USオルタナ、ローファイ・シーンを代表する伝説的バンド、ペイヴメント(Pavement)の2010年以来、じつに13年ぶりとなる単独来日ツアーが2月15日(水)&16日(木)東京・TOKYO DOME CITY HALL、2月18日(土)大阪・なんばHatchにて開催。初日となった2月15日の東京公演のレポートが到着しています。
会場では、今回の来日を記念して1997年のヨーロッパ・ツアーの音源を収録したライヴ作品『Live Europaturnen MCMXCVII』2タイトルが初めてカラー盤として再発し販売されます。パープル盤は1997年4月11日に行われたロンドン公演の模様を収録し、2008年にリリースされた『Brighten The Corners: Nicene Creedence Ed』の特典として付属。そしてオレンジ盤は1997年8月15日にドイツ公演の模様を収録し、2009年のレコードストアデイで限定発売されたもので、それぞれ中古市場でも高値で取引されているレア・アイテムとなっています。
気がつけば解散から最初の再結成までの期間よりも長い13年の月日が流れ、その間に彼らの先輩であるソニック・ユースは解散し、盟友シルヴァー・ジューズのデヴィッド・バーマンはこの世を去り、前回の会場だった新木場スタジオ・コーストは無くなった。しかし目の前にあったのは、13年前と変わらないペイヴメントの5人の姿だ。変則チューニングのギターをニヒルに弾きこなし、セーターを脱いだだけで会場をどよめかせるスティーヴン・マルクマスに、「Kennel District」や「Painted Soldiers」といった持ち曲でパンキッシュなヴォーカルを聴かせるスパイラル・ステアーズ。ヒゲメガネにベストというダンディな出で立ちでバンドの屋台骨を支えるドラマーのスティーヴ・ウェストがマルチ奏者のボブ・ナスタノヴィッチに絡まれるのを見ながら、ニコニコと笑顔を浮かべるベースのマーク・アイボルド。いや、正確に言えば、少しは変わったのかもしれない。メンバーは全員相応に歳を取り、シングルのB面曲だった「Harness Your Hopes」が2020年にTikTokで突然のバイラル・ヒットを記録し、ボブは競馬好きが高じて馬主になっていた。だけど彼らが揃った時に醸し出される空気感は、今も当時のままなのだ。
ライヴの終盤、スパイラル・ステアーズが「前回ここに来た時は、a-haの後に演奏したんだ」とサマーソニック出演時のエピソードを披露すると、マルクマスが即興で彼らのヒット曲「Take On Me」のフレーズを弾き始める一幕があった。この2組にはどちらもエコー&ザ・バニーメンの「The Killing Moon」をカバーしているという共通点があるが、まさにここ東京ドームシティホールで予定されていたa-haの来日公演が延期のうえ中止され、ペイヴメントがそのステージに立っているということに、運命のいたずらを感じずにはいられない。
■PAVEMENT JAPAN TOUR 2023 2023年2月16日(木)東京・TOKYO DOME CITY HALL Support Act:ミツメ OPEN 18:00/ START 19:00 TICKET SS 席9,500 S 席8,500(税込/別途 1 ドリンク) ※未就学児入場不可 当日券販売18:00〜 <問>クリエイティブマン 03-3499-6669