ヴァンスカ、ミネソタ管によるマーラー・シリーズ。サンプソン、ワグナー、イムラーなどソリスト陣も充実している。ここでもヴァンスカならではの緻密で深い譜読みで、この巨大な曲をまとめ上げている。

小澤征爾初となるショスタコーヴィチの交響曲。得意とする曲であること、久しぶりのステージ、そして小澤肝煎りのサイトウ・キネン・フェスティヴァルという三つの要素が重なり、生命感にあふれる熱演が繰り広げられている。

病気療養から復帰した小澤が、2010年ニューヨークのカーネギー・ホールでライヴ収録したブラームスの第1番。盟友サイトウ・キネンo.と、カーネギー・ホールの聴衆を熱狂させた演奏が、存分に堪能できる。

ブラームスの第2番は2度目の録音で、ラヴェルはいずれも唯一のもの。円熟期の小澤による澄み切ったブラームスが感動的だ。ラヴェルは小澤の感度のいいリズム感と多彩な音色感が冴え冴えとした名演だ。

小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラによるブルックナーの交響曲第7番を収録。ロマン派の真骨頂であるブルックナーを取り上げ、ワーグナーへの追悼の意を込めた楽章も含め、大規模で重厚な音色を繰り広げた一作だ。

2001年9月第10回サイトウ・キネン・フェスティバル松本でのライヴ録音。ベートーヴェンの交響曲の中でも室内楽的な第4番と第8番に、レオノーレ序曲第1番を併録。翌年の第9番のライヴ録音で小澤とSKOのベートーヴェン交響曲全集が完成した。

93年の交響曲第7番にはじまり、97年にはウィーンで、1998〜2002年はサイトウ・キネン・フェスティバル松本でベートーヴェンに取り組んできた小澤征爾。2000年第9回フェスで演奏された第5番「運命」と第2番、珍しい「葬送行進曲」を収録。

2016、2017年のセイジ・オザワ松本フェスティバルからのライヴ収録。交響曲第7番は23年ぶり、レオノーレ序曲第3番は19年ぶりの再録音だ。小澤の気迫にオーケストラが見事に応えた、感動的な演奏が繰り広げられた。

小澤の3種ある「第九」のうち、2度目の録音。ライヴ録音で、最も充実した演奏が繰り広げられている。各ソリストも合唱団も充実し、円熟した小澤の構成力も統率力も優れ、それに十分に応えるオーケストラも素晴らしい。

2007年のサイトウ・キネン・フェスティヴァルでのライヴ録音。幻想交響曲は、小澤の得意曲目で、熱気あふれる演奏が会場を興奮のるつぼと化している。対して、ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」での精妙極まりない演奏も印象的だ。

病気療養から復帰した小澤が、2010年カーネギー・ホールでライヴ収録した、十八番の幻想交響曲。オーケストラと一体となって、情熱的に、あるいは抒情的に「幻想」の多様な姿を見せ、小澤復活を印象付けた。

小澤征爾が5年ぶりにオーケストラ・コンサートを指揮したということで大いに盛り上がりを見せた、2014年のサイトウ・キネン・フェスティバル松本のライヴ。オーケストラの感動的な熱演で、記念すべき一夜となった。

2008年9月に松本で行なわれたフェスティヴァルでの熱演を収録。マーラーの「巨人」は小澤征爾3度目の録音となる。サイトウ・キネン・オーケストラを駆使して、スケールの大きな迫力のある演奏を聴かせている。

ワルター最晩年の録音。マーラーの第9番は、ウィーン・フィルとの名演が名高いが、このコロンビア響との演奏もまた、名演として語り継がれている。初演を指揮したワルターならではの、他の追随を許さぬ演奏だ。

初出音源のディスク化を進めているスペクトラム・サウンドから、マルティノン晩年の録音が出た。サン＝サーンスは70年と75年の録音があるが、これは75年のライヴ。非常に燃焼度の高い名演と言える。

マルティノンのマーラーは、「巨人」くらいしか聴くことができないが、新たにクック版の第10番が登場。これもまたスペクトラム・サウンドからの初出音源だ。情熱的だが、確固とした構築力も見せている。

2016年から始まったヴァンスカ、ミネソタ管によるマーラー全集がこれにて完結。既発売はいずれも高い評価を受けてきたが、本作の第3番も紆余曲折のあったオーケストラの再出発を飾る演奏だ。ソリストのジェニファー・ジョンストンも好演。