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稲葉浩志が紡ぐ“一行目”に迫る B’z歌詞の独特な世界観

B'z   2025/09/19掲載
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稲葉浩志が作詞を手掛けたB’z楽曲のうち、歌詞の一行目から独特な世界観の楽曲を教えてください。
稲葉浩志が紡ぐ“一行目”に迫る B’z歌詞の独特な世界観
 2025年11月、12月にドーム・ツアー〈B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP-〉の開催を控えているB’z

 来たる9月23日(火・祝)に61歳の誕生日を迎えるB’zの稲葉浩志は、圧倒的な歌唱力はもちろん手掛ける歌詞も魅力の一つ。たくさんの名曲を生み出しているB’zですが、その中でも一行目の歌詞が特徴的で心掴まれる楽曲をピックアップ。サビは聴いたことがあるという方も多いと思いますが、歌い出しのAメロで聴く者を一瞬で物語に引き込んでいく、稲葉浩志が描く“一行目”に注目し、その言葉の魔力に迫ります。

ギリギリchop
 1999年6月9日リリースの26作目シングルとなる本楽曲は、アニメ『名探偵コナン』の主題歌に起用。スピード感あふれるサウンドとともに畳みかける歌詞は、〈どんな雑誌をめくったってダメ〉〈僕に似合う服なんかはありゃしない〉と“時代が自分に追い付いていない”と言わんばかりの反骨精神を表すような情景が浮かび、流行りなど気にせず我が道を進む主人公の姿が想像できます。「ギリギリchop」というタイトルの通り、ギリギリ=スリルを楽しみながら自分自身を奮い立たせるような、“勢いと遊び心”が際立つ一曲です。



「恋心(KOI-GOKORO)」
 正式な歌い出しは〈忘れない 恋心〜〉ですが、その後のAメロの歌詞は〈彼女はいつもミルクティー〜〉とカップルの日常のワン・シーンを切り取っていると思いきや、片思いしている女の子が友達と過ごす様子を遠くから見守っている様子が描かれています。話しかけたいのに勇気が出ない、付き合いたいというような思いが見て取れる歌詞や、2番では恋愛相談相手に“松本”が登場するなど、稲葉にしか書けないようなフレーズも。11枚目シングル「ZERO」のカップリングとしてリリースされましたが、ライヴでは振付が存在し、盛り上がる1曲としてファンからの人気も高い楽曲です。

さまよえる蒼い弾丸
 1998年4月8日に発表された24枚目シングル「さまよえる蒼い弾丸」は、安全で平和な落ち着いた日常に伴う退屈感や慣れを表したロック・チューン。冒頭の〈無菌状態に慣れ過ぎ〉という歌詞が、何も起こらない平和な日常がある意味“異常”だということ、そしてサビでは、まだまだ未熟な“蒼い”状態だけど迷いながら弾丸のように突き進んでいくということが描かれており、稲葉のユーモアと社会性が垣間見えます。



「TIME」
 やわらかな日差しの情景で幕を開ける本楽曲は、失恋の傷を抱え後悔している主人公が、やり直すために時を戻したい気持ちと、今の辛い時間が早く過ぎ去ってほしいという気持ちが入り混じり、稲葉の優しいヴォーカルが響く名バラード。聴く度に“かけがえのない時間”を思い出させてくれる楽曲です。10枚目シングル「BLOWIN'」に収録。

太陽のKomachi Angel
 ラテン調の音楽を取り入れた本楽曲は、稲葉が考えたインパクトのあるタイトルが歌詞にも登場し、冒頭から弾けるようなサビの掛け声で始まります。一行目から情熱的かつキャッチーで、一目惚れした女性=太陽のKomachi Angelとの出会いとあふれる思いが軽快に描かれています。



ねがい
 本楽曲は、ジャズとロックの要素が入り混じる16枚目シングル。〈最終電車に揺られて〉という日常のリアルな情景からスタートし、サビで一気にスケールの大きな祈りへと展開していきます。“ねがい”を叶えるため、現実の閉塞感を越えて前へ進みたいという思いが全編を通して表現されています。



「ピエロ」
 2006年4月12日リリースの41枚目シングル「ゆるぎないものひとつ」のカップリングに収録されている本楽曲の冒頭では、〈桃色に染まりゆく東雲〉という美しい朝焼けと、〈疾走するポンコツカー〉という対比が主人公の不器用さや切実さを表し、のちに展開するダークな愛の執着を際立たせる導入部となっています。

「Pleasure'91〜人生の快楽〜」
 まるで同窓会で交わされるようなエピソードで幕を開ける本楽曲は、学生時代に楽しく過ごしていた友人も社会人になり、青春の日々と大人になっていく現実を描いています。「Pleasure」といえば2番のAメロの歌詞が変わっていくのも魅力の一つ。1991年にリリースしてから、1995年、1998年、2000年、2003年、2008年、2013年、2018年、2023年と現時点で9ヴァージョンが存在します。歌詞の中の“あいつ”はどうなっていくのか、歌詞が変わる度に“あいつ”の近況が知れるのもこの曲の楽しみの一つとなっています。

Liar! Liar!
 恋人が旦那とデートしているところを目撃してしまうという、開口一番から生々しい描写が放たれる23枚目シングル「Liar! Liar!」は、恋人が実は結婚していて人間不信に陥る様が描かれており、虚飾に満ちた社会や人間関係をえぐり出すロック・チューン。“一行目から衝撃を与える力”が遺憾なく発揮され、ライヴでも高い熱量を誇る代表的ナンバーです。



love me, I love you
 タイトルからも見て取れるように、“自分を愛すること”“人を愛すること”を歌っており、歌詞冒頭では、他人に期待過剰になってしまい悩んだり勝手に落ち込んでしまう、そんな自分を救えるのは自分自身しかいないんじゃないかという、人間関係の難しさが正直に綴られ、同時に自分自身を愛せれば人にも「愛」を出せるというメッセージが込められています。



LADY-GO-ROUND
 1990年2月21日にリリースされた3rdシングルとなる本楽曲は、タイトルが表す“女は巡る”という意味が綴られており、冒頭から〈君の卒業の夜に「お別れ」するなんてもう夢のよう〉と恋人と別れることを喜んでいるかのようなフレーズが。サビではこれからの人生は出会いであふれている、星の数ほど女はいるという、強がりとも見える歌詞が、曲の最後にはどのようになっているのか注目です。



LADY NAVIGATION
 シングル初のミリオンセラーを記録した本楽曲は、軽快なビートとともに駆け抜ける女性に向けた応援歌。冒頭の〈綺麗だ 貴方のスイミングスタイル〉という言葉が“流されない強い女性”を表しているようで、忙しい日常の中で迷い悩む女性を導いてくれるような楽曲です。所々に独特な例えが登場し、サビのリズム感の良さも耳に残ります。



 B’zの楽曲を振り返ると、まるで映画のワン・シーンのように景色が浮かんでくる歌詞や、刺激を求めるようなロックな歌詞が数多く登場します。さらに、シングルの表題曲だけでなくカップリング曲(B面)も名曲揃い。改めて耳を傾ければ、時代を越えて愛され続ける理由がきっと見えてくるはずです。皆さんが好きなB’zの歌詞はなんですか?
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