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世代を超えてあの人の声で蘇る 平成世代が歌い継ぐ昭和の名曲たち【後編】

2025/09/05掲載
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20〜30代の平成世代アーティストがカヴァーしている昭和ソングを教えてください。
 昭和に生まれた名曲は、世代を問わず人々の心に響くものばかり。“平成世代×昭和ソング”にフィーチャーし、トリビュートアルバムを基に紹介した【前編】に続き、今回はカヴァー・アルバムを発表し昭和の名曲を歌い上げる平成世代アーティストを厳選して紹介。懐かしいメロディに現代の息吹が吹き込まれ、あの頃の記憶と新たな感動が同時に蘇ります。

絢香遊音倶楽部〜1st grade〜
 シンガー・ソングライターの絢香が2013年9月にリリースした初のカヴァー・アルバム『遊音倶楽部〜1st grade〜』より、「やさしさに包まれたなら」(荒井由実[松任谷由実])は、しっとりとしたなかにも一つ一つの音がしっかり丁寧に響き絢香らしさが感じられ、そっと包み込んでくれる一曲に。また、2020年5月リリースの第2弾『遊音倶楽部〜2nd grade〜』でカヴァーした「フレンズ」(レベッカ)は、ストリングスなどの一つ一つの楽器が粒立って聞こえるアレンジが印象的で、「音をそのまま視覚化する」をコンセプトに構成されたMVも公開されています。





 その他にも、Mr.Childrenサザンオールスターズ平井堅などの名曲もカヴァーしているのでぜひチェックしていただきたいところです。

上白石萌音あの歌-1-
 上白石萌音が2021年6月にリリースした、70年代楽曲のカヴァー・アルバム『あの歌-1-』より、「君は薔薇より美しい」(布施明)と「勝手にしやがれ」(沢田研二)は、上白石の透き通る歌声と繊細な表現力が光り、原曲の情熱的な雰囲気を保ちながらも優しさや温かみが感じられます。どちらも男性ヴォーカル曲ですが、上白石が歌い上げることで平成世代の女性の心にも響き、上白石自身も音楽的な幅を広げる一歩となっています。





 なお、同時発売された80〜90年代楽曲のカヴァー・アルバム『あの歌-2-』も、「世界中の誰よりきっと」(中山美穂&WANDS)や「PRIDE」(今井美樹)など名曲カヴァーが揃っています。



阿部真央MY INNER CHILD MUSEUM
 2025年8月、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」に登場し再び話題となっている阿部真央が、2021年1月にリリースしたキャリア初のカヴァー・アルバムより、「津軽海峡・冬景色」(石川さゆり)は、冬景色と切ない恋心を描いた原曲の世界観を力強く繊細な歌声で表現しています。



 その他、藤原さくらが歌う「君は天然色」(大滝詠一)は、ダイハツ「ムーヴ キャンバス」のCMにも起用され、原曲の持つ瑞々しさを女性らしい柔らかい歌声で新たな魅力を加えて表現。しなの椰惠が歌う「僕が僕であるために」(尾崎豊)は、真っ直ぐ伸びやかな歌声が歌詞に込められたメッセージを乗せて若い世代にも届けています。





 なお番外編で、平成にリリースされた楽曲ですが、昭和的な詞世界を持ち、“昭和の香り”が残る楽曲として、アイナ・ジ・エンドが歌う「川の流れのように」(美空ひばり)、菅田将暉×石崎ひゅーいが歌う「糸」(中島みゆき)、Little Glee Monsterが歌う「紅」(X JAPAN)などもCMソングや映画主題歌に起用され話題となっています。







 昭和の名曲を新しい世代が歌い継ぐことで、音楽はさらに広がりを見せていきます。“あの頃の1曲”が今のアーティストの解釈によって新たな輝きを放ち、そして新たな表現や出会いをもたらすことでしょう。時代を超えて愛される音楽の力を、ぜひ改めて感じていただきたいところです。

(写真は2021年6月23日リリースの上白石萌音『あの歌-1-』)
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