北アイルランドのベルファスト出身で、英ロンドンを拠点に活動するマット・マクブライアーとアンディ・ファーガソンからなるユニット、
バイセップ(Bicep)が、ニュー・アルバム『Isles』(CD BRC-660 2,200円 + 税)を2021年1月22日(金)に発表します。アルバムに収録される新曲「Apricots」が公開中。2020年の〈英国アカデミー賞〉で新人賞を獲得したマーク・ジェンキンが監督するミュージック・ビデオをYouTubeで観ることができます。バイセップは今年3月にアルバムのオープニングを飾る「ATLAS」を発表し、ニュー・アルバムのリリースを予告していました。
2年に及ぶ制作期間を費やした『Isles』は、2017年のデビューアルバム『
Bicep』から表現力を発展させ、さらにベルファストで過ごした若き日から10年前にロンドンに移るまでの間に彼ら自身の人生と音楽活動に影響を与えてきたサウンド、経験、感動をより深く追求しており、その期間に彼らが触れてきた音楽の幅広さが、アルバムの極めて多彩な音を形成しています。ふたりとも、ヒンディ語の歌声が遠くの建物の屋上から聞こえてくることや、ブルガリア語の合唱曲の断片が通りすがりの車から耳に届いてくることや、ケバブ屋で流れるトルコのポップ・ソングの曲名がわかるかもしれないとわずかに期待しながらShazamを起動することが楽しかった一方、故郷を離れて過ごす時間は、自分たちが海を渡り今の場所にたどりついたことについて、より深く考える機会にもなったと語っています。
ベルファスト出身者であるふたりにとって、島や地域社会、そしてアイデンティティについて語ることは、言葉以上のより切実な意味を含んでいます。このアルバムのプロジェクトが始動する前まで、こうしたテーマは彼らにとって、あまり話したくない人生の側面でした。
「自分たちにとって、どうにも推し量ることのできない題材だった」とマクブライアーは語ります。「僕たちは信仰を持っていないけど、それぞれに異なった宗教的背景があった。最初のころはずっと、僕たちにそういう話をしてほしいっていう期待があったけど、自分たちは気が乗らなかった。ダンスミュージックの好きなところのひとつは、そうした話題から解放されて自由になれることだと常に感じていた。ダンスミュージックは中立の場所を用意してくれるんだ。あのころの僕たちには当たり前すぎて、それがどれほど大きな意味を持つのかを理解できていなかったと思う」
『Isles』は、こうした背景を掘り下げるきっかけになるかもしれません。北アイルランドについて述べるとき、他の地域ではありきたりで扇動的な語り口が幅を利かせているが、それとは異なるやり方があります。それは、事実を基にさまざまな経験を扱い、音楽が架け橋となりうる、あるいはなり得ない隔たりについて深く考えるということです。
「クラブに足を踏み入れると、正反対の立場にいる人たちが歩み寄って、抱擁を交わしていた」そう言ってファーガソンは、ベルファストで多大な影響力を持つナイトクラブ、シャインの名前を挙げます。そこはふたりが音楽を学んだ場所でした。「次の週になれば、彼らは仲間たちと一緒に大騒ぎをしていた。そこはどこよりも安全な場所だと感じられた。普通に考えれば、どこよりも危険な場所だったはずなのに」