激動の1960年代最後に録音されたジャック・マクダフのリーダー・アルバム。どす黒いファンクというよりは女性ヴォーカルもフィーチャーしたスペーシーなサウンドが特徴で、意外にクリアなオルガン・サウンドも印象的だ。

ブラッド・メルドーが2018年にリリースして話題を呼んだ『アフター・バッハ』の続編。ジャズ・ミュージシャンとして押しも押されもしない存在のメルドーが、躊躇うことなく“お手本”と呼ぶバロックの巨匠の魅力が引き出されたアルバムだ。

ジャズとクラシックを自由に行き来するブラッド・メルドーが、フランスの大作曲家であるガブリエル・フォーレの音楽に取り組んだアルバム。フォーレに対するメルドーの姿勢を反映したオリジナル曲も収録されている。

“噛めば噛むほど味が出る”ジャズ・トランペッターの代表格によるブルーノート盤。ジュニア・クックとの2管フロント、さらにそれを支える若き日のチック・コリア、それぞれが個性を発揮した好盤だ。

ベッカ・スティーヴンスの7作品の中から選りすぐりの楽曲を集めたコンピレーション。単なるベスト盤よりも流れを重視したセレクションに加え、4曲の未発表テイクも収めており、ファンにも入門者にもお勧めできる。

リー・モーガンの1968年のリーダー作で、やや過小評価に甘んじているブルーノート盤。王道ハードバップとは程遠いものの、タイトル曲を含めて個性的なオリジナル曲で構成されており、シダー・ウォルトンらのプレイも手堅い。

1969年にブルーノートに遺されたオルガン・ジャズ作品。ルーベン・ウィルソンの粘り気のある鍵盤プレイと絡み合うグラント・グリーンのナチュラルなギター・サウンド、乾いたドラム・サウンドなど中毒性の高い一枚だ。

オルガン奏者ロニー・スミスのブルーノート第2弾アルバム。リー・モーガン、ジュリアン・プリースター、ベニー・モウピンの3管が加わり、ジャズ的にも聴きごたえ十分。ドン・コヴェイ「シー・ソー」、ビートルズ「エリナー・リグビー」などを収録。

雨の日に聴くためのジャズ・コンピレーション。文字通り雨をテーマにした楽曲だけでなく、「虹の彼方に」「明るい表通りで」のような楽曲も収録しており、適度なしっとり感と爽快さを演出するセレクションとなっている。

首都圏を中心に活動するジャズ・ギタリストが自身のホームともいうべきクラブで行なったライヴを収めた作品。ピアノ・トリオとの和気あいあいとしたセッションといった趣で、会場の雰囲気も含めて楽しみたい一枚だ。

国内でも稀有なピアニストして輝き続ける渋谷毅。本作はエリントンをはじめとする偉大なる先人たちの楽曲にスポットをあてた2007年録音のSACD盤。ホールの響きを生かした上質のサウンドを楽しむことができる。

ソロにおいてもコンボにおいても独特の存在感を発揮する渋谷毅が、美メロ曲にフォーカスして録音した2007年のソロ・ピアノ作のSACDヴァージョン。ナチュラルなホールの響きを活かしたリリカルなプレイが聴ける。

2018年に行なわれたピアノ兼ヴォーカルの小川理子を中心とするセッションを捉えた一枚。デジタル録音をいったんアナログに変換してSACD用とCD用にそれぞれデータを作成するというプロセスを経たハイブリッド盤。

サックス、ベース、ドラムからキーボードまで、何でもこなす天才プレイヤーによる2024年のアルバム。ヒップホップやR＆Bのテイストを多分にとりこみ、生楽器と電子楽器を巧みに使いこなしてクールなトラックを作り上げている。

英・マンチェスターのサウンドクリエイターによる2024年発表作。スペーシーでありながらフォーキーでもあり、かつてのジョン・レノンのようなイノセンスも漂わせる。生演奏のリズム・セクションによる演奏が醸し出す浮遊感が心地よいアルバム。

サックス奏者の加納奈実がベーシストの杉本智和との共同制作に2年を費やして完成したアルバム。全編オリジナル曲で構成されており、幼少期にダンサーを志したという加納の音楽性を反映した楽曲も収録している。

アート・ブレイキーの長いキャリアの中でも珍しいビッグバンド形式でのアルバム。ハード・ドライヴィングなブレイキーの魅力を楽しむための作品ではないものの、ジョン・コルトレーンの参加によりニッチな人気を集めた。

ジョニー・グリフィンやジュニア・マンスが在籍していたジャズ・メッセンジャーズが、1957年にベツレヘムに遺したアルバム。アート・ブレイキーのキャリアにおける代表作とは言い難いが、ハードバップらしいクールな演奏が聴ける。

オーストラリア出身者を中心とするコンボが、1950年代にベツレヘム・レーベルに遺した珍しい作品。カンガルーをあしらったジャケットもさることながら、室内楽的でこ洒落たアレンジもリスナーの心をくすぐる。

クインシー・ジョーンズのペンによるタイトル曲を冒頭に据えたオスカー・ペティフォードのリーダー作。ドナルド・バードらフロント陣のプレイをベースで堅実にサポートする縁の下の力持ちの面目躍如たるアルバムだ。