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ファンタジックなデザインが持ち味、ロジャー・ディーンとは?

2007/07/13掲載
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以前、好評を博したストーム・トーガソンに続き、またしてもロック・シーンに名を残す名デザイナーをご紹介。今回はロジャー・ディーンです。
1944年8月31日、英国ケントのアシュフォード生まれ。公式バイオグラフィによれば、母親は学生時代にファッション・デザインを学び、父親は英国軍のエンジニアとして働いていたとのこと。その父親の仕事の関係で、幼少期からギリシャやキプロス、香港などで暮らした経験を持ちます。1959年に一家は英国に戻り、その後、ロンドンの王立芸術大学を卒業してデザイナーの道へ進みました。




 もともとは銀細工や家具の設計をしていた彼が、音楽との繋がりを持つようになったのは1968年のこと。ロンドンにあるRonnie Scott's Jazz Clubの座席をデザインしたのがきっかけだったようです。そして同じ年、彼がアートワークを手掛けた最初のレコードが発表されました。それがガンのデビュー作『悪魔天国(Gun)』。後の作風とは異なる、おどろおどしさすら感じさせるデザインながら、一度目にすれば忘れられないインパクトを放っています。




 彼の名をロック・ファンに強く知らしめたのは、やはりイエスの作品群によるところが大きいでしょう。1971年の名作『こわれもの(Fragile)』では、印象的な地球と空飛ぶ船を描き、続く『危機(Close To The Edge)』(72年)では一転、緑のグラデーションによるシンプルなジャケットを仕上げました。また、この『危機』において、その後も長く使われることになる丸みを帯びた“yes”のロゴが登場しています。以降も、イエス本体の作品のみならず、メンバーのソロや、エイジアをはじめとするファミリー・トゥリーに属するバンド/アーティストまで多数の作品を手掛けており、密接な関係を築きました。




 ディーンはアルバム・ジャケットのみならず、レーベルのロゴも担当しています。よく知られるところでは、2人の少女をあしらったVirgin(数種類のバリエーションあり)、丸みのある抽象的な図形が印象に残るHarvestなどが彼の手によるもの。また、ブリティッシュ・ロック・ファンにはお馴染みのVertigoでは、“スペースシップ”もしくは“宇宙クラゲ”と呼ばれる有名なロゴをデザインしました。そのほか、NepenthaやFlyといったレーベルでも、彼の手掛けたロゴが使われています。




 ディーンの作風を評する時、よく用いられるのが“ファンタジック”“SF的”という言葉です。エイジアの『詠時感〜時へのロマン(Asia)』(82年)やオシビサ『オシビサ』(71年)、グレイヴィー・トレイン『ステアケース・トゥ・ザ・デイ』(74年)などに登場する架空の生物、グリーンスレイド『グリーンスレイド』『ベッドサイド・マナーズ・アー・エクストラ』(ともに73年)、ユーライア・ヒープ『魔の饗宴(Magician's Birthday)』(72年)、パトゥ『ホールド・ユア・ファイア』(71年)などの人間をディフォルメしたようなキャラクターからも、その要素は窺えます。


 また、これも特徴的なのが、木や岩を用いたデザインが多いこと。イエスの『海洋地形学の物語(Tales from Topographic Oceans)』(73年)や『リレイヤー』(74年)、バジャー『ワン・ライヴ・バジャー』(73年)、先述のグリーンスレイドやユーライア・ヒープの作品群でも、現実を忘れさせてくれるような、幻想的な風景を描き出しています。

 ここで紹介したのは極々一部の有名な作品ばかり。とにかく数え切れないほどのアートワークを手掛けている人物であり、デザインした作品には名作も多数ありますので、興味をお持ちの方は探求の道へ足を踏み入れてみては?

●ロジャー・ディーンの公式HP:http://www.rogerdean.com/


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