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〈ミセス vs ミスター〉 曲名に多いのはどっち?

2025/08/06掲載
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アーティストの名前でミセスがつくのとミスターがつくのは、どちらが多いですか。また、曲名ではどうですか?
〈ミセス vs ミスター〉 曲名に多いのはどっち?
 近年は日本レコード大賞ほか数々の受賞を重ね、日本の音楽シーンのトップランナーとして活躍し、話題がこと欠かないMrs. GREEN APPLEは、“ミセス”の愛称で親しまれています。英語の既婚女性への敬称“Mrs.”(ミセス)を冠したアーティスト名は、Mrs. GREEN APPLE以外にはなかなか思い浮かばないイメージがありますが(“ミセチン”こと横浜発のメロコア・バンドのMrs.WiENERあたりか)、一方で、英語の男性への敬称“Mr.”(ミスター)を冠したアーティスト名は多く活躍している印象。Mr.Childrenをはじめ、ロック・バンドのMr.ふぉるて、ヒップホップ / ラップ・シーンではMr.OZMr.Low-D、DJ / プロデューサーのMr.Beats a.k.a.DJ CELORY、海外でも米ロック・バンドのミスター・ビッグ、80年代に「ブロウクン・ウィングス」「キリエ」と全米1位ヒットを放ったMr.ミスター、独ユーロダンス・グループのミスター・プレジデント、韓国ボーイズ・グループのMR.MRなどが思い浮かびます。

 それでは、曲名では“ミセス”と“ミスター”がつく曲はどちらが多いのか? ……その答えに近づくべく、さまざまな“ミセス”ソング、“ミスター”ソングを、日本の楽曲を中心に挙げていくことにしましょう。

 まずは“ミセス”を冠する曲名から。チェッカーズが1991年に26thシングルとしてリリースしたのが「ミセス マーメイド」です。同年末に8回目の出場となった『NHK紅白歌合戦』で同曲を歌唱しています。その翌年には、当時アイドルとして人気を博していた高橋由美子が、4thアルバム『Paradise』にて「Dear Mrs.Friend」を発表。作詞・売野雅勇、作曲・筒美京平というヒットメイカーが手掛けています。

 近年の邦楽ポップスの再解釈などによって、シティ・ポップ・ブームの潮流に扱われることの多いアーティストたちにも“ミセス”ソングは少なくありません。「ファッシネイション」「月下美人」などの楽曲で知られる門あさ美は「Mrs.アバンチュール」(1983年『PRIVATE MALE』収録)を、山下達郎小室哲哉杉真理らとさまざまなサウンドを確立していった村田和人は「So Long, Mrs」(1983年『ひとかけらの夏』収録)や「Mrs.Julyへの伝言」(1987年『Boy's Life』収録)を、当時はニューミュージックのくくりでしたが、今ではシティ・ポップの代表的存在の一人とされる角松敏生は「Mrs. Moonlight」(2010年『Citylights Dandy』収録)を発表しています。

 そのほか、高橋克典「Mrs. Rollin' Diamond」、Kra「ミセス」、秋元順子「Mrs.シンデレラ」、JAYWALK「Mrs.ロージィホワイト」、Galileo Galilei「Mrs. Summer」、GLAY「Back Home With Mrs.Snowman」などが挙げられます。

 次に“ミスター”を冠する楽曲を探っていきましょう。そのまま「ミスター」というタイトルに限っても、家入レオKARAYOASOBI(写真)らが発表していますが、特に後ろ向きで腰を揺らすセクシーな“ヒップダンス”でも目を惹いたKARA「ミスター」は、日本のK-POPブームの火付け役として人気を博しました。

 「ヘイ」「ハロー」「ディア」といった呼びかけのフレーズに続くのも特徴的。麻丘めぐみ「ヘイ・ミスター」、桑江知子「ヘイ・ミスター・ロンリー」、石川秀美「Hey!ミスター・ポリスマン」、斉藤和義「Hey! Mr.Angryman」、浜田麻里「Hey Mr.Broken Heart」、TOKIO「HEY! Mr.SAMPLING MAN」、ピンク・レディー「ハロー・ミスター・モンキー」(アラベスクのカヴァー)、ハイ・ファイ・セット「ハロー Mr.telephone」、菊池桃子「ハロー・ミスター・マンディー」、アニメ『名探偵コナン』エンディング・テーマ起用の100%Free(Hundred Percent Free)「Hello Mr. my yesterday」、遠藤京子「Dear Mr.」、秦基博「Dear Mr.Tomorrow」、ずっと真夜中でいいのに。「Dear Mr「F」」など、次々と出てきます。

 そのほか、サーカス「Mr.サマータイム」、八神純子「Mr.ブルー 〜私の地球〜」、玉置浩二「MR.LONELY」、モーニング娘。「Mr.Moonlight〜愛のビックバンド〜」、TOKIO「Mr.Traveling Man」、NICO Touches the Walls「Mr.ECHO」、E-girls「Mr.Snowman」、スキマスイッチ「ミスターカイト」、Kis-My-Ft2「Mr.FRESH」、NEWS「MR.WHITE」、back number「ミスターパーフェクト」、Janne Da Arc「Mr.Trouble Maker」、ONE OK ROCK「Mr.現代Speaker」、マカロニえんぴつ「ミスター・ブルースカイ」、imase「ミスター・ムーンライト」など、年代やジャンルを問わず、チャートを賑わせる楽曲が登場しています。K-POPにおいても、少女時代「MR.TAXI」「Mr.Mr.」をはじめ、SUPER JUNIOR「Mr. Simple」、Apink「Mr. Chu(On Stage)」などの“ミスター”ソングが話題を呼びました。

 そして、世界的な“ミスター”ソングといえば、「メリー・クリスマス ミスターローレンス」(Merry Christmas Mr. Lawrence)でしょう。坂本龍一が手掛けた“戦メリ”の愛称で広く知られる映画『戦場のメリークリスマス』のテーマ・ソングは、海外のアーティストもこぞってカヴァーしたり、来日時に演奏するなど、ある意味日本を象徴する楽曲として愛されてきました。日本でもAIやUtada(宇多田ヒカル)、ROTTENGRAFFTYFACTなどが歌詞をつけてカヴァーするなど、多くのアーティストが“戦メリ”の影響を受けています。

 最後は“ミセス”と“ミスター”が“同居”するタイトルの楽曲を。玉木宏と山田孝之主演の映画『MW -ムウ-』の主題歌となったのが、flumpoolの「MW 〜Dear Mr. & Ms.ピカレスク〜」です。同曲は2009年にメジャー2ndシングルとしてリリースされ、flumpoolとして初の映画主題歌となりました。

 “ラヴソングの帝王”こと鈴木雅之や、鈴木も参加したゴスペラーズとラッツ&スターの選抜メンバーによるスペシャルユニット“ゴスペラッツ”などがカヴァーしたのが、「ミー・アンド・ミセス・ジョーンズ」(Me and Mrs. Jones)。オリジナルはフィリー(フィラデルフィア)・ソウルを代表するソウル歌手のビリー・ポールが1972年にリリースした全米ナンバー1ソングで、200万枚のセールスを記録。互いに家庭を持ちながら、人目に隠れていつものカフェで逢瀬を繰り返す僕とジョーンズ夫人の不倫を歌った曲ですが、70年代ソウル・ミュージックを代表する楽曲として今なお愛唱され、数多のカヴァーを生んでいます。
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