草田一駿 2025/05/14掲載(Last Update:25/05/15 14:28)
フジロック出演やCM音楽制作でも注目を集め、次世代ジャズ・シーンを牽引する俊英ピアニスト・作曲家、
草田一駿(そうた かずとし)の2ndアルバム『
Trionfi』(トリオンフィ)が5月14日(水)にリリースされています。
クラシックピアノを基盤に、ジャズ、ロック、ヒップホップなど多様な音楽的バックグラウンドを融合させ、繊細さと大胆さを併せ持つ表現力で注目を集めてきた草田の初のピアノ・トリオ作品。本作では、気鋭のベーシスト・
宮地遼、ドラマー・井口なつみと共に、技巧的な構成とポップな旋律を融合させた全8曲を収録しています。
タイトル『Trionfi』はイタリア語で「勝利」「凱旋」「切り札」などを意味し、パンデミック以降の時代に音楽がもたらす希望と再生のエネルギーを象徴しています。看護師として社会に尽くした母へのオマージュ「Nightingale」など、個人的・社会的背景を持つ楽曲も収録され、聴く者の内面に深く響く作品となっています。
また本作のリリースに伴い、8月には浜松・神戸・広島・名古屋などを巡る全国ツアーも開催されます。各地のジャズクラブやライヴハウスを舞台に、アルバムの世界観をより深く体感できるパフォーマンスが期待されます。
[コメント]この度リリースした「Trionfi」は草田一駿として初めてのピアノトリオの編成で制作された作品になります。アルバムを構成する楽曲はいずれも2020年に端を発した新型コロナウィルスによるパンデミック以降に作曲したものです。ジャズやR&B、ヒップホップのビートをお洒落にミクスチャーしたニューヨークの音楽シーンに憧れて作った「Reincarnation」や「Metamorphosis」、ピアノトリオならではの技巧的な変拍子のギミックとポップなメロディラインを意識した「Memento Mori」、流麗な雰囲気のコンポジションの中に日本のシティポップ的なニュアンスを取り入れた「Stargazer」や「Unfocused」、クラシック音楽のように一つのモチーフを様々な形で展開していく「Whirlwind」、少し前のフュージョン的な作曲のスタイルからコンテンポラリー・ジャズ的なスタイルへの傾倒を自覚した「Michi」、そして、元看護師の母の献身を称えて作曲したパーソナルな楽曲「Nightingale」。
今回アルバムを制作するにあたって、特別何か共通したテーマを意識していたわけではないのですが、俯瞰してみるとパンデミックという社会的な状況にプレッシャーを感じながらも、自然と目に見えないものや掴めない答えのようなものを踠きながら模索していたように今では思います。ここまで制作に限らず数々の場面で手を差し伸べてくれたベースの宮地遼さん、ドラムの井口なつみさんには心から感謝したいです。本当にありがとうございます。Trionfiとはイタリア語で「勝利、凱旋、切り札」といった意味があり、トランプの語源にもなった言葉です。決して容易くはないこの世の中を生きていく上で遊び心や新しい視点を持ちながら鮮やかに道を切り拓いていく様を、このアルバムを聴きながら想起してもらえると嬉しいです。――草田一駿