クラシックの名門ドイツ・グラモフォンが、新進気鋭のソプラノ歌手
モイカ・エルトマン(Mojca Erdmann)と長期専属録音契約を締結したことを発表しました。
モイカ・エルトマンはザルツブルク音楽祭で
モーツァルトと
ハイドンを披露し、国際的に評価と注目度を高めています。
ヴォルフガング・リームの「プロセルピナ」という、彼女のために書き下ろされた非常に難しい演目の初演に際し、現地のメディアは「彼女の歌の明快さと正確さには感嘆せざるを得ない。彼女は歌唱力だけでなく、力強い演技力でも圧倒的なパフォーマンスを見せたのである」と絶賛しました。
ハンブルグ生まれのモイカ・エルトマンは、6歳からヴァイオリン、14歳から声楽を始め、ケルン音楽大学では声楽だけでなくヴァイオリンも学びました。2002年にドイツ連邦主催のコンクールで優勝並びに現代音楽特別賞の両方を受賞、2005年にはシュレスヴィヒ=ホルスタイン音楽祭でNDR(北ドイツ放送)音楽賞を、そしてキッシンゲンの夏音楽祭ではルイトポルト賞を受賞しています。学生時代からベルリン・コーミッシェ・オーパーのアンサンブルの一員として活躍し、ベルリン・ドイツ・オペラやバーゼル、マンハイムのオペラにも出演していました。
ザルツブルク音楽祭には2006年に
アイヴォー・ボルトン指揮のモーツァルト『ツァイーデ』の主役としてデビューを飾り、その翌年は再びボルトンが指揮するハイドン『アルミーダ』のゼルミーラ役として出演、観客や記者たちから「フェスティヴァルのサプライズ」と賞賛されました。
また、
サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とはラヴェル『子供と魔法』を歌い、レコーディングも行ないました。ラトルはエクサン・プロヴァンスとザルツブルク復活祭音楽祭で上演されたワーグナー『ジークフリート』での森の小鳥にも彼女を起用しています。
2009/10シーズンには、マンフレート・ホーネック指揮による
R.シュトラウス『ばらの騎士』のゾフィー役でシュトゥットガルト・デビューを飾るほか、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場ではベルトラン・ド・ビリー指揮のウェーバー『魔弾の射手』のエンヒェン役が控えています。
モイカ・エルトマンは現代音楽劇場作品の解釈者としても才能を発揮し、
武満徹『マイ・ウェイ・オブ・ライフ』の世界初演ではケント・ナガノの指揮の下、ベルリン国立歌劇場でデビューを飾っています。
また、ニコラウス・アーノンクールに招かれウィーン・ムジークフェラインでシューマン『楽園とペリ』を歌い、アムステルダム・コンセルトヘボウでは同じくシューマンの『ゲーテの「ファウスト」からの情景』を披露しました。
ほかにも、シャンゼリゼ管弦楽団との共演、
ファビオ・ルイージ指揮ウィーン交響楽団とのスペイン・ツアー、クリスティアン・ゲルハーヘル(Br)とゲロルト・フーバー(p)とのドイツ・ツアー及びロンドンのウィグモア・ホール公演など、まさに世界中から引っ張りだこ。
2009/10シーズンの終わりには、ヴォルフガング・リーム作(ザルツブルク音楽祭委嘱作品)の最新オペラの世界初演を行なう予定とのこと。
そしてドイツ・グラモフォンでの初スタジオ録音作は2010年に行なわれ、2011年のヨーロッパ・ツアーの時期に合わせてリリースされることになっているそうです。
今後大きな話題を呼ぶに違いない才能あふれるソプラノ。今から要チェックです!