1976年のデビュー作『イレイザーヘッド』以降、“カルトの帝王”として、世界中の映画人と観客を魅了し続けた巨匠デイヴィッド・リンチ。長編映画はわずか10本。その最後を飾る2006年製の『インランド・エンパイア』は、監督・脚本から撮影・音楽・編集に至るまでリンチ自らが手掛けた、最も濃密な一作。ローラ・ダーン演じる、映画への主演が決まった女優を主人公に、現実と映画の境界が次第に曖昧になっていく悪夢のような不条理劇が描かれ、その蟲惑的な難解さに満ちた内容について、本人が残した言葉はただ一つ――“about a woman in trouble”(トラブルに陥った女の話)。謎が謎を呼ぶ物語は、公開当時から賛否を巻き起こし、いまもなお伝説として語り継がれています。
制作の発端は、近所に越してきたローラ・ダーンとリンチの偶然の再会から。リンチは彼女のために14項のモノローグ脚本を用意し、全体の脚本を完成させないまま、各撮影現場で思いついたシーンをその都度、撮影を行なったといいます。撮影中に浮かんだアイデアを次に撮るという繰り返しによって、リンチ自身も完成形がどのようになるのか分からなかったと語ったとのこと。また、本編はすべて SONY PD−150(デジタルビデオカメラ)で撮影されたことでも知られ、日本の女優・裕木奈江も出演していることでも話題を呼びました。
なお、本作の公開決定後、SNSにて続々と寄せられた「Tシャツを販売してほしい」との声に応え、長袖Tシャツの販売が決定。表面には、『インランド・エンパイア 4K』の中でも印象的な、ウサギ人間たちが集うシーンカットを中央に配置。難解とされる本作を読み解く唯一の手がかりであり、デイヴィッド・リンチ監督が残した唯一のメッセージ「a woman in trouble」のコピーが添えられたデザインとなっています。販売劇場は公式Xにて追って告知される予定です。