「クラウト・ロック」……。一見さんお断り! 的な雰囲気を醸しだすこのオーラ。「素人にはわかるめえ」と、この道何十年の包丁人(味平)がこしらえた傑作料理(味平カレー(決め手は醤油!)/ブラックカレー(決め手は麻薬!)/スパカレー(決め手はスパゲッティ!))のごとき、芳醇の味わいを僕らに与えてくれるであろうこの「クラウト・ロック」について、キッチン・ブルドッグへ思いを馳せながら綴ってみました。

「クラウト・ロック = Krautrock」という表記からもお分かりの通り、ドイツを指す言葉であることは確か(Kraut=ドイツ語で「キャベツ」の意)。元々はドイツ人に対する蔑称として「Kraut」という言葉が使われたのが発祥となっているそう。今やすっかり元の意味は廃れ、むしろリスペクトの念を込めた愛称として「クラウト」と呼ばれているのが何とも興味深し。テクノ〜ハウス〜ポスト・ロック〜パンク〜ハードコアなどなど、ジャンルをまたにかけて、様々なアーティスト/バンドがその影響の大きさを語るクラウト・ロック。代表的なバンドといえば、誰が挙げられるのでしょうか?
そんな疑問に答えてくれたのが、11月22日に日本盤が発売されたオムニバスDVD
『best of KRAUTROCK vol.1』(写真)。ドイツの音楽番組『ビート・クラブ』より、スタジオ・ライヴ映像を中心に収録されたこの作品。“best”なる謳い文句を信用して中身をうかがってみますと、
アモン・デュールII、
グル・グル、
クラフトワーク、
エピタフ、
パスポート、
エンブリオ、
ジェーン、
ポポル・ヴー、
エロイ、
ノヴァリス、そして
ダモ鈴木が在籍した
カン、といった方々を収録しているご様子。ここから鑑みるに、「クラウト・ロック」のキーワードには「70's ドイツ産」「サイケデリック」「アヴァンギャルド」「プログレッシヴ・ロック」といった項目が該当するのではなかろうかと。

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『best of KRAUTROCK vol.1』(GNBI-1031 \3,150(税込))
1. Amon Duul II「Between The Eyes」
2. Can「Paperhouse」
3. Frumpy「Take Care Of Illusion」
4. Lucifer's Friend「Ride The Sky」
5. Epitaph「Early Morning」
6. Birth Control「The Work Is Done」
7. Passport「Uranus」
8. Guru Guru「Oxymoron」
9. Popol Vuh「Bettina」
10. Kraftwerk「Ruckstoss-Gondoliere」
11. Embryo「Calcutta Streets」
12. Novalis「Sonnenwende」
13. Lothar Meid「Helden aus dem Untergrund」
14. Eloy「Decay Of Logos」
15. Jane「Expectation」
※映像特典:「Documentary 1975」/「Lothar Meid Interview」

収録バンドのジャケット写真を覗いていけば、自然と納得の不思議な感覚。どこか人を突き放しているよな孤高の佇まいに惹かれてしまったファンも多いのでは。ロックの本場ではなかったからこそ生まれた、知識と個性と思い込みが交差する狂気のサウンド、実験精神溢れる「クラウト・ロック」に貴方もどっぷりハマってみてはいかがでしょうか。