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『ローマの休日』でアン王女を演じた声優たち

2025/08/27掲載
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映画『ローマの休日』でオードリー・ヘプバーンの声を担当したのは誰か知りたいです。
 暑さがこたえる夏に一時の清涼をもたらしてくれるものといえば、冷たいアイスクリームを思い浮かべる人も少なくないのではないでしょうか。そのなかでも世界的にポピュラーなデザートといえば“ジェラート”でしょう。イタリア語で“凍った”という意味で、なんと旧約聖書に出てくるほど古い歴史を持つと言われています。

 日本ジェラート協会は、ジェラートのおいしさや魅力を知ってもらい、ジェラート業界を盛り上げるため、8月27日を「ジェラートの日」と定めています。なぜ8月27日を記念日にしたかというと、オードリー・ヘプバーンがアカデミー主演女優賞に輝いた世界的な人気映画『ローマの休日』がアメリカで公開された日が、1953年8月27日なのです。ヘプバーン扮するアン王女がイタリア・ローマを親善訪問した際に、大使館を抜け出し、グレゴリー・ペックが演じる新聞記者ジョー・ブラッドレーとの1日だけの恋を描いた名作ですが、ローマのさまざまな観光スポットを散策するなかで、アン王女がスペイン広場に通じる階段に座ってジェラートを食べる有名なシーンが、「ジェラートの日」の由来となっています。

 ちなみに、そのシーンで世界的な観光名所となった、1726年に建てられ、135段あるトリニタ・デイ・モンティ教会の大階段、通称“スペイン階段”は、2019年に景観を損なうとして、座り込みや寝そべりをした場合には最低250ユーロ(当時約3万円)、階段を破損したり汚すと400ユーロ(当時約4万7000円)の罰金が科されるとのこと。観光客がヘプバーンが座った場所で写真を撮ったり、座ろうとすると、警官が警告の笛を鳴らして、立ち退きを命じられることもあるとか。

 そんな「ジェラートの日」の“ネタ元”となった『ローマの休日』ですが、日本では1954年4月に公開。その後、TVでも数多く放送されました。アン王女を演じたヘプバーンの声は、何人かの声優が吹き替えを担当しています。

 オードリー・ヘプバーンの声として最も知られているのが、池田昌子です。『ローマの休日』をはじめ、『麗しのサブリナ』『シャレード』『おしゃれ泥棒』『いつも2人で』『ティファニーで朝食を』『マイ・フェア・レディ』などTV放送化や商品化のために録り直す際は、ヘプバーン役の多くを池田が務めていました。池田はアニメ『銀河鉄道999』のメーテル役や『エースをねらえ!』シリーズの“お蝶夫人”こと竜崎麗香役でも有名です。

 笠原弘子はTBSにて放送の際にアン王女の声を担当。『3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?』のタマ役や『魔法騎士レイアース』の鳳凰寺風役などで知られています。当時では珍しかった、声優のほか歌手としても活躍した“声優界の歌姫”とも言われた声優アーティストのパイオニアのひとりで、アニメやゲームソングはもちろん、「異邦人」「雨音はショパンの調べ」などのカヴァー・シングルも発表しています。

 『名探偵コナン』の鈴木綾子役や『Paradise Kiss』の“イザベラ”こと山本大助役、『爆丸バトルブローラーズ』のフェニックス役を務めた鈴鹿千春、『リトル・マーメイド』のアリエルをはじめ、『眠れる森の美女』のオーロラ姫などディズニー映画のヒロイン役を多く演じているすずきまゆみ、国民的アニメ『ONE PIECE』のナミ役を筆頭に、デビュー作となったスタジオジブリ映画『紅の豚』のヒロインのフィオ・ピッコロ役や『ふたりはプリキュア』のフープ役ほか多くの作品で活躍し、2024年の声優アワードで富山敬・高橋和枝賞を受賞した岡村明美もアン王女役の経験者です。

 近年では、声優とともに歌手としても活躍し、音楽ユニットのfripSideでの活動や『ラブライブ!』のスクールアイドルグループのμ'sのメンバーとしても人気の“ナンジョルノ”こと南條愛乃が、2020年に現代の人気声優による名画新吹き替えプロジェクト「N.E.M.」(New Era Movies)にてヘプバーンの吹き替えを担当。『鬼滅の刃』の胡蝶しのぶ役をはじめ、『魔法つかいプリキュア!』の花海ことは / キュアフェリーチェ役、『アイドルマスターシンデレラガールズ』の高垣楓役、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の新垣あやせ役、『SPY×FAMILY』のヨル・フォージャー役などを演じ、主題歌やキャラクターソングだけでなくオリジナル歌手としても多くの楽曲を発表している早見沙織も2022年に日本テレビ放映時で吹き替えを務めています。

(写真は2008年6月リリースのDVD『ローマの休日 製作50周年記念デジタル・ニューマスター版 スペシャル・コレクターズ・エディション』)
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