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ザ・フー、ZEP、ジミ・ヘンドリックスが映画館に集結 秋を彩る音楽映画たち【後編】

2025/09/19掲載
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今秋に上演される音楽映画にはどんなものがありますか?
 音楽映画フェスティバル『Peter Barakan's Music Film Festival 2025』が始まり、世界の音楽が東京・有楽町に集まる中、9月26日(金)には、ザ・フーレッド・ツェッペリンジミ・ヘンドリックスのドキュメンタリーが、何と揃って公開に。音楽界の伝説が続々とスクリーンに登場する今秋の豪華ラインナップを祝い、音楽映画をリサーチする後編をご紹介します。

 まずは、英国ロックの2大巨頭のドキュメンタリーに注目。ザ・フー『キッズ・アー・オールライト』は1979年の公開からほぼ半世紀を経て、全曲歌詞字幕付きで日本初劇場初公開に。デビュー作『マイ・ジェネレーション』や“ロック・オペラ”を確立した『トミー』、最高傑作と名高い『フーズ・ネクスト』、映画『さらば青春の光』の原作『四重人格』を世に放った全盛期のパフォーマンスを、貴重なインタビューやPVとともに味わえる本作は、ファンにとってはバイブルといったところ。ピート・タウンゼントの“ウインドミル奏法”、トレードマークの演奏中の大ジャンプも大画面で炸裂。とりわけ、伝説的なドラマー、キース・ムーンの最後のパフォーマンスを捉えたシェパートン・スタジオでの「無情の世界」の名演は、突き動かされるようなパワーに満ちあふれています。「無情の世界」のパフォーマンスの感動をより実感するなら、同曲収録の『フーズ・ネクスト』は必聴。本作からは「ババ・オライリィ」も披露されます。本映画のサウンドトラックは配信でも試聴可能です。

 また、『キッズ・アー・オールライト』を手掛けた監督ジェフ・スタインによるコンサート映画『ザ・フー ライヴ・アット・キルバーン1977』は、8月29日(金)より公開中。「恋のピンチ・ヒッター(サブスティチュート)」「マイ・ジェネレーション」などのグレイテストヒッツが、大音量で楽しめます。


 もう1組の巨頭、レッド・ツェッペリンが初めて公認したドキュメンタリーが『レッド・ツェッペリン:ビカミング』。さまざまな逸話に彩られたバンドの軌跡を、オリジナルメンバー自ら語ります。大作音楽ドキュメンタリー『アメリカン・エピック』のバーナード・マクマホンならではこだわりが、1曲まるごと演奏シーンを映しだす臨場感にも表われています。予告編では「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」「胸いっぱいの愛を」が流れますが、「ハウ・メニー・モア・タイムズ」「ランブル・オン」などの初期の重要曲も聴けるのか、期待が高まります。1969年〜70年までのBBCセッションを収めた比較的初期の名曲が並ぶ『BBCライヴ』は“予習”にも最適です。


 さらに、同日には“ギターの神様”ジミ・ヘンドリックスも映画館に降臨。2024年の初公開より高い評価を得る長編ドキュメンタリー『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン』とライヴ映像『アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970』が二本立てで劇場公開となります。ドキュメンタリーは、ジミが私財を投じて設立したレコーディング施設の制作過程を追ったもの。レコーディングに参加した、スティーヴ・ウィンウッドミッチ・ミッチェルビリー・コックスらのインタビューをはじめ、エンジニアのエディ・クレイマーによる「自由」「天使」「ドリー・ダガー」などのトラックごとの分析はファン必見。生前最後のツアーからアトランタ公演を捉えたライヴ映像では、このスタジオで録音された遺作『クライ・オブ・ラヴ』に収録されることになる「ストレイト・アヘッド」も披露されます。


 1970年9月18日に世を去ったジミ・ヘンドリックスは、念願の常設スタジオを完成前の約10週間しか使えかったと言います。このスタジオでレコーディングされた貴重な未発表音源は、ボックス・セット『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン』でも聴くことができます。

 そして、10月17日(金)からは“現在進行形の伝説”オアシスにまつわる2作も登場。その奇跡の来日の約1週間前、ヴォーカルのリアム・ギャラガーが2022年にネブワース・パークで行なった野外単独ライヴを収めた『ライブ・アット・ネブワース 2022』とドキュメンタリー『リアム・ギャラガー in ロックフィールド オアシス復活の序章』が同時公開となります。「Wonderwall」「Live Forever」など、オアシス時代の代表曲がセットリストの大半を占める『ネブワース 2022』はライヴに行く人をさらに盛り上げるでしょう。「Wall of Glass」「The River」「Shockwave」と、ソロの人気曲も披露される本作のサウンドトラックはすでにリリースされているのでチェックしてみてください。


 一方、ドキュメンタリーでは、リアムの3rdアルバム『カモン・ユー・ノウ』制作のため、息子たちとともにウェールズのロックフィールド・スタジオへ向かう様子に密着。キャリアの浮き沈みや兄ノエルとの確執について語られるインタビューや、息子たちとの会話から、リアムの現在と過去の姿が垣間見える作品となっています。

 最後に紹介するのは、マリアンヌ・フェイスフルとともに“ローリング・ストーンズの女”とも言われたアニタ・パレンバーグのドキュメンタリー『アニタ 反逆の女神』。ブライアン・ジョーンズと激しい恋に落ち、キース・リチャーズに愛され、ミック・ジャガーをも虜にする魔性の魅力を持つ一方、世界的スーパー・バンドのファッションから音楽そのものにも意見できたミューズ、アニタ。その波乱の生涯が、スカーレット・ヨハンソンが読み上げる彼女の回顧録と、息子や娘、その父親キース・リチャーズが語る家族秘話とともに浮彫になります。ストーンズ自体を描いた作品ではないものの、彼女を通して描かれるメンバーの素顔も見どころ。ブライアン・ジョーンズの最後の参加作品となった1969年作『レット・イット・ブリード』の楽曲や、マリアンヌ・フェイスフル「シスター・モーフィン」とともに、ストーンズとの激動の日々を追体験することができます。


 いかがでしたか。11月14日(金)からはブルース・スプリングスティーン『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』、12月5日(金)ジョン・レノン『夢と創造の果てに ジョン・レノン最後の詩』も控えています。記録や物語に学び、ライヴが体験”できる…そんな音楽の楽しみ方がなじむ季節の到来に胸が躍ります。

【前編で初回した作品】
「Peter Barakan's Music Film Festival 2025」
公開期間:2025年9月12日(金)〜9月25日(木)
公開劇場:角川シネマ有楽町

pbmff.jp

『ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家』
公開日:2025年9月19日(金)
公開劇場:ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
配給:アンプラグド

unpfilm.com/legrand

『ミシェル・ルグラン×ジャック・ドゥミ レトロスペクティブ』
公開日:9月19日(金)
公開劇場:新宿武蔵野館ほか全国で順次公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ/アンプラグド

unpfilm.com/legrand

『ラック・アンド・ストレンジ・ツアー』
公開日:2025年9月17日(水)グランドシネマサンシャイン 池袋ワールド・プレミアIMAX上映
2025年9月18日(土)IMAX上映

110107.com/s/oto/page/Gilmour_live_movie?ima=4735

『KNEECAP/ニーキャップ』
公開日:2025年8月1日(金)
公開劇場:新宿シネマカリテ・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
配給:アンプラグド

unpfilm.com/kneecap

【後編で初回した作品】
『キッズ・アー・オールライト』
公開日:2025年9月26日(金)
公開劇場:角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、吉祥寺UPLINK他 
配給:オンリー・ハーツ

who.onlyhearts.co.jp

『ザ・フー ライヴ・アット・キルバーン1977』
公開日:2025年8月29日(金)
公開劇場:TOHOシネマズ 日比谷、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA 他全国順次公開
配給:REWINDERA PICTURES

malibu-corp.com/the-who

『レッド・ツェッペリン:ビカミング』
公開日:2025年9月26日(金)
公開劇場:TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 / IMAX®同時公開
配給:ポニーキャニオン

zep-movie.com

『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン&アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970』
公開日:2025年9月26日(金)
公開劇場:109シネマズプレミアム新宿、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次公開
配給:Screen The Live / IAC MUSIC JAPAN / Santa Barbara Pictures

screenthelive.com/jimihendrix2025

『ライブ・アット・ネブワース 2022』
公開日:10月17日(金)公開
公開劇場:TOHOシネマズ日比谷ほかにて劇場公開
配給:WOWOW

wowow.co.jp/film/liam-gallagher

『リアム・ギャラガー in ロックフィールド オアシス復活の序章』
公開日:10月17日(金)公開
公開劇場:全国順次公開
配給:NEGA

liamgallagher.negadesignworks.com

『アニタ 反逆の女神』
公開日:10月25日(土)公開
公開劇場:新宿K’s cinema、アップリンク吉祥寺他にて順次公開
配給:オンリー・ハーツ

anita.onlyhearts.co.jp
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