プロディジーや
ミューズといったバンドを輩出したレーベル「maximum10」より2011年4月にリリースされた
hitomiのアルバム『
SPIRIT』が、2月28日(水)より配信スタート。
『SPIRIT』のリリース当時は、パンクやポスト・ハードコアなどの00年代ロックとEDMブーム到来前のエレクトロが融合した新たなミクスチャ−・サウンドが世界を席巻し、日本でも“ラウド”というジャンルが注目されはじめていた頃で、
アヴリル・ラヴィーンや
ケイティ・ペリーらをスターダムに押し上げ、
ブリトニー・スピアーズを華麗にリヴァイヴァルさせたプロデュース集団「アドヴァンスド・オルタネイティヴ・メディア」(Advanced Alternative Media / aam)が日本人を初全面プロデュースした前衛的な作品としてリリースされました。オリコン週間インディーズアルバムランキング7位を獲得しましたが、インディーズとしてリリースされたことから、これまで各音楽ストリーミングサービスでは公開されず、十数年の時を経た2024年にようやく配信解禁となりました。
本作は、歳を取ったから音楽はわからないと引っ込み思案になっている大人にいきなり宣戦布告をして幕開け。自分勝手な人間と矛盾だらけの世界……まるで、現代を予言するようなシニカルな楽曲(シッペ返しがあると思っているのとないと思ってる無責任では、同じ勝手や矛盾でも随分とレベルが違う。都合良く逃げんなというメッセージが痛烈に突き刺さる)や、面倒くさいのがイヤだからあらかじめ人間関係を省くという本末転倒、適当ってゆう字を辞書で引かせようとしてみたり……と、前作から約2年をかけた、hitomiが鋭く鋭く研ぎ澄ましたメッセージによって、ロックとダンス・ミュージックが巧妙に入り交じる特殊な世界観を力強く彩っています。英詞以外の全リリックを手がけたhitomiの言葉は、今も色褪せることなく、むしろ、解像度高く突き刺さります。
作曲やプロデュースには、
ウィーザーの
リヴァース・クオモ、
シンプル・プランのチャック・コモーとピエール・ブーヴィエ、元
コブラ・スターシップのゲイブ・サポータらのロック系のアーティストから、
ピンクらを手掛けたクリス・ロハス、
メアリー・J.ブライジや
カニエ・ウェスト(現・イェ)、
ケンドリック・ラマーらを手掛けたエリック・ハドソン、
ビヨンセや
リアーナ、
リタ・オラらを手掛けたマケバ・リディックまで、錚々たるメンバーが参加。リヴァース・クオモは本作のラストを飾る「Rollin Wit Da Homies」にフィーチャリング・ヴォーカルとしても参加しています。
音楽好きにとっては必聴となる一枚といえそうです。