ニュース

ヤクブ・フルシャ、都響プリンシパル・ゲスト・コンダクター就任記者会見をレポート

2010/12/15 14:24掲載
はてなブックマークに追加
ヤクブ・フルシャ、都響プリンシパル・ゲスト・コンダクター就任記者会見をレポート
 今年4月に東京都交響楽団(以下、都響)のプリンシパル・ゲスト・コンダクターに就任した29歳の若手指揮者、ヤクブ・フルシャ(Jakub Hrusa)。12月の都響定期演奏会が就任披露となり、大きな注目を集めています。夜にサントリーホールでの本番を控えた12月14日の日中、都内ホテルで記者会見が開かれました。

 フルシャは1981年チェコ生まれ。現在、プラハ・フィルハーモニアの音楽監督兼首席指揮者ならびにグラインドボーン・オン・ツアー音楽監督を兼任し、世界中のオーケストラから引っ張りだこの気鋭です。

 都響との初共演は2008年5月の定期演奏会でした。フルシャは都響とのパートナーシップについて、以下のように述べています。

 「都響では普段なかなか演奏会で取り上げられないレパートリーに挑戦させてもらい、感謝しています。プリンシパル・ゲスト・コンダクターというポジションに就くことで、1度きりの客演指揮よりも突っ込んだ内容のプログラムを組み立てることができますから」(以下、同)

 14日の就任披露演奏会では、スメタナの『わが祖国』より「ブラニーク」をはじめ、ドヴォルザークの序曲「フス教徒」、ヤナーチェクの「グラゴル・ミサ」、マルティヌーの「リディツェへの追悼」など、祖国チェコの作品が並べ、エネルギーに満ちた熱い演奏で会場を大いに沸かせました。

 「今日の演奏会はオール・チェコのプログラムですが、これはむしろ例外的で、あくまで第一歩です。今後はチェコの音楽を紹介しつつ、ドイツ・ロマン派などにも広げていきたいと考えています」

 チェコ出身の指揮者といえば、これまでにイルジー・ビエロフラーヴェクヴァーツラフ・ターリヒヴァーツラフ・ノイマン、そして近年日本でも人気のラドミル・エリシュカなど、錚々たる名前が並びます。チェコ楽壇の伝統を引き継ぐ指揮者として注目されることにプレッシャーを感じますか? との問いには、

 「ビエロフラーヴェク先生には多くのことを教えていただきましたし、エリシュカ氏も友人であり師の一人です。チェコの偉大な指揮者たちの演奏は、自分にとってインスピレーションになれこそすれ、プレッシャーにはなりません。彼らと同じ指揮をすることはできない。自分にできることをするまでです」」

 29歳とは思えない落ち着きぶりで語るフルシャの姿には、もはや貫禄さえ感じます。日本のオーケストラについては、以下のように語りました。

 「日本のオーケストラは個性がない、と言われるそうですが、私はまったくそう思いません。強い個性を持っています。都響について言えば、いちばんの個性はフレキシビリティ。指揮者の指示したことが、必ず返ってくるのです。これは鍛錬を積んだ技術力、正確なリズム感、バランス、分析力がないとできないことですから、大きな魅力と言えるでしょう」

 続く20日の演奏会(東京文化会館)では、ニコライ・ルガンスキーとの共演でショパンのピアノ協奏曲第1番、リストの交響詩「レ・プレリュード」、マルティヌーの交響曲第3番を披露します。

 今後ますます人気が高まること必至の指揮者、ぜひご期待ください!


■東京都交響楽団 第709回定期演奏会(Aシリーズ)
ヤクブ・フルシャ プリンシパル・ゲスト・コンダクター就任披露公演

12月20日(月) 19:00 東京・東京文化会館

[出演]
ピアノ:ニコライ・ルガンスキー(p)
指揮:ヤクブ・フルシャ

[プログラム]
リスト:交響詩「レ・プレリュード」
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op.11
マルチヌー:交響曲第3番

※チケット申し込み、詳細は東京都交響楽団のサイトへ
http://www.tmso.or.jp/
最新ニュース
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] ギターミューズRei デビュー10周年 初のベスト・アルバム発売[インタビュー] 突然、しゃっくりのように曲作りが止まらなくなった… 実力派歌手が初のアルバムを発表 高遠彩子
[インタビュー] ふたたび脚光を浴びる作曲家の新作は、フル・オーケストラによるインスト・アルバム 日向敏文[インタビュー] アーバンで洗練されたグルーヴを鳴らす注目の6人組バンド BESPER
[特集] 「柚木麻子と朝井リョウとでか美ちゃんの流れる雲に飛び乗ってハロプロを見てみたい」アフタートーク[インタビュー] 徹底的に音にこだわった ロックとオーケストラの完全なる“融合” GACKT
[インタビュー] イベント〈The Night Unthreads 〜360° floor live〜〉にも出演 00年サウンド再来、CLW[インタビュー] プロデューサー藤井隆が語る 麒麟・川島明のファースト・アルバム!
[インタビュー] スーパープレイヤーぞろいのブラス・アンサンブルが、満を持して発表するバロック名曲集 ARK BRASS[インタビュー] 「私が歌う意味」 自らが選曲したディズニー・ソングで歌手デビュー 檀れい
[インタビュー] 突如あらわれた驚異の才能! 10代の集大成となる1stフル・アルバム Meg Bonus[特集] 嘘の本屋 リアル異変探しゲーム「嘘の本屋」
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015