埼玉・さいたま芸術劇場で開催されている、若手アーティストの中でもとくに輝きを放つ才能を紹介する「エトワール・シリーズ プラス」。気鋭アーティストが「リサイタル」と「室内楽」で意欲的なプログラムに取り組むこの人気シリーズの第3弾に、ヴァイオリニストの金川真弓が登場します。初回の公演にあたるPart.1の弦楽三重奏は、9月13日(土)埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホールで開催されます。
この公演では、
金川真弓(vn)、杉田恵理(va)、
辻本玲(vc)が、「リゲティ:バラードとダンス」(vn&va)、「マルティヌー:ヴァイオリンとヴィオラのための3つのマドリガル」、「コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 作品7」、「コダーイ:弦楽三重奏のための間奏曲」、「シェーンベルク:弦楽三重奏曲 作品45」という金川の鋭い洞察と音楽的探究心に満ちたプログラムを披露します。
また、
J.S.バッハ『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』(全曲)を披露する、Part.2の無伴奏ヴァイオリン・リサイタルは、3月7日(土)・8日(日)の開催。3月7日は無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV 1001、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番 ロ短調 BWV 1002、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV 1004を。3月8日は無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV 1005、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV 1003、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV 1006をそれぞれ披露します。
全3公演のセット券と、Part.1のチケットは発売中。Part.2のチケットはSAFメンバーズの先行販売が9月13日(土)から、一般発売は9月20日(土)です。
[コメント]仕事や恋人を追って、未知の世界を探して、あるいは戦争や家族から逃がれて……人は様々な理由と事情で故郷を離れます。その時、どこへ行っても自分の中に持ち歩く「根」、そして新しい場所の光と空気で育つ「葉」はどのように成長するのでしょうか。 このプログラムにある前世紀の作曲家たちは、今と同じく、技術と戦争で目まぐるしく変わっていく世の中で故郷の音楽を研究しつつ、新しい場所と時代へとつなげていきました。 前半はリゲティ、マルティヌー、コダーイが、ルーマニア、ボヘミア、ハンガリーのフォルクミュージックをそれぞれ新しく想像した作品をもりこみました。 そして後半のシェーンベルクは新ウイーン楽派でありましたが、自ら音楽を革命したオーストリアとヨーロッパをユダヤ人であったために1933年に去らざるをえませんでした。今回演奏しますのは、1946年に戦後71歳にてロサンゼルスで心臓発作をおこしたものの一命をとりとめた経験を描いた密度の高い三重奏曲です。 コントラバスを抜く弦楽器3本、音域と音色にそれぞれ共通点と独特な面があります。2人と3人の組み合わせで、一番理想とされている弦楽四重奏とはまたちがう、面白い世界が出てきます。 色々な国境を越えて今へ語ってくるプログラムを是非お楽しみください。――金川真弓Photo by Kaupo Kikkas