昭和に生まれた名曲は、今も世代を超えて歌い継がれています。特に20〜30代の平成世代アーティストがカヴァーすることで、新しい命が吹き込まれ、再び注目を集めている昭和ソング。今回は“平成世代×昭和ソング”にフィーチャーし、前編と後編に分けて、実際にカヴァーソングが聴けるアルバム作品とともに、原曲との違いや世代を超えた共感ポイントなどを紹介します。
まずは、一人のアーティストに対して敬意や尊敬を表し、複数のアーティストが自身が影響を受けた楽曲をカヴァーするトリビュート・アルバムよりピックアップ。
井上陽水 、
中森明菜 、
松田聖子 など、昭和を代表するアーティストの楽曲が意外なあの人の歌声で蘇っています。
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『井上陽水トリビュート 』 井上陽水音楽活動50周年を記念して2019年11月にリリースされた本作からは、2名のカヴァー曲を紹介。まずはシンガー・ソングライターの
iri が歌う「東へ西へ」。iriの唯一無二といえる低音ヴォイスと
Yaffle の繊細なアレンジが光り、現代の若者にも刺さる歌詞に静かに耳を澄ませたくなる一曲です。
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続いて、
King Gnu が歌う「飾りじゃないのよ 涙は」。井上陽水が中森明菜に提供した本楽曲が、King Gnuらしいクールでスタイリッシュなアレンジに。昭和の名曲をモダンに彩り、切なさを帯びた新たに再構築された「飾りじゃないのよ 涙は」に注目です。
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『さだまさしデビュー50周年記念トリビュート みんなのさだ 』 こちらも、
さだまさし のデビュー50周年を記念して制作され、2023年10月にリリース。名曲「関白宣言」を歌うのはバンド“
wacci ”。wacciらしい穏やかな声質と丁寧な歌い回しが、「忍耐」や「優しさ」を包むように表現しています。
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『筒美京平SONG BOOK 』 筒美京平 が生前、最後の本人公認トリビュート・アルバムとして2021年3月にリリースされた本作には、
アイナ・ジ・エンド や
miwa などの平成世代アーティストが参加。
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北村匠海 (
DISH// )が歌う「また逢う日まで」(
尾崎紀世彦 )は、伸びやかで哀愁漂う歌声が懐かしさと新鮮さを感じさせます。また、元
乃木坂46 の
生田絵梨花 が歌う「卒業」(
斉藤由貴 )は、生田の特徴でもある透き通るような清らかな声と真っ直ぐな歌唱が重なり、原曲の持つ切なさを際立たせています。そして、女優・
橋本愛 が歌う「木綿のハンカチーフ」(
太田裕美 )はYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」でも披露され、ピアノ一本で一言一言噛みしめながら紡ぐ歌声が、原曲とはまた違った切なさが感じられ、2025年8月時点で650万回再生を記録しています。
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『中森明菜 Tribute Album “明響” 』 日本を代表する歌姫の一人、中森明菜のトリビュート・アルバムがリリースされたのも記憶に新しいところ。
城田優 が歌う「少女A」は、自らプロデュースを手掛けたミュージック・ビデオで視覚と声の両面から“少女A”を演じ切っており、原曲の色気や勢いを踏まえつつ、城田の洗練された表現力によって現代に蘇りました。
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Ado が歌う「十戒」は、透明感と力強さが共存するAdoならではの歌声が、歌詞の切実さや緊張感を表現。リスペクトが伝わる一曲に仕上がっています。
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『松本隆作詞活動50周年トリビュートアルバム 「風街に連れてって!」 』 作詞家 / ミュージシャンの
松本隆 が手掛けた楽曲も若手アーティストがカヴァー。
幾田りら が歌う「SWEET MEMORIES」(松田聖子)は、柔らかく圧倒的な透明感あふれる歌声で現代の響きへと昇華されています。
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池田エライザ が歌う「Woman“Wの悲劇”より」(
薬師丸ひろ子 )は、原曲の持つ切なさや孤独感を現代的な感性で表現。昭和の名曲が新たな解釈で蘇り注目を集めています。
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このように若い世代のカヴァーによって、昭和の名曲が“懐かしい歌”から“普遍的な名曲”へとアップデートされていることが分かります。後編では、カヴァー・アルバムを発表し、昭和の名曲を歌い上げるアーティストを厳選して紹介します。また、CMソングや映画主題歌などで話題となった楽曲も。令和の今こそ、平成世代が歌い継ぐ昭和ソングを聴いてほしいところです。
(写真は2019年11月27日リリースの『井上陽水トリビュート』)