■『ナイン・ソウルズ』(2003) サウンドトラック:dip『9souls』サウンドトラック(03) 刑務所を脱走した9人が、帰るべき場所を目指す逃避行の物語。原田芳雄、松田龍平、千原浩史、板尾創路、鬼丸、KEE(渋川清彦)、マメ山田、鈴木卓爾、大楽源太が演じる、可笑しみや哀しみ、無力感に映画館には笑い声とすすり泣きの両方が響く名作です。音楽はdipが担当。脱走シーンに流れるサイケデリックな「9souls」もインパクト大ですが、10年間の引きこもりの末、父親を殺害するに至った金子未散(松田龍平)の荒涼とした心象風景が伝わる「Nowhere I'd Like To Be」や、最後のシーンで流れる「let's get lost」も後戻りできない人間が持つ希望の切なさが表現されているようで涙必至。Buffalo Daughterの大野由美子やU-zhaanが参加した楽曲もあり、オリジナル・アルバムとして通して聴けるサウンドトラックは必聴です。なお、これが縁でdipのファンになったという板尾創路は、dip「HASTY」のMVにも出演しています。
■『空中庭園』(2005) 主題歌:UA「この坂道の途中で」(『Nephews』[05]) 角田光代の同名小説を原作に、家庭の崩壊と再生を描いた物語。小泉今日子演じる主婦・絵里子が、必至で自分の家庭を繕うも、破綻していく日常を経て再び“生まれ直す”ベランダでのシーンは圧巻でした。UAが作詞を手掛けた「この坂道の途中で」は、方向を失い立ち止まってしまう人を受け止める優しい歌。作曲はdip・ヤマジカズヒデで、dipでは「to here never come」として演奏されており、ライヴ盤『pharmacy』でも聴くことが出来ます。