッハはベートーヴェンが未知の世界へ進むための羅針盤だった」と語っています。
さらに、アルバムは「平均律クラヴィーア曲集」からホ長調の前奏曲で幕を開け、ホ長調のフランス組曲からサラバンドで閉じます。全体がホ長調とホ短調というEの調性で統一されており、共感覚を持つオラフソンにとってこのアルバムは、豊かで鮮やかな緑の色彩に満ちた世界だといいます。
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