ブラジリアンやスパニッシュな雰囲気を漂わせる1966年のデュオ作品。繊細なアコースティックギターとパーカッションによるシンプルな対話。典型的なジャズメンとは違うジャック・マーシャルのスタイルは聴きもの。

アコースティック・ギターの名手として知られる宮野弘紀が、ニューヨーク録音のデビュー作に続いて翌82年にリリースした2ndアルバムが40年以上を経て初公式CD化。テオ・マセロにも評価された確かな実力が遺憾なく発揮されている。

サックス奏者の佐藤恭子による2025年のリーダー作。アメリカで生まれたジャズという文化を、日本で育った音楽家として咀嚼し、過去の記憶や現在の社会不安などに絡めて音に落とし込むという深い試み。

都内のライヴハウスで研鑽を積んだ田村陽介率いるトリオが満を持して制作したスタジオ録音作。地道な活動で磨かれた演奏が記録されており、ピアノの田窪寛之らとの息のあったインタープレイは安心感抜群。

ジャズ歌手と通訳案内士という二足の草鞋を履くトモ・ヒラノの2ndアルバム。石川武司らのピアノ・トリオに加え、本作ではヴァイオリン奏者を迎えることで一層音楽的な幅が出ており、有名曲の響きも独特なものになっている。

ギター、テナーサックス、バスクラリネットの3人構成でセロニアス・モンクのレパートリーに挑むという刺激的な試み。欧州の室内楽的アプローチによりジャズ・ジャイアントの個性的音楽が再構築された意義深い作品だ。

熟練のジャズ・ベーシストであるブライアン・ブロンバーグの2023年録音作のSACDヴァージョン。敬愛するスコット・ラファロへのトリビュート作であり、代表曲の「グロリアズ・ステップ」などをトム・ジンクらとのトリオ編成で披露している。

フランチェスコ・マシアンティによるピアノ・トリオ録音作。日本のコアなファンに知られるアレッサンドロ・ガラティがプロデュースを手がけた一枚で、マシアンティのオリジナルのほかピアノ・ファンに愛される「ポインシアナ」などもとりあげている。

ジャネット・サイデル自身がお気に入りだという2004年のクリスマス・アルバム。「ホワイト・クリスマス」をはじめとする定番曲を多数とりあげ、楽曲にあわせてボッサを含む趣味のよいアレンジで料理してみせた一作。

ギタリストにして作曲家の藤本一馬とピアニストの林正樹によるデュオ・アルバム。互いにオリジナル曲を5曲ずつ持ち寄り、インティメットこのうえない雰囲気の中で卵を孵化させるかのように大切に紡いだ一作。

東北出身のジャズ・ヴォーカリストであるKisachiが好評だったデビュー作に続いて制作した2ndアルバム。「いそしぎ」をはじめとする超有名曲ばかりをとりあげたストレートな内容でその歌唱力を遺憾なく発揮する。

抜群のテクニックとスピード感、情景にあふれた楽曲で人気の女性フュージョン・バンド、Musesの3rdミニ・アルバム。各メンバーが四季の各季節をテーマに作曲した楽曲を収録。キャッチーで軽快で明るく、親しみやすい一枚に仕上がっている。

バックグラウンドの異なる3人のジャズ・ミュージシャンによるピアノ・トリオ、Soundtypeの2ndアルバム。前作以上にピアノ・トリオのフォーマットにこだわりながらも、ラッパーやゲスト奏者を迎え、アンサンブルのスケールを大きく広げている。

西口明宏、馬場智章、陸悠の実力派サックス奏者3名によるジャズ・グループの2ndアルバム。コルトレーンをはじめとするスタンダード・ナンバーからそれぞれによるオリジナル曲まで、3本の多彩な音色が織りなす熱い響きが堪能できる。

70年代にサン・ラが率いたジャズ・オーケストラの未発表セッションを中心に収録したアルバム。ジョン・ギルモア、マーシャル・アレンら名手たちによる演奏が、電子音と大編成オーケストラを交え宇宙的な壮麗さを放っている。

全曲マイケル・リーグのペンによるスナーキー・パピーの2025年発表作。約10年ぶりにオランダのメトロポール・オルケストとコラボレーションしたアルバムで、スタジオ・ライヴ的プロダクションによるダイナミックな演奏が楽しめる。

ドラム奏者の久米雅之が親子ほど歳の違うメンバーと息の合ったプレイを披露したアルバム。バーカーのバップ曲やヴィクター・ヤングのスタンダードなどに加え、久米自身のオリジナル曲もバランス良く収録している。

ヴァイブラフォン奏者の山崎ふみこによる5枚目のアルバム。大高清美や矢堀孝一といった国内トップクラスのミュージシャンを迎えた充実の内容で、プレイヤーだけでなく指導者としても活躍する山崎の面目躍如たる一作。

ジャズ・ヴォーカリストの滝沢望による3rdアルバム。「自分らしさ」や「内なる静けさ」をテーマに内省的に取り組んだ作品で、音楽的には癒しと躍動感という一見すると相性の悪い組み合わせの両立に挑んでいる。

サクソフォン奏者の中川聡子による2枚目のリーダー作。1stアルバム同様にピアノの片桐一篤らを含むワンホーン・カルテットで録音されており、5年の間に練られたオリジナル曲を気心の知れたメンバーと吹き込んだ一枚となっている。

長らくピアノ・トリオでの活動を中心に据えていた仲野真世による、フロントに2管を据えたターニング・ポイント的作品。向井滋春と高瀬龍一という実力者二人の参加によりクリエイティヴィティに一層磨きがかかっている。

それぞれがマイルス・デイヴィスとの共演でも知られるジョン・スコフィールドとデイヴ・ホランド。2021年からデュオで活動し、2024年に満を持してレコーディングを敢行。二人のオリジナル曲のみで構成された充実の内容だ。

ジャズ史上最重要なピアノ・トリオと言っても過言ではないビル・エヴァンスのトリオがリヴァーサイドに遺したスタジオ録音を揃えたファン垂涎の3枚組。40曲以上の収録曲の半数近くが未発表音源という驚愕の内容だ。

“疾風怒濤”“豪放磊落”などと評される4人組、藤井郷子カルテットの7thアルバム。変拍子のうねり、重層的なアレンジ、鋭い即興の応酬、デスメタル的な絶叫など、熱量と緊張感に満ちた演奏が詰まっている。全7曲を収録。

美術家として知られる伊東篤宏が自作楽器“optron”を操り、ドラムの藤掛正隆らを含むカルテットでクリエイティヴな音楽を提示。ライヴ録音された音源に編集を施し、作品として完成度の高い55分にまとめてある。